みんな平等の理想郷を求めて
緑の瞳と黒い瞳を持つ人間が存在する国で、総理大臣になりたい少女と気難しい少年2人の純愛もの。
ちょっとしたことで意地になったり、青春の甘酸っぱさを経験し、遠回りした恋愛を描く。
あらすじ
自分の声質が気に入らず、寡黙を選んだ坂口孝文(さかぐちたかふみ)は、全寮制の名門進学校、中高一貫校・制道院学園に入学。
そこでは寮が紫雲・青月・白雨(しうん・せいげつ・はくう)紅玉・黄苑・黒花(こうぎょく・おうえん・こっか)と6つに別れていた。
中等部2年、緑色の目を持ち、世界的に有名な映画監督、清寺時生(せいじときお)を養父にもつ茅森良子(かやもりりょうこ)が転入。
そんな彼女の夢は総理大臣になること。
幼少時代、少しだけ目に触れた清寺の幻の脚本「イルカの唄」に感化され、真の平等な社会を創ることを目標にしている。
まずは、制道院で生徒会長になることを目指す茅森だが、紅玉寮に入ったことで学校中から嫌われる。
そんな彼女と同じ図書委員になった坂口は、いつしか協力関係を結んでいく。
ネタバレ感想
河野裕さんの作品は階段島シリーズのみ読破。
❝「独りきりなら、歌うしかない」❞
文章表現がとても綺麗で、その言葉を使いたい為にストーリーを作ってるようなスタイルは変わってない。
意味は何となくニュアンスで理解しています。
倫理観にも触れていますが、深く考えたらよく分からない(笑)
タイトルは素敵です。
河野さんは、優等生タイプで意志が強く、ちょっとみんなから一目置かれてる女性が好みなのかな。
2人のメイン主人公が交互に語る形で描かれて、どっちの心情も深く描かれている。
好きだけど嫌いだという茅森と彼女に強く惹かれている坂口との意地の張り合いが見もの。
橋本先生と坂口の口論が印象的。
そこからの制道院学園の伝統行事、拝望会は感動的だった。
歩く距離や長い階段を想像したら参加したくないと思うが、しんどいだけでなく参加したからこそ分かる爽やかな感動が胸を打つ。
好きな人も苦手な人も同じ笑顔を向ける茅森は素晴らしい人物だと思うし、決して前に出ずに清掃員という組織を作り、徐々に人数を増やしていった坂口の手腕も凄いと思う。
でも、私はこの2人が現実にいたら苦手だろうなって気がした(笑)
八重樫、桜井、中川先生とは仲良くなれそう。
茅森を思ってしたことだけど、「イルカの唄」を隠した坂口は自分勝手だと思う。
作中にも触れているけど茅森の貴重な青春の思い出を灰色にしやがってと思った。
イルカに準えて周波数って言葉がやたら出てくるけど素敵だった。
登場人物
坂口孝文 …白雨寮。厳しい祖母に苦手意識を持つ。妹が2人いる。
茅森良子 …児童養護施設で育つ。緑の目を持つ。両親を知らない。
綿貫条吾(わたぬきじょうご) …坂口と同室。車いす。
八重樫明美(やえがしともみ) …緑の目を持つ。綿貫と仲が良い。
桜井真琴(さくらいまこと) …紅玉寮。坂口と小学校から同じ。坂口が昔好きだった相手。茅森を嫌う。
橋本先生 …歴史担当。制道院で人気のある教師。
中川先生 …司書教諭。坂口を気にかけてくれる。
原田祥子 …前副会長。紅玉寮に影響力を持つ。
月島渚 …茅森の実母。清寺映画に4本出演。
清寺時生 …制道院学園出身。映画監督。茅森の養父。
『昨日星を探した言い訳』私の評価は★3
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★★☆☆☆ 2
おすすめ ★★★☆☆ 3