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2024年7月16日火曜日

『俺ではない炎上』浅倉秋成著 感想・レビュー 自分たちは悪くない

 『俺ではない炎上』双葉文庫

SNSの成りすまし

他人事とは思えない。

アカウントが乗っ取られるのをたまに聞くし。

犯人は誰?

そして、泰介(たいすけ)は無実を証明できるのか。

コンテナハウスイメージ

誰も冤罪を信じてくれない、逃げるしかない。

犯人は狡猾。

スピード展開の現代の逃亡劇。


あらすじ

ある日、たいすけというアカウントが殺害を仄めかす写真を投稿し炎上する。

大手ハウスメーカーの営業部長である山縣泰介(やまがた)は、特定犯によって実名と顔写真を晒され、「女子大生殺害犯」として大炎上。

かの泰介はネットに弱く、問題のアカウントを作ったことも投稿したことなど全くなかったが、会社の人間や家族、警察、誰一人として彼のことを信じてくれなかった。

逃げなければいけない。

泰介は必死の逃亡を続けながら、彼を陥れた犯人を探そうとする。


ネタバレ感想

騙された―。

こんなラスト絶対分からない(笑)

貫井徳郎さんの『慟哭』を思い出した。

後で、○○ターンだけ読み返した。

巧みすぎるわ(笑)

序盤は無実の罪で終われる泰介が不憫で読むのが苦しかったが、サクラ(んぼ)登場で一気に面白くなり、後半怒涛の展開。

誰もが自分が正義だと思っている。

自分たちは正しい。

間違っていない。

この本を読んで、自分自身を振り返ってみようと思った。

悪いと思ったら謝ろう、修正しよう。

山縣泰介はきっと変わる。

人に恨みなど買うわけがないと思っていた彼への評価がことごとく違っていたのも面白い。

イヤミスじゃなくて良かった。

シーケンの青江(あおえ)さん好きすぎる(笑)


『俺ではない炎上』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★★  5

キャラの魅力 ★★★☆☆  3

衝撃度    ★★★★★  5

おすすめ   ★★★★★  5

2024年4月29日月曜日

『九度目の十八歳を迎えた君と』浅倉秋成著 感想・レビュー どうでもいいことに一生懸命になれる高校時代


不器用な青春時代

みんな夢を諦めたわけじゃない、今できる最良の跳躍をするんだ。

社会人になった今なら分かることだけど、あの頃気の利いた言葉が全く出てこなかった。

これは、タイムループ作品ではないしファンタジーでもない。


浅倉さんの伏線が光る青春ミステリ作品。


あらすじ

そこそこの印刷会社で営業マンとしてのノルマを熟す間瀬(ませ)は、通勤途中のホームで、同級生の姿を目撃する。

彼女は、僕が高校時代に恋をした二和美咲(にわみさき)だった。

だが、二和は制服に身を包み、見た目もあの頃のまま、未だ十八歳として高校に通っていた。

僕と二和は同い年。

本来ならば30歳目前であるはずだった。

なぜか周囲の人たちは彼女のその姿を違和感なく受け入れる。

僕は、現在の彼女の同級生と協力し、 原因を探っていく。


ネタバレ感想

設定に無理があるし、ん?となる箇所もあるけれど、その辺はさすが浅倉秋成さん、ラストまで読ませる筆力がありました。

間瀬の原因とか、二和さんの返事とかうやむやで終わってしまったが、全体を通して自身の青春時代とリンクさせたりして面白かった。

間瀬が彩雲に入れた夢、一番知りたかったな。

戻って来た彩雲を手に取るシーン、ちょっと泣きそうになった。

彩雲

同級生たちがそれぞれ大人になっていてみんないいやつ。

二和が一番掴みどころない感じ。

『教室が、ひとりになるまで』と違って、キャラが魅力的なのが良い。

真鍋と教頭先生が好き。

『サニー』と呼ぶのが笑っちゃうけど、ほうじ茶と和菓子を持って新聞部に居座る教頭先生がかわいい。

“青春の空回り"うまいこと言うなあと感心。


『九度目の十八歳を迎えた君と』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★★★☆  4
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★★☆☆  3

2024年4月4日木曜日

『教室が、ひとりになるまで 』浅倉秋成著 感想・レビュー 最高のクラス、もう二度と会いたくない友達

教室が、ひとりになるまで 

スクールカースト、ヒエラルキー

学生時代、自身の立ち位置がどの層だったかによって、この本の内容の受け止め方が変わると思う。

4人の受取人という非現実的なストーリーの特殊ミステリ。


だけど読み応えあるし、綺麗に終わります。


あらすじ


さようなら。もう二度と会いたくない、××の友達たち。


私立北楓高校のクラスで起きた連続自殺事件。

そのクラスは合同でレク企画を立ち上げる最高のクラスだと思われていた。

「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります」

彼らは何故、同じ文面の遺書をしたためて自殺をしたのだろうか。

幼馴染の白瀬美月は、怯えながら垣内友弘に話す。

みんな死神に殺された。

次はこずえの番だと。

そんな中、垣内に不思議な手紙が届き、嘘を見破れるという能力を授かる。

3人の死の真相を追いながら、たどり着いた真相とは。


ネタバレ感想

もし、この本を中学生高校生時代に読んでいたらとても苦しくなったかもしれない。

友達と仲の良いフリをするのは疲れる。

強制参加のレク企画。

楽しいのは一部だけ。

俺らは頑張って最高のクラスにしようとしてたんだよという思いは人によっては迷惑なだけ。

偽物の友達ごっこ。

わりと犯人(死神)は早く分かる。

後は、犯人の能力や目的は何なのかに焦点を当て、垣内は一軍の生徒と一緒に動き回る。

読み進めていくうちに、タイトルの「ひとりになるまで」の意味合いが変わって来る。

動機は分かったけれど、犯人はそれだけで3人の生徒を自殺させるのはひどい。

お咎めもないんだよね。

そして八重樫の暴力はちょっと無理。

主人公の垣内が何考えてるのかよく分からないのは、ちゃんと意味があった。

伏線回収はさすが。

美月が綺麗な心の持ち主なのが救われた。

『教室が、ひとりになるまで 』私の評価は★4


ストーリー  ★★★★  4
キャラの魅力 ★★★   3
衝撃度    ★★★   3
おすすめ   ★★★   3




2023年6月21日水曜日

『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成 感想・レビュー 綺麗な人間などいない

 就活最終選考!選ばれたエリート6人の嘘と真実


最高のチームだったはずの6人。

告発封筒をきっかけに、培った関係性が脆く崩れ落ちていく様を描いたミステリ。

面接官と就活生イメージ

誰にも咎めらない人生を歩んだ綺麗な人間などいない。

人は簡単に堕ち、自暴自棄になり、誰も信用できなくなる。

犯人は誰?そしてその意図とは?

何度も騙され裏切られる──。


あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の初の新卒採用。

狭き門を掻い潜り、最終選考に残った六人。

彼らに与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。

その結果、全員採用もあり得ると鼓舞され、一同は交流を深め、それぞれの得意分野を駆使し、最高のチームへと成長する。

だが、本番直前に課題の変更がメールされ、愕然とする。

企業イメージ

それは、「ディスカッションで一人の内定者を決める」という内容だった。

六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになってしまう。

そして当日、最終議論が進む中、封筒が発見される。

そこには個人名と共に6通の告発文が入っていた。


ネタバレ感想

登場人物

波多野祥吾(はたのしょうご)── 立教大学経済学部。物事を俯瞰するのが得意。嶌に想いを寄せている。 

九賀蒼太(くがそうた)── 慶応大学総合政策学部。爽やかな好青年。容姿端麗。リーダーシップを早々に発揮。

袴田亮(はかまだりょう)── 明治大学国際日本学部。ガタイがいい。高校時代は野球部主将。場を和ます達人。

矢代つばさ(やしろつばさ)── お茶の水女子大学教育学部。国際文化を学び、知り合いが多い。語学力に自信あり。モデル風美人。

嶌伊(しまいおり)── 早稲田大学文学部。小柄で色白。清純系美人。

森久保公彦(もりくぼきみひこ)── 一橋大学社会学部。秀才。やや無口。眼鏡をかけている。

人事採用担当の裏の顔も見える。

相手の本質を見抜くのは100%無理。

落とした学生の中に優秀な奴は1万%いた。
月の裏側は汚い?


バイトリーダー、サークルリーダー、ボランティアリーダ

ーを務めてたと豪語するのは面接あるあるで、しっかり

バレているんだと思った。

大学生の時にこの本に出合いたかったなー。

何回も騙されて展開が読めなかった。

たくさんあっただろう伏線も全然気付かなかった。

再読してもっと深く読みたい。




↓↓ 本当にネタバレするので注意 ↓↓


私なりに疑問に思ったことを自己解決してみたが、違う意見もあるかも。

Q:波多野はなぜ封筒の処分をしなかった?

A:ゲームソフトを返し忘れるぐらいだから、単純に忘れてた…?



Q:嶌は波多野が好き?

A:波多野の腹黒さを知った為、妹に嘘をついた。

  嶌は、久賀に俺のことを見てたよね?と言われていた。
  
   波多野妹に、票は好きな人に入れると言われ嶌は、鋭いと思った。そのことから、
 ずっと久賀に投票していた嶌は彼が好きだったと分かる。


Q:波多野の罪は?

A:分からないまま。


Q:嶌は、波多野の前でなぜ泣いた?

A:ジャスミンティーを印象付けるためか、月の伏線を使いたかったからか??


Q:嶌は、なぜ就活生を◎に変更した?

A:疑うことを知らない彼女がどう変わっていくか見届けるため??



私の印象の変化


キャラの印象がころころ変わり、何度も騙される。

ある一面だけを見て、その人を良い人、悪い人と決めつけるのは良くない。

それを月の裏側に例えていたので分かりやすかった。

矢代と袴田が良い人に変わった。

久賀は、嶌目線なので何とも。犯人だしね。


『六人の嘘つきな大学生』私の評価は★5


ストーリー  ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★★★ 5
おすすめ   ★★★★★ 5


『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...