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2023年3月8日水曜日

『クララ殺し』小林泰三 感想・レビュー アーヴァタールたちの駆け引き

ブラックメルヘン

「メルヘン殺し」シリーズ2作目。

 『アリス殺し』より難解なので覚悟して。

確か、ハイジがアルプスの山のロッテンマイヤーさんと一緒に暮らして、近所のクララと仲良くなって励まして、ペーターとヤギの世話をする話だったような?

ハイジはいつ出てくるのかなと読み進めたけど、『クララ殺し』には、出て来ません。

「アルプスの少女ハイジ」とは一切関係なかった。

でも蜥蜴のビルが再登場したので歓喜。


あらすじ


大学生の井森建は、不思議の国の夢ばかりを見ている。

そこは、アリスという少女や変な生き物が暮らす世界。

自分はビルという蜥蜴だった。

だがある夜に彼が見た夢は、いつもと様相が違っていた。

クララと名乗る車椅子の美少女が登場したのだ。

翌日、井森は大学の校門前で、夢とそっくりの少女露天くらら(ろてん)に声をかけられる。

彼女は何者かから命を狙われていると話し、井森に助けを求めた。

夢で会った「クララ」と現実世界の「くらら」、2つの世界で事件が起きる。


ネタバレ感想

元ネタは「黄金の壺」「くるみ割り人形とねずみの王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」でした。

私は、子供の頃絵本で読んだ「くるみ割り人形」が夜動いて怖かったなという知識しかありませんでした。

なので、話の展開が全く読めないままストーリーが進み、ちょっと置いてけぼり感をくらいます(笑)

前作で地球と不思議の国はリンクしていることが分かりましたが、井森がある日を境に見た夢は「ホフマン宇宙」と名付けられ、不思議の国とは関係ありません。

井森(ビル)が、いつの間にか障壁を超え、別の世界に足を踏み入れたようです。

そして、ホフマン宇宙と地球を舞台にしてストーリーは進む。

地球の井森はビルの「アーヴァタール」という存在で、ドロッセルマイアーとクララにも地球に「アーヴァタール」がいます。

「アーヴァンタール」とはアバターとか化身っていう意味みたい。

聞きなれないワードがやたら出てくるし、ややこしい。

ビルのイライラする会話は健在です(笑)

グロさは前作より少なめかな。

井森何回死ぬねんとツッコミを入れたくなりました。

❝ホフマン宇宙で誰かが死ねば地球にいるアーヴァタールも死んでしまう。だが、アーヴァタールが死んでも本体は死なない。井森が死んでもお前(ビル)は生きている。❞

新ルールがあってまた混乱(笑)

でも不思議なストーリーが好きな私は好みの小説でした。

『クララ殺し』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★☆☆☆  2


2023年3月2日木曜日

『今際の国のアリス RETRY(リトライ)』(全2巻) 麻生羽呂 感想・レビュー ネトフリ,実写化成功ドラマの続き

アリスふたたび

前作『今際の国のアリス』から、約5年ぶりの再開となった新章。

よりによって参加するげえむのジャンルは9「ちきゅうしんりゃく」

アリスとウサギが結婚するのは予想できたけど、他の生き残ったメンバーの後日譚も知りたい。


あらすじ

スクールカウンセラーとなった有栖(アリス)は、仕事に悩む社会人。

妻の柚葉(ゆずは)<旧姓:宇佐木(うさぎ)>は、妊娠中。

柚葉の安産祈願のため、富士山に登山したアリスは、妻からの電話を受け、急ぎ東京へ戻る。

台風が直撃などのトラブルに巻き込まれ、再び今際の国へ迷い込んだアリスは、過去を思い出す。

そして、9の「げえむ」から生きて帰ることを誓う。

果たして、参加者全員助かる方法はあるのか?

アリスは再び、元の世界へ戻れるのか?


ネタバレ感想

 RETRYでは、1つのゲームしかないけれど、難易度高め。

げえむを参加してすぐに死体を見てしまうので、全員冷静さを欠いてしまった。

カプセルの数がどんどん減って、入れなかった人は宇宙人?による制裁が待っていた。

相変わらずのゲームは、巧みに心理を揺さぶり、思い込ませてしまう。

タイガのような危険人物はあれだけど、全員で生き残れたのになあ。

ネトフリの宣伝を兼ねての短い連載だったようで、2巻で完結。

絵は変わってたけどやっぱり面白い。

❝また寄り道でもしてたの?❞

ウサギのセリフが意味深。

「また」にしっかり傍点が付いてた。

出産という大変な状況に身を置いていたから、一時的に記憶が戻っていたのかな。

主人公は変わるけど、スピンオフ作品『今際の路のアリス』もおすすめ。


『今際の国のアリス RETRY』私の評価は★3


ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4


2023年2月28日火曜日

『今際の国のアリス』麻生羽呂  感想・レビュー はあとのなな「かくれんぼ」が難しすぎる

 生き残るためにはゲームに勝つしかない

読んだきっかけは、「不思議の国のアリス」が好きだから。

不思議の国のアリスに登場するキャラの名前が使われているのが嬉しい。

ずっといると思っていたキャラが退場するなど、展開が読めず面白い。

参加するまでどんなゲームか分からず、頭脳戦、心理戦、体力戦、協力戦がトランプに準えてる設定がすごい。

誰にも感情移入しないけれど、自分だったらとか考えるの楽しい。

読み応えある漫画です。


あらすじ

高校生の有栖良平(ありすりょうへい)は、怠惰的な生活を送っていた。

ある日、いつものメンバー(カルベ、チョータ)で遊んでいたところ、巨大な花火を目撃する。

気付いた時は、周囲の人間は消えており、強制的に理不尽な「げえむ」に参加させられる。

ただし、「げえむ」に「くりあ」しないと待つのは死のみ。

ビザ切れはこんなイメージ

アリスの監察力と頭脳にいち早く気づいたカルベは、彼を生かすべく行動に出る。

果たして、この世界は何なのだろうか?

展開が読めないサバイバルデスゲーム


ネタバレ感想

一番印象に残ったのは、難易度7(はあとのなな)げえむ「かくれんぼ」

狼が負けると思うよね
参加人数無制限だけど、アリスたちは仲間4人で挑む。

るうるは、おおかみ1 VS ひつじ3 でかくれんぼをし、最後に狼だった人が勝つという最悪のゲーム。

アリスは全員生き残れる方法を考えますが、心が壊されるゲームだった。


他は、

♠5「おにごっこ」 

J「どくぼう」  が印象に残ってる。


キングクラスが出てきてさらに面白さは増し、キューマは普通に良い人だった。

この先にミラがいそう
ミラとの対決は少しだるく、ラストのページの割き方は微妙。

でも全体的には面白かった。

うさぎが強い女の子だったのに、うざキャラになってしまったのは残念。

私はずっと意志を持って強かったアンが好きだ。

ヤバとパンダ、チシヤのその後が見たい。

ツッコミどころはあるけれど、ネトフリも面白かった。

殆どのキャラがイメージ通りなので見応えある。

スピンオフ作品『今際の路のアリス』は、主人公は変わりますが世界観そのままなので良かったら。

大人になったアリスの話が読める『今際の国のアリスRETRY』もおすすめ。


『今際の国のアリス』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3 
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★★ 5


2023年2月22日水曜日

『アリス殺し』小林泰三 感想・レビュー メルヘンは本来残酷なのかもしれない

アリスの不条理な世界

2014年「啓文堂書店文芸書大賞受賞」作品

私は『不思議の国のアリス』が大好きだ。

出てくるキャラみんなおかしくて、予想も付かない展開。

その反面、果てしなく妄想が広がるし現実逃避もできる。

小林泰三さんの小説は玩具修理者』の描写がグロすぎて途中で読むのを止めてしまう程でした。

『アリス殺し』も残酷でグロいですが、アリス好きなのでなんとか許容範囲にしました(笑)

簡単なあらすじ

院生の栗栖川亜理(くりすがわあり)は、不思議の国の夢をよく見る。

ハンプティ・ダンプティが塀から落ちた夢を見た後、大学では玉子と呼ばれていた博士研究員が屋上から墜落死していた。


亜理が、生牡蠣を喉に詰まらせてグリフォンが窒息死する夢を見ると、牡蠣を食べた教授が急死する事件が現実に起きていた。

どうやら夢の世界と現実はリンクしているらしい。

不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋がアリスを容疑者にする。

果たして事件の真相とは?

不思議な不思議なミステリー。


ネタバレ感想


ほんまややこしい(笑)

不思議の国のアリスの名物である堂々巡りの会話も好きだからこそ許せる。

現実世界(地球)と不思議の国の世界がリンクし、お馴染みのキャラが登場。

どのキャラが誰だろと当てはめながら読んでいきます。

事件の真相に驚いたけれど、それ以上に井森の退場に凹んだ。

現実の井森は、不思議の国と違いすぎる。

文体にすごく癖があるけど、ハマると面白い。

吐き気をもよおすほど気持ち悪い表現があるので、耐性ない人はお薦めしない。

この作品、メルヘン殺しシリーズとしてシリーズ化しています。

ただ、作者さんがお亡くなりになったので4作で完結のようです。

まだまだ読みたかったです。

『アリス殺し』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★☆☆ 3








2023年2月21日火曜日

『今際の路のアリス』(全8巻)原作:麻生羽呂、作画:黒田高祥 感想・レビュー ❝人生は80年、強制参加のクソゲー❞

 今回はトランプを所持して目覚める

今際の国のアリス』の続編にあたる作品。

スピンオフ的なストーリーで、麻生羽呂さんは今回は作画を別の方に託しています。

『今際の国のアリス』同様、世界観は変わらず面白いし、読んで損はない。

常に心理戦が伴っているような展開でした。

清水寺

ポジティブな女子高生が主役です。


簡単なあらすじ

荒れ果てた京都で目覚めたキーナは、トランプを握りしめていた。

周囲を彷徨っていると、清水寺で小島亜里朱(こじまありす)と出会う。

花火が打ちあがり、その場所まで駆け付けた2人は、同じように記憶を失った男女9人がその場所に集まっていた。

話し合いの結果、東京を目指そうと決めたが、1人殺されてしまう。

疑心暗鬼の中、一部を除いたメンバーで東京へ向かう。

果たして無事に東京にたどり着けるのか、そして元の世界に戻れるのか?


感想・レビュー

前作より目を背けたくなるシーンが多め。

少ない人数なのにくせ者が多い上に殺人犯が紛れ込んでいるし、敢えて狂わされた人物もいます。

反面、精神的に成長した人物もいます。

ネガティブ思考のキーナとポジティブなアリスが対照的に描かれている。

集められた男女の選出は、偶然なのか必然か。

今回のトランプの意味は?

絶対R指定だけどこの作品もネトフリで映像化してほしい。


『今際の路のアリス』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4



2023年2月18日土曜日

『恋と心臓』(全10巻)海道ちとせ(かいどうちとせ)感想・レビュー 彼女しか見ていない究極の愛を描くラブサスペンス

イケメンのヤンデレ男子に愛される女子大生

子供の頃の記憶が曖昧な主人公。

主人公を洗脳し、2人だけの世界を作ろうとする交換留学生。

ヤンデレ男子が恋の相手というの設定は面白い。


簡単なあらすじ

幼馴染だと名乗る広瀬春馬(ひろせはるま)と同居することになった大学生の八木沢羊(やぎさわよう)。

彼は昔、羊の隣に住んでいたと話すが、一向に思い出せない。

空き家イメージ
(春馬が住んでいた?)

羊が誰かに狙われているような事件が度々起きる。

心配する友人たちをよそに、助けてくれた春馬に羊は次第に惹かれていく。

春馬の目的とは?

羊の幼少期の記憶とは?

春馬の黒い部分を知ったとき、背筋がぞくりとするラブサスペンス。


ネタバレ感想

春馬の胡散臭さに気付きながらも羊が彼を好きになる理由が理解できない。

羊のためを思い、彼女が子供の頃の記憶を取り戻すのを阻止していたとしても、春馬が周りにしてきた仕打ちはどうなんだろう。

イケメンだから許されるっていう展開?

性格も含めて冬弥(とうや)の方がイケメンに見える。

冬弥や早和子(さわこ)の制止を聞かず、サバサバ系女子だった羊が春馬春馬となったのは引いた。

3巻くらいまではサイコサスペンスっぽくて面白かったけれど、どんどん2人だけの世界になった後は惰性で読み続けた。

友人たちは好感が持てる。 

絵は横顔が雑な印象で、キャラの区別が付きにくい。


『恋と心臓』私の評価は★1

ストーリー  ★★☆☆☆ 2
キャラの魅力 ★☆☆☆☆ 1
衝撃度    ★★☆☆☆ 2
おすすめ   ★★☆☆☆ 2



『ROUTE END』(全8巻)中川海二 感想・レビュー 予測不能なサイコサスペンス漫画,特殊清掃員という職業

ラストの好みは分かれるかもしれない

一見何の感情もなさそうな人物がカラー表紙を飾っていますが、彼らの背景はとても切ない。

漫画にはそんな奴ばっかりいないよとばかり、イケメンと美女が多く出てきますが、『ROUTE END』は出て来ません。

何となく町ですれ違ってそうと思える平凡な容姿の人たちがばかりです。

そのため、ストーリーにのめり込みやすく、リアリティもすごくありました。

「特殊清掃員」という聞きなれない職を理解することができます。


あらすじ

特殊清掃員として働いている春野太慈(はるのたじ)の町では、凄惨なEND事件」が起きていた。

この事件は、未だに容疑者さえ絞れておらず、遺体をバラバラにしてENDの文字を作っていた。

ある日、春野は社長の橘の指示で、END事件の現場の清掃へ向かう。

腐敗した体液が染みついた床を張り替えようとした彼は、白骨化した遺体を発見する。

そして、橘とは連絡が付かなくなってしまう。

果たしてEND事件の犯人は?

橘はどこに消えたのか?

謎が謎を呼ぶサイコサスペンス。


ネタバレ感想

春野たちがなぜ特殊清掃員として働いているか、その背景を知ると胸が苦しくなる。

そして彼が出会う女刑事の五十嵐秋奈(いがらしあきな)。

彼女も春野と意外な接点が見つかりますが、彼女もまた辛い過去を背負っていました。

まず、社長の橘が謎。

カウンセラーも絡んできて、どんどんストーリーは混乱し、次から次へと衝撃を受けます。

春野と五十嵐刑事との絡みだけ、和む感じでした。

絵のタッチは女性受けしませんが、すごく面白い作品。

ただ、スピリチュアル的な解決は好みじゃなく、分からない所も多かった。

好きな人は好きかもしれないです。


『ROUTE END』私の評価は★4


ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★★★ 5
おすすめ   ★★★★☆ 4

2023年2月15日水曜日

『ダークゾーン』(上下巻)貴志祐介 感想・レビュー 不条理な将棋デスゲーム

チェスや将棋の駒になった人間たちのバトル

簡単なあらすじ


プロ棋士の塚田が主人公。 

ある日、彼は異形の姿で目覚めるが、周囲にいた恋人や友人たちも異形と化していた。

赤の軍勢の将である塚田は、青の軍勢との戦いを余儀なくされる。

舞台は軍艦島。

軍艦島
そこで繰り広げられる異形バトル。

軍配はどちらに上がるのか?

まるでゲームのような世界観。


感想・レビュー


敵の将が現実世界での塚田のライバルという設定も面白く、将棋の駒同様、それぞれに火を噴くなど特性を持っている。

私は、貴志祐介さんの作品、『新世界より』
『クリムゾンの迷宮』『天使の囀り』『黒い家』『悪の教典』十三番目の人格 ISOLA』を読破しています。

これらに比べるとややオチと展開は弱く余韻を残さないですが、エンタメ小説としてはそれなりに楽しく読めました。

将棋をあまり知らなくても説明が丁寧なので、世界観にハマることができる。

アニメ化したら見応えあるかも。

主人公の性格はちょっと腹立つ。

軍艦島の描写説明は素晴らしく、まるでその地に行ったことあるような感覚に陥った。

『ダークゾーン』私の評価は★3


ストーリー  ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度    ★★☆☆☆ 2
おすすめ   ★★★☆☆ 3 








2023年2月14日火曜日

『ノイズ【noise】』(全3巻)筒井哲也 感想・レビュー たった一人の悪が限界集落にやって来た為、ノイズが生じる

映画と漫画は別物

ネトフリで『ノイズ』を視聴した。

何これ、漫画と全然違う。

まず、設定が変わりすぎて人物に深みがなく中途半端。

刑事が抱える闇と今度こそ逃さない覚悟とか。

鈴木(小御坂こみさか)が平気で嘘がつき、犯罪を何とも思わないクソな奴だとか。

好きな俳優さんばかりだったのに、残念。

役者の無駄遣いが頭をよぎった。

私は原作コミックを読んでいて面白かったので、映画を視聴。

でも、映画→原作見てみようって人はいなさそう。

簡単なあらすじ

黒イチジクが注目され、猪狩町の救世主だと持てはやされた泉圭太(いずみけいた)の元に、怪しい男、鈴木が現れる。

彼を危険人物と判断した圭太と親友の純(じゅん)は、配属されたばかりの警官守屋(もりや)と共に、彼の元へと向かうが、思わぬアクシデントが起こってしまう。

果たして限界集落は元の平穏を取り戻せるのか?

田舎を舞台に、次から次へとトラブルが起きるノンストップサスペンス。

感想・レビュー


最初の選択さえ間違わなければというのは映画と一緒。

後にどんどん悪い方向へ。

漫画は3巻でまとまっているし、全体を通して緊張感があった。

絵のタッチは女性受けしないけれど。

娘の恵理奈との親子愛とか感動した。

純は悪い奴じゃない。

映画はもやっとしますが、コミックの方は納得いく終わり方なのでぜひ。

『ノイズ【noise】』私の評価は★4(映画は★1)


ストーリー  ★★★★☆  4
キャラの魅力 ★★★☆☆  3
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★★☆☆  3

2023年2月8日水曜日

『15歳のテロリスト』松村涼哉著 感想・レビュー 少年の本当の願いとは

15歳のテロリスト

低年齢化する犯罪に対して法の改正を願ったストーリー

主人公の15歳の少年の動機が分かった時、彼の決意に涙なしでは読めなかった。

テーマは重いけれど、読みやすい文章で綴られている為一気読みできた。

スノードロップ
加害者家族と被害者家族の立場両方が理解できる作品。

10代のうちに読んで欲しい作品だと思った。

スノードロップはこの小説で知って、実際見てみたいと思った。


簡単なあらすじ


新宿駅爆破事件の犯人は15歳の少年、渡辺篤人。

その事件は世間を大きく揺るがした。

だが彼は、少年犯罪の被害者家族だった。

彼がなぜ凶行に走ったのか?

篤人を知っていた記者の安藤は、彼の行方を追う。

↓ネタバレ感想↓

被害者遺族の篤人と加害者家族のアズサ、2人を結び付けた背景が辛い。

アズサに近付いた篤人は、彼女たち加害者家族も苦しんでいると知って慟哭します。

復讐を誓った篤人ですが非情に成りきれず歯痒い思いをします。

アズサも彼女の母も優しい良い人だったため、余計苦しみます。
 

一方、アズサは兄のせいで酷いいじめを受け落ち込んでいたところ、優しく接してくれた篤人に恋心を抱きます。

好きになった相手が違う目的で近づいたと知ったアズサの心情を思うと切ない。


『15歳のテロリスト』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★★ 5

2023年2月6日月曜日

『VANILLA FICTION(ヴァニラ フィクション)』(全8巻)大須賀めぐみ 感想・レビュー 壮大なスケールで描く双六ゲーム

VANILLA FICTION

 血縁関係がなくても絆は生まれる

スピーディーな展開で出てくるキャラも個性的、何でこのコミックがそんなに有名じゃないんだろうと不思議でなりません。

アニメになっても見応えありそう。

主人公の佐藤は、陰キャ設定だけど、ストーリーが進むにつれて頼もしくなっていきます。

絵も綺麗で読みやすいです。

双六ゲームに強制的に参加することになった2人の対決が描かれますが、展開が読めずに面白い。

キーパーソンである不思議な少女エリがどっちの味方になるかによって、運命が大きく変わります。

佐藤の邪魔をする悪徳警官が腹立ちますが、彼の息子が可愛くて憎み切れない。


ゴールはエリと佐藤がクッキーを食べること。

カオス理論の連鎖で世界を救うというコンセプトも好き。

全8巻なのですぐに読み終わります。

簡単なあらすじ

佐藤忍(さとうしのぶ)はバッドエンドしか書けない気鋭の小説家。

廃ビルで薄汚れた少女エリをめぐって、争う人間を目撃した彼は、双六ゲームという非日常に巻き込まれる。

チャラ男の太宰を案内役に逃避行が始まる。

果たして佐藤とエリは無事にゴールにたどり着けるのか?

↓ネタバレ注意↓

佐藤とエリには血縁関係はありませんが、絆が芽生えてくる過程に泣かされます。

敵役の雪彦(ゆきひこ)は元妻より駑螺滋恵(ドラジェ)というキラキラネームの息子を急に押し付けられます。

複数の男と関係を持っている元妻なので、雪彦の本当の息子かどうか怪しいですが、悪事を働く警官である彼が、息子に対する愛情が芽生えていく過程が微笑ましい。

不条理なゲームに巻き込まれたとんでもないストーリーだけど、それぞれの心情がしっかりと描かれている印象。

また案内役の太宰治と佐藤に芽生えた絆も良かった。 


この太宰が不死身で趣味と特技はセックス遊びというとんでもないキャラだけど、佐藤の影響で変わっていく過程も面白い。


『VANILLA FICTION』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4



『マリオネット』(文庫版全4巻)愛田真夕美 感想・レビュー 残酷で美しいストーリー

マリオネット

誰もが魅了される少年ダニエル。彼は悪魔なのか天使なのか

 1980年代に連載されたコミックですが、ストーリーがしっかりしていて面白い。

ジャンルで言うとホラーかな。


簡単なあらすじ

主人公のダニエルの美貌と伯爵の地位に魅せられた人たちが破滅の道へ辿っていくストーリー。

そのため、彼はいつしか悪魔とまで呼ばれるようになります。

少年のダニエルは悪戯心でつい人を唆したりもしますが、傷ついたりもします。

幼少期、彼は義母に翻弄され、大好きだった姉にも裏切られ、周りの人間を誰も信用できなくなっています。

またサブタイトルが良く、「鳶色の童話」から私はハマりました。

「ガラス細工の森」は本当に悲しいストーリーでした。

欲望渦巻く世界で、ダニエルは人を信用できるのか?


↓ネタバレ感想↓

近づく者には冷たい視線を向け、わがままでやりたい放題のダニエルですが、アンティエーヌという少女に出会い、彼は少し変わります。

性格も可愛らしく天使のような彼女は、ある殺害シーンを目撃してしまったため、悲劇の道へと歩みます。

だけど最後まで自分の運命を呪わず、綺麗な心のままダニエルの腕の中で亡くなるという衝撃的な結末を迎えます。

この2人の微笑ましいシーンをもっと見たかった。

『マリオネット』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★☆☆ 3
おすすめ   ★★★★☆ 4



2023年2月5日日曜日

『新世界より』貴志祐介著 感想・レビュー 人間と化け物の境界線

新世界より


私の好きな小説、トップ3

大長編(上・中・下)の作品ですが、上巻から即引き込まれてすぐに読み終えました。

大人が隠し事をしながら閉ざされた世界で育つ子供たち。

弱い子供、そして人に災いをもたらしそうな子供は早々に排除されていく世界。

その中で早季(さき)たちのグループは、好奇心旺盛で有望だったゆえに、混乱を来たす元凶になっていく。

簡単なあらすじ


町で生まれた仲良し5人組。

決して町の外には出てはいけないという制約を受けながら日々を過ごす子供たち。

記憶を操作されながら、いなくなった友人を忘れて日常生活に戻っていく。

夏季キャンプをきっかけに、早季たちは町の様相を疑い始めた。

真相を知った早季たちは?

安全だった町は襲撃され、思わぬ展開になっていく。

人外との戦い、そして、人間の浅はかさを唄う作品。
神栖66町の民家のイメージ

伏線も凄く、何度でも読み返したくなるストーリー。


↓ネタバレ注意↓


私は将来有望とされていた瞬(しゅん)の退場が悲しすぎてめっちゃ泣きました。

彼をどうやったら助けることができただろうとそればっかりを考えます。

夏季キャンプでのナイトカヌーの描写が美しく印象的でした。



早季と瞬の恋がすごく切ない。

2人の別れのシーンは胸が痛いです。


アニメ化は、世界観を壊さず上手く作っていたなと思いました。

『新世界より』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★★ 5 
キャラの魅力 ★★★★★ 5
衝撃度    ★★★★★ 5
おすすめ   ★★★★★ 5


『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...