2024年10月2日水曜日

『あさひは失敗しない』真下みこと著 感想・レビュー 愛と狂気の境界線 

あさひは失敗しない (講談社文庫) 

おまじないの呪縛

装丁は坂野公一(さかのこういち)さん

めっちゃインパクトがあってじわじわとした怖さを感じさせるデザイン。

このストーリーにぴったりです。

過干渉の親に育てられ、考える力を持たないまま大人になったあさひ(女性)が主人公のホラーミステリー。


あらすじ

あさひは、ずっと母に頼り切り共依存的な生活を送っていた。

大学生になった今もそれは変わらない。

母は、不安な時はいつも「あさひは失敗しないから」というおまじないをかけていた。

そんなある日、母に内緒で男の子がいる飲み会に参加したあさひ。


そこから歯車が狂い出し、とんでもない失敗を犯してしまう。


ネタバレ感想

このストーリーには、有名な童話『ヘンゼルとグレーテル』が取り上げられています。

子供の頃に読んだ話なのに、すごい衝撃を受け今でも鮮明に覚えています。

概要を少し。

貧乏な木こり一家の子供ヘンゼルとグレーテルは、深い森で置き去りにされます。

子供たちを捨てようと提案したのは母親でした。

『ヘンゼルとグレーテル』

迷子になった2人は、クッキーやキャンディ、チョコレートなどで外観を彩られたお菓子の家を発見します。

お腹が空いていた2人はそのお菓子を食べてしまいます。

おいしそうなお菓子で子供を誘う魔女に2人は嵌められたのでした。

ヘンゼルを檻に入れ、グレーテルに家事を言いつけます。

グレーテルの機転でかまどに魔女を落とすことに成功した2人は家に帰ります。

2人を嬉しそうに迎えてくれたのは父親でした。

それから3人は仲良く暮らしました。

母はどこに?

魔女=母親説もありなのかも。

ヘンゼルたちは母親をやっつけることで幸せを手に入れた感じ。


あさひも母の呪縛から逃れると幸せになったかもしれないが、気付くの遅かった。

位置情報アプリ入れられても、睡眠薬を入れられ乱暴されても、友人に強請られても受け入れてるってのは、過干渉の成れの果てなのか。

そもそも何で信用していない律子(りつこ)に秘密を打ち明けるんだ…。

そして、睡眠薬で眠らされて処女を捨てれたのが良かったという謎の発想。

谷川翔太(たにがわしょうた)を恨んでいないあさひ。

考える力はないくせに、謎の処女卒マウントは取っていた。

この話に出てくる登場人物は全員クソ。

定食屋のおばちゃんに至るまでクソです。

小学校時代の女子の仲間外れ、リアルだ。

私もあります。

あれだけ仲良くしていたのに次の日から謎の無視。

優(ゆう)ちゃんは絶縁宣言してきたからまだマシかなと思う私にはまだ黒い記憶が浄化されていないようだ。

世代の負の連鎖はあさひによって断ち切られるのだろうけど、ずっとイライラしながら読んだ。

避暑地に別荘持ちなのは羨ましかった。すっごい名前の地名が出てきますが、現実にありました。

読みやすい女性向きの作品。

深夜ドラマとかでやってほしい。


『あさひは失敗しない』私の評価は★2

ストーリー ★★☆☆☆  2

キャラの魅力★☆☆☆☆  1 

衝撃度   ★★★☆☆  3

おすすめ  ★★☆☆☆  2

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