2023年2月22日水曜日

『アリス殺し』小林泰三 感想・レビュー メルヘンは本来残酷なのかもしれない

アリスの不条理な世界

2014年「啓文堂書店文芸書大賞受賞」作品

私は『不思議の国のアリス』が大好きだ。

出てくるキャラみんなおかしくて、予想も付かない展開。

その反面、果てしなく妄想が広がるし現実逃避もできる。

小林泰三さんの小説は玩具修理者』の描写がグロすぎて途中で読むのを止めてしまう程でした。

『アリス殺し』も残酷でグロいですが、アリス好きなのでなんとか許容範囲にしました(笑)

簡単なあらすじ

院生の栗栖川亜理(くりすがわあり)は、不思議の国の夢をよく見る。

ハンプティ・ダンプティが塀から落ちた夢を見た後、大学では玉子と呼ばれていた博士研究員が屋上から墜落死していた。


亜理が、生牡蠣を喉に詰まらせてグリフォンが窒息死する夢を見ると、牡蠣を食べた教授が急死する事件が現実に起きていた。

どうやら夢の世界と現実はリンクしているらしい。

不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋がアリスを容疑者にする。

果たして事件の真相とは?

不思議な不思議なミステリー。


ネタバレ感想


ほんまややこしい(笑)

不思議の国のアリスの名物である堂々巡りの会話も好きだからこそ許せる。

現実世界(地球)と不思議の国の世界がリンクし、お馴染みのキャラが登場。

どのキャラが誰だろと当てはめながら読んでいきます。

事件の真相に驚いたけれど、それ以上に井森の退場に凹んだ。

現実の井森は、不思議の国と違いすぎる。

文体にすごく癖があるけど、ハマると面白い。

吐き気をもよおすほど気持ち悪い表現があるので、耐性ない人はお薦めしない。

この作品、メルヘン殺しシリーズとしてシリーズ化しています。

ただ、作者さんがお亡くなりになったので4作で完結のようです。

まだまだ読みたかったです。

『アリス殺し』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★☆☆ 3








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