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2026年6月24日水曜日

『汝、星のごとく』凪良ゆう 感想レビュー 選択の物語

 『汝、星のごとく』

好きだけでは無理

子供を散々傷付けた親は、さらに子を縛り付ける。

親に翻弄され生きていく男女2人の物語。

第20回本屋大賞受賞作。

凪良ゆうさんは初読み作家さんだが読みやすい文体だった。

2026.10.9公開。

すれ違いが苦しい作品。



あらすじ



瀬戸内の島で育った暁海(あきみ)の父は、浮気し
て家から出て行った。

母が恋人を追っかけ、京都から転校してきた櫂(かい)。

心に孤独とメンタルが不安定な母親を抱えた二人が恋に落ちる。

だが、愛情だけでは幸せになれず、すれ違いは続く。

15年に渡る、愛と選択の切ないラブストーリー



ネタバレ感想


親捨てるべきだ。


だけど東京に出た櫂でさえ、母親を捨てきれずにいる。
マンション買ってあげて店をするといえば資金援助してあげ、おまけにそのせいでた櫂の貯金は底を付く。

都合の良い時だけ母親づら。

困ってる時は手助けしない。

作品の中で親を荷物と例えていたけれど本当にそうだと思う。
幸せな家庭で育つと親に対して何て酷いこと言うのだろうと思うかもしれないしフィクションだからと思うかもしれない。

でも現実にあるんです。

毒親育ちなら分かる。

胸が痛い。

高校生の時はもっと2人話してたよね。

距離になると話したくても話せない。

会えてもお互いの環境が変わったせいで会話は弾まない。

お互い思ってることを早く素直にぶつけ合ってたら解決していた。

歯痒さがずっと行ったり来たりする。

北原(きたはら)先生こそが最重要人物だと思う。

彼がいたからこその部分は大きい。

あと植木(うえき)さんも。

もっともっと幸せになれた2人だったはずなのに。

どこで間違ったのか2人は何も悪くないのに。

読み応えはあったが苦しい作品だった。

メンタル安定している時に読んだ方が良い。


この作品には度々

“夕星(ゆうづつ)夕方、西の空に見える金星”

という言葉が出てくる。

確かな愛だけど儚いってことなのかな。

すれ違いが過ぎた恋愛作品。



『汝、星のごとく』私の評価は★4


ストーリー ★★★★☆4

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★☆  4







2026年6月14日日曜日

『また君と出会う未来のために』 阿部暁子著 感想レビュー タイムループの続き

『また君と出会う未来のために』


居場所を失った少年


震災の話が出てくるので胸を打つ。

引き取られた先でも居場所がない少年が未来に行くストーリー。

今回は再会エンドになるのか?


あらすじ

仙台の大学生・支倉爽太(はせくらそうた)は、小学校三年生の時、

幽霊が出ると噂のある海で溺れた。

その時を2070年へと時間を超え、ある女性とひと夏を過ごす。

現代に戻れたあとも、未来で出会った女性を忘れられずにいた。
警察も保護者も当然ながら未来にいたという話を信じるわけでもなく、爽太はそのことを封印する。

だが、和希(かずき)という大学生だけは彼の話を信じた。
彼は過去から来た人に会ったことがあると言うが?


ネタバレ感想


デジタル化がそんなに進んでいない2070年の設定に違和感があった。

でも後に判明した事実に納得。

七緒と五鈴の関係性を疑ったが、ミスリード誘われただけだった。

どっちも数字入ってるって話してたから。


東北の震災の話は泣けるし
まどかの告白、義母との電話でも涙が出た。

恋愛面は前作の方が納得できる。

小学生が大人の女性を何年も忘れられないっていうのが謎すぎる。

ツッコミどころがある恋愛はおまけ要素と考え、
号泣必須作品だった。

爽太が肩身狭い思いで生きていくのは胸が痛かった。

和希は誰かに恋することあるのかな。

ラストは和希視点。

高津(たかつ)さん相変わらずぶっきらぼうで良い人。


『また君と出会う未来のために』私の評価は★3


ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★☆ 2

衝撃度   ★★★☆ 3

おすすめ  ★★★☆ 4






2023年7月26日水曜日

『アリスとテレスのまぼろし工場』岡田麿里著 感想・レビュー 変化することが許されない世界

アリスとテレスのまぼろし工場

変化は悪。工場に幽閉されたのは狼少女!? 


劇場アニメの原作。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本家によるオリジナル作品。

彼女が関わった『凪のあすから』は好きだった。

幻想的なストーリーが好きな人ならハマりそうな世界観。

夜の製鉄所


あらすじ


見伏(みふせ)で暮らす人々は、製鉄所の恩恵を受けて暮らしている。


その町で暮らす中学3年生の菊入正宗(きくいりまさむね)の父も祖父も叔父も製鉄所で働いている。

自分も将来製鉄所で働くだろうと思いながら、正宗は友人たちと受験勉強をしていた。

そんな時、爆音が響き製鉄所が赤く燃え上がる。

変化を禁じられ日々を窮屈に過ごす正宗は、大人びた同級生の佐川睦実(さがわむつみ)に製鉄所の第五高炉にいる野生動物のような少女の世話を頼まれる。

その日から、正宗の心が少しずつ変化し始める。

それは同時に、この世界の均衡が破れる序章だった。  
廃電車






ネタバレ感想



登場人物

菊入正宗        主人公。絵を描くのが好き。中世的な容姿。
時宗(ときむね)    正宗の叔父。正宗の家に入り浸る。
昭宗(あきむね)    正宗の父。見伏の人間にしては珍しい地方私大出。
美里(みさと)     正宗の母。
宗司(そうじ)     正宗の祖父。

佐上衞         見伏神社の跡取り息子。
佐上睦実        目立たないが謎めいた少女。

園部裕子(そのべゆうこ)ショートヘアで体格が良い。睦実に嫉妬している。
           学級委員長。
安見(やすみ)     小柄で甘ったるい声の持ち主。

笹倉(ささくら)    正宗の友人。小太りでお調子者。睦実を気に入っている。
仙波(せんば)     正宗の友人。華奢。
新田(にった)     正宗の友人。大人びている。

五実(いつみ)     第五高炉にいる獣のような臭いを放つ少女。睦実に少し似ている。



アニメで見た方が分かりやすいかなと思える作品だった。

なぜなら、登場人物が多い割にキャラが立っておらず人物関係の把握に時間がかかった。

この人誰だっけと思いながらページを戻ったり。

見伏が閉じ込められた理由と、五実の正体が分かった時は面白くなったけれど、展開が雑。

ラストに向けて感動するでしょ泣けるでしょっていうのが伝わって無理だった。


主役の2人には魅力を感じない。

狼に呑まれることを望んだ仙波が印象的。

それに昭宗、時宗の方が魅力ある描き方だった。

五実を閉じ込めてた理由や、彼女に冷たく接していた睦実の理由もよく分からない。

正宗が結局言語を教えっちゃってるし。

なぜ言葉が話せないのか、行方不明になった年齢の時、話せてたのに?

原作を読まずに劇場版を見た方が良いかも。

色々消化不良。



『アリスとテレスのまぼろし工場』私の評価は★1


ストーリー   ★★☆☆☆ 2
キャラの魅力  ★☆☆☆☆ 1
衝撃度     ★★☆☆☆ 2
おすすめ    ★☆☆☆☆ 1




2023年5月1日月曜日

『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光 感想・レビュー 紙の本の魅力

電子書籍不可。タイトルとデザインが美しい

完全に第三者的な立場から読んだ。

透きとおるイメージ

主人公に感情移入はできず、誰に対しても共感できないけれど、読んでよかったと思える透きとおる作品。
あらすじ 

藤阪燈真(ふじさかとうま)は、フリーランスの校正者である母と二人暮らし。

父は、大御所のミステリ作家の宮内彰吾(みやうちしょうご)。

だが、父とは一度も会ったことはない。

なぜなら、父は妻帯者でありながら母と交際していたからだ。

母を亡くし1人で生きていた燈真は、父の訃報を知る。

そして、ある日、宮内の長男から連絡が入る。

その内容は、親父が死ぬ間際に書いていた遺作を探してほしいという依頼だった。


ネタバレ感想


女癖は悪いけれど、ミステリ作家としての父親は超一流。

複雑な思いに駆られながら、燈真は父と関係の深かった3人の女性に会いに行く。

父の大ファンであり、母とも親しくしていた文芸編集者の霧子(きりこ)さんが怪しいなと思いながら読みました。

でも、父がどこかで書いていただろう『世界でいちばん透きとおった物語』という小説の内容を、燈真同様知りたくてうずうずします。

三分咲き
彼は贖罪のつもりで書いたのか、ミステリの最高傑作なのか、それとも書ききれなかった作品なのかが気になるところ。

燈真は、なぜバイトしかしてないんだろう、霧子さんが好きとか無理やんと思いながら読み進めていきます。

燈真の邪魔をする存在が現れた辺りから、ミステリっぽくなって面白くなります。

そして真実にたどり着いたとき、感動の波が押し寄せた。

必ずラストまで読んでほしいし、気付いて欲しい。

タイトルの意味も。

京極夏彦さんの作品も読みたくなった。

電子書籍での出版の予定はないそうです。

『世界でいちばん透きとおった物語』私の評価は★3


ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★★★★  5 
おすすめ   ★★★★☆  4



2023年4月30日日曜日

『線は、僕を描く』砥上裕將 感想・レビュー 白と黒の水墨画の世界

人生を変える出会い


どこで運命的な出会いが起きるか分からない。


そう感じさせずにはいられない小説。

この小説は、水墨画という美術界の中でも馴染みのないフィールドを描くが、全く分からない私も入り込めた。

静かだけどしっかりした文章で緩急ある作品になってる。

横浜流星さん主演で映画化している。


あらすじ


大学生の青山霜介(あおやまそうすけ)は、バイト先で篠田湖山(しのだこざん)に声をかけられ、運命の出会いを果たす。

黒い線だけで表現された【水墨画】の世界に、彼はどっぷりと浸かっていく。

ガラスの箱から這い出せなかった霜介の世界が、瞬く間に変わりはじめる。






ネタバレ感想


実際に本物の水墨画見て見たくなった。

元々のセンスは大事。

でも出来過ぎたストーリーだと思わない。

なぜなら霜介はちゃんと努力してるから。

朝起きてから日が沈むまでずっと描き続けて、食べることもそんなにせず。

ストーリーに緩急はなく、淡々と進む。

ドラマチックな展開はない。

空虚な青年が人と出会い、水墨画を通して描かれる人生を再生させるストーリー。

おいしいお茶飲みたくなった
水墨画に静かに対峙している姿が綴られるが、飽きは来ない。

千瑛(ちあき)とのベタな恋愛パートがあまりないのも良い。

霜介と湖山先生の会話に泣けた。

ちなみに霜介が影響を受ける翠山(すいざん)先生や斉藤さんは映画のキャスト欄になかった。

芸術家のタイプは色々あるんだなあと思った。

『線は、僕を描く』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★☆☆ 3
おすすめ   ★★★★☆ 4

2023年4月26日水曜日

『三日間の幸福』三秋縋 感想・レビュー 自分の命の価値は?

長い人生より凝縮された三日間


この作品は、「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」(全3巻)というタイトルでコミック化されています。

設定はリアリティがありません。

だけど、簡単に想像しやすく、ストーリーに入り込めます。ハードモードな人生を歩むのが特徴です。

救いようもなく、もがいてあがいて、これを勝ち取るために今まで苦しかったんだ、報われたっていう単純なストーリーでもなく。

答え合わせといきましょうか。

監視員が単純に10歳の時別れたあの子だと思っていた。


あらすじ


未来に何の価値も見いだせなくなった大学生のクスノキは、生活費にも困り、大切な本とCDを売る。

そこで、寿命を売ることができる店を教えてもらったクスノキは、命の査定をしてもらうが、付いた値段はとんでもなく安い金額だった。

彼の前に現れた監視員ミヤギを半ば鬱陶しく思いながら、死ぬ前にしたいことを考え、幸せを摑もうと張り切るが、何をやっても上手くいかなかった。



ネタバレ感想   

❝「答え合わせといきましょうか。」❞

連絡を取った人たちと和やかな雰囲気になると勝手なイメージを持っていたクスノキだが、この言葉で現実を知る。

こういうところが、三秋さんの小説が好まれる理由かな。

途中までヒメノとミヤギが同一人物だと思ってた。

ミヤギは10歳で別れたヒメノで、再会した2人は離れていた間の思い出話をしながら、残りの人生を過ごすという単純なストーリーではなかった。

ヒメノはクスノキを恨んでいるし、仲良かったナルセも実はそこまで好きじゃなかったとか、人生イージーモードじゃないんだなってとこにリアリティがあった。 

サラリーマンの生涯年収は、2~3億円と言われているから、自分の価値もそれくらいで億単位を貰えると思っていたら、1年1万円という破格の値段。

そして、その値段も違っていて本当は30円。

缶ジュースより安い値段だった。

きっと私もこんな値段なんだろうな。

自販機巡りという発想もすごいなと思った。
レトロ自販機


蛇足的な部分や後付け感が多くて、そうだったっけ?ってなるところがあるが、元はWEB小説だと聞いて納得。

クスノキは友達はいないと言っていたのに、高校生時代はナルセと過ごしていたとか、アピールしてくれてる女の子いたとか。

小学生時代も途中までだけどヒメノと一緒に過ごしてた。

ずっとぼっちってわけじゃない。

さらにクスノキは、容姿にちょっと恵まれているし、ヒメノは超絶美少女だった。

ヒメノに囚われすぎて、幸せを掴めなかった。

だけど、ラストは良かった。

周りの目を気にせず、ミヤギをエスコートする彼は素敵だった。

クスノキとミヤギの三日間は詳しく描かれていないけど、そこもまた良い。

『三日間の幸福』私の評価は★3


ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★★☆☆  3






『難問の多い料理店』結城真一郎著 感想レビュー 本当の真相は闇の中

  最後まで分からないオーナーの正体                ウーバーイーツ、インフルエンサーなど現代ネタを題材にしているのでネットに疎い私は、ほうって感嘆できた。 『#真相をお話しします』 より インパクトは少ないけれど、それなりに楽しめる。 あらすじ 転んでもただでは...