2026年7月17日金曜日

『此の世の果ての殺人』荒木あかね著 感想レビュー タイトルの魅了通り

設定から興味をそそる

地球が滅亡するのに殺人事件を起こす必要があるのかという展開で話がすすむ。 

人があまりいなくなった町。

お金は紙切れと化し、食料の奪い合いが主流。

そんな中、教習所に通うハル。なぜ?

こんな設定、読まずにはいられない。


あらすじ

小惑星「テロス」が九州に衝突することが発表され、世界は大混乱。

住み慣れた地域を大勢が離れる中、小春は太宰府で自動車の教習を受け続けている。

ある日、教習車のトランクに身元不明の女性の遺体を発見。

拷問の末、滅多刺しにされていたようだ。

教官であるイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。


ネタバレ感想

キャラが個性的だった。

ハルはあまり主人公らしくなく、先生にしても頼りになるというわけじゃなく、たまに暴走する。

飽きることがないストーリー展開でわりと楽しく読めた。

ハルの弟との再会は悲しかった。

この作品はバッドエンドなのか。

衝突エンドは避けられない。

みんな一緒が良かったなあ。

ハルたちはどんな気持ちでテロスを見続けたんだろう。


『此の世の果ての殺人』私の評価は★4


ストーリー ★★★★☆ 4

キャラの魅力★★★☆☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★☆ 3



『存在のすべてを』塩田武士著 感想レビュー 血の繋がりか大切な人との時間か

『存在のすべてを』 



タイトルの意味と余韻


何が正解か分からずもがいてしまう。

恋愛要素少なめの読み応えたっぷりのミステリ作品。



あらすじ


平成3年、神奈川県で発生した前代未聞の2児同時誘拐事件。

犯人は捕まらず、3年の時を経て誘拐された子供が戻ってくる。

あれから30年。

当時警察担当だった新聞記者の門田は、あるきっかけで事件の真実をまた追い求める。


ネタバレ感想


芸術の縦社会が現代も続いているのなら
私たちは心を揺さぶる絵を見れてないんじゃないか。

人との繋がりが丁寧に描かれている。

一つ引っかかるのは里穂のストーカーぶり笑

執着と呼ぶべきか。

芸術に携わる方と記者は一見関係ないけど執着の点で交差する。

亮の存在のすべてをキャンバスに父から子に渡って筆を入れ続けているのに泣ける。

血の繋がりと家族愛がテーマだった。

お手伝いさんは出てきた瞬間から誰か分かった。

貴彦にはぜひ生きてて欲しい。

はっきりとした明記はなかったけれど、亮と貴彦は甥と叔父の関係だよね。


『存在のすべてを』私の評価は★3


ストーリー ★★★★★ 5

キャラの魅力★★★☆☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★★★ 5






2026年7月12日日曜日

『難問の多い料理店』結城真一郎著 感想レビュー 本当の真相は闇の中

 


最後まで分からないオーナーの正体              


ウーバーイーツ、インフルエンサーなど現代ネタを題材にしているのでネットに疎い私は、ほうって感嘆できた。

『#真相をお話しします』より

インパクトは少ないけれど、それなりに楽しめる。


あらすじ


  1. 転んでもただでは起きない ふわ玉豆苗スープ事件
  2. おしどり夫婦の ガリバタチキンスープ事件
  3. ままならぬ世の オニオントマトスープ事件
  4. 異常値レベルの 具だくさんユッケジャンスープ事件
  5. 悪霊退散 手羽元サムゲタン風スープ事件
  6. 知らぬが仏の ワンタンコチュジャンスープ事件  

ビーバーイーツ配達員の彼は、東京・六本木の雑居ビル内のゴーストレストランまがいの店へ向かった。

この店では、特定メニューを組み合わせた注文があった。

オーナーシェフは、配達員を派遣し謎を解く。

報酬は高額だが、口外は許されない。

6つの短編からなら現代ミステリ。

ネタバレ感想


ウーバーイーツの配達側視点から作品が読める。

全体的に面白い。

だけど納得できないやつもあった。

たとえば、とあるマンションの置き配の件をどうして相方が知ったのか。

指をどうして2本とも失ったのか。
そんな痛い思いして1本じゃだめだったのか、誠心誠意謝ったら良かったんじゃないか。

結局親友と彼氏はどうなったのか。

オーナーは真実を語るんじゃなく無理ない推理をするらしい。

オーナーは名前も不明なまま。

でもドラマ化したら見てみたくなるそんな作品。

『難問の多い料理店』私の評価は★3


ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★★★☆ 4

衝撃度   ★★★☆ 3

おすすめ  ★★★☆ 3








『刑事の境界線』宮島明道著 感想レビュー 盛り上がり切れなかった警察小説

『刑事の境界線』


善悪のグレーゾーン                   


装丁で面白そうって思わせた作品。

正義感溢れる刑事と堕ちた刑事の対比が描かれたストーリー。

ラストに向けて2人は緩やかに交差していく。




あらすじ

小金井中央警察署の刑事第一課盗犯係の馬場みどりは、取調室でくだらない言い訳をするスリ犯にイライラしていた。

さらに老舗のゲームセンターで金庫が盗まれる事件が発生。

一方、同署組織犯罪対策係の為井忠之は、ガサ入れのため後輩の佐竹と違法風俗店を張り込んでいたが、彼はその情報を横流ししていた。

正義感の塊である馬場と、裏の顔を持つ為井。

対照的な二人の運命を追う。


ネタバレ感想


登場人物が多すぎる。

新キャラが登場するがキーパーソンなのかそうではないのかいまいち分からない。

なので終盤にかけてめっちゃ混乱してくる。

人物を掘り下げているわけではないのであまり記憶に残らずこの人誰?状態。

風呂敷広げて上手いことまとめちゃった風で終わる。

その後どうなったんだろうと思ったが、印象には残らない。

馬場がスピナのメンバーと仲良くなる件は好感が持てた。


『刑事の境界線』私の評価は★1


ストーリー ★★☆ 2

キャラの魅力★★☆ 2

衝撃度   ☆ 1

おすすめ  ☆ 1




2026年6月24日水曜日

『汝、星のごとく』凪良ゆう 感想レビュー 選択の物語

 『汝、星のごとく』

好きだけでは無理

子供を散々傷付けた親は、さらに子を縛り付ける。

親に翻弄され生きていく男女2人の物語。

第20回本屋大賞受賞作。

凪良ゆうさんは初読み作家さんだが読みやすい文体だった。

2026.10.9公開。

すれ違いが苦しい作品。



あらすじ



瀬戸内の島で育った暁海(あきみ)の父は、浮気し
て家から出て行った。

母が恋人を追っかけ、京都から転校してきた櫂(かい)。

心に孤独とメンタルが不安定な母親を抱えた二人が恋に落ちる。

だが、愛情だけでは幸せになれず、すれ違いは続く。

15年に渡る、愛と選択の切ないラブストーリー



ネタバレ感想


親捨てるべきだ。


だけど東京に出た櫂でさえ、母親を捨てきれずにいる。
マンション買ってあげて店をするといえば資金援助してあげ、おまけにそのせいでた櫂の貯金は底を付く。

都合の良い時だけ母親づら。

困ってる時は手助けしない。

作品の中で親を荷物と例えていたけれど本当にそうだと思う。
幸せな家庭で育つと親に対して何て酷いこと言うのだろうと思うかもしれないしフィクションだからと思うかもしれない。

でも現実にあるんです。

毒親育ちなら分かる。

胸が痛い。

高校生の時はもっと2人話してたよね。

距離になると話したくても話せない。

会えてもお互いの環境が変わったせいで会話は弾まない。

お互い思ってることを早く素直にぶつけ合ってたら解決していた。

歯痒さがずっと行ったり来たりする。

北原(きたはら)先生こそが最重要人物だと思う。

彼がいたからこその部分は大きい。

あと植木(うえき)さんも。

もっともっと幸せになれた2人だったはずなのに。

どこで間違ったのか2人は何も悪くないのに。

読み応えはあったが苦しい作品だった。

メンタル安定している時に読んだ方が良い。


この作品には度々

“夕星(ゆうづつ)夕方、西の空に見える金星”

という言葉が出てくる。

確かな愛だけど儚いってことなのかな。

すれ違いが過ぎた恋愛作品。



『汝、星のごとく』私の評価は★4


ストーリー ★★★★☆4

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★☆  4







2026年6月20日土曜日

『一次元の挿し木 』松下龍之介著 感想レビュー 設定S級小説

『一次元の挿し木』

今も謎が解明されていないループクンド湖

第23回このミス大賞・文庫グランプリ受賞作

Q-TA(キュータ)さんの装画が素敵すぎる。

この作品を読んで「骸骨の湖」ループクンド湖を調べた人は多いはず。

遺伝子、恋愛、宗教、ミステリーが絡み、ギリシャ神話要素も加わってラストまで破綻なしのストーリー


あらすじ

ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠(はるか)がDNA鑑定にかけるが結果を見て驚愕。

なぜかそのDNAが四年前に失踪した妹のものと100%一致。

担当教授の石見崎(いしみざき)に相談しようと彼の家を訪ねるが、惨殺された後だった。

その後、古人骨を発掘した調査員も襲われた挙句、研究室からは古人骨が盗難に合う。

さらに嗅ぎまわったジャーナリストも行方不明。

悠は石見崎の姪と名乗る唯(ゆい)と共に失踪した妹を探す。

関係者たちが頑なに口を閉ざす理由は一体何なのか。








ネタバレ感想


監視カメラに牛尾が映らず、紫晴(しはる)の存在が全て否定され悠はカウンセリングを受けているとなれば、彼の妄想かと中盤衝撃を受ける。

ストーリー運びが素晴らしい。

クローンだとは割と早めに分かるが、それでも飽きさせない。

悠の紫晴への異常な執着と彼の美形設定が引っかかるぐらい。

彼女の見た目をすごく褒めてた悠だったが、それが皮肉となってしまうのが哀しかった。

牛尾(ミノタウロス)が追いかけてくるのがホラー展開過ぎて。

彼に殺された人たちの恐怖ったら。

あれだけ目立つ風貌の牛尾が捕まらず、事件がうやむやにされているのは警察内部に協力者がいたからか。

この作者さん、映画も絶対好きだよね。

紫晴切ないなあ。

一応ハッピーエンドなのかな。

終わり方は納得いく作品だった。


『一次元の挿し木』私の評価は★5


ストーリー ★★★★★

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★★★ 5





2026年6月16日火曜日

『青春テロリズム』朱宮あめ著 感想レビュー 1軍女子のステータス

“青春はデスゲーム”



学校を居心地良くするために一軍をキープする努力を惜しまない亜子(あこ)。

やがて彼女の裏の顔が暴露され地位が危ぶまれていく。

学校女子あるある青春ストーリー。



あらすじ


亜子は過去にいじめを受けていた。

クラスの1軍に属するため必死に努力する亜子。

進級したクラスでもそのカーストを守るため、
友人を吟味する。

そこで見つけたのがスタイルが良い美人のみやび。

一軍男子を彼氏に持ち、“完璧な日常”を守っていたはずだった。

だが、校外学習の班決めで、地雷女の茉莉奈(まりな)と同じグループになってしまう。

案の定、彼女のおかげで完璧な日常が崩れ始め出した。


ネタバレ感想


メインのキャラは3人。

淡島亜子(あわしま)

朝野みやび(あさの)

月宮茉莉奈(つきみや)に至っては青春とはままごとと言っている。

3人の誰になりたいかと言えば、9割の人間がみやびと答えるだろう。

茉莉奈は可愛いけれど一匹狼で虐待された過去がある。
両親のせいで性格が歪んでしまい他人を信用できない。

亜子は頑張って痩せてメイクに1時間かけ、笑顔を絶やさないようにしているが、あっさり茉莉奈に仮面を崩される。

彼氏に貢がされてるのは可哀想だったが

SNSへの投稿が酷すぎる。

だけど共感できるところは1番ある。

みやびは本当の友達がいないというけれど、そこまで特筆すべき問題じゃないと思う。

亜子と茉莉奈が公衆の面前で大喧嘩する。

一軍になりたかったんじゃなくて友達が欲しかったと気付く亜子。

3人は膿を出し切って本音を曝け出し仲良くなるが

現実はそんな生易しくないだろうなあ。

女子ほんまややこしい。

SNSがあるから余計に。

アプリがあるから見たくないものも見てしまうと消してくれた茉莉奈が好きになった。

こんなに上手く収拾つくかなと思うけど

続き気になり過ぎて一気読み。


『青春テロリズム』私の評価は★3


ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★☆ 2

おすすめ  ★★★☆ 3






『此の世の果ての殺人』荒木あかね著 感想レビュー タイトルの魅了通り

設定から興味をそそる 地球が滅亡するのに殺人事件を起こす必要があるのかという展開で話がすすむ。  人があまりいなくなった町。 お金は紙切れと化し、食料の奪い合いが主流。 そんな中、教習所に通うハル。なぜ? こんな設定、読まずにはいられない。 あらすじ 小惑星「テロス」が九州に衝突...