水準高いイヤミス短編集
貴志祐介さんの小説は知識が増えるし、情景の説明と心理描写が秀逸。
ジャンルはホラーが多く、人間の心理描写も長けていて後味が悪い作品も多いが
読みやすいしクセになる。『秋雨物語』は4作品からなる。
ネタばれ感想
1「餓鬼の田」
青田の恋愛事情にタンタロスが出てくる。
❝タンタロスはゼウスの子であり寵愛を受けていましたが、傲慢極まりなく、神々の秘密を吐露したり、息子を殺害して宴に料理として差し出したりしました。
そのため神々の怒りを買い、冥界に落とされ、飢えと渇きの罰を受けます。沼の水が顎まで来ても飲もうとすると水が引き、果物を取ろうとすると果実の枝が風吹かれ決して口にすることができません。
さらに不死であったため、この苦しみは永遠に続きループする❞
彼に憧れていた女性の幕引きは、一番ライトな感じで終わり読みやすかった。
2「フーグ」
失踪した作家の青山黎明(れいめい)の未完の原稿を読む担当編集者が主人公。
原稿の内容は常軌を逸し、青山の失踪は本人の意思なのかそれとも説明の付かない何かなのかでストーリーは進む。
別の場所に瞬間移動してしまう青山はフーグ(解離性遁走)を疑うが定義とは違う気がする。
貴志さんは作家なのにその職業を揶揄する言葉が度々出てきて笑ってしまった。
『さかさ星』の霊能者が登場している。
「フーグ」のラストが一番ゾクッとしたし、印象に残った。
3「白鳥の歌」
『天使の囀り』を何となく彷彿させる。
前半オーディオから声楽に関するうんちくが語られ、貴志さんじゃなかったら飽きてくる展開で着地点が全然分からない。
アムドゥスキアス(音楽の悪魔)に取りつかれた女性の話。
後味は悪い。
4「こっくりさん」
人生を終わらせたい小学生4人が闇バージョンのこっくりさんをする。
遼人以外の3人は自ら人生の選択を誤っていく。
何が言いたいのかよく分からなかった作品。
正常な人間があまり出てこなかった印象。
4作ともあまり印象に残らなかった。
貴志祐介さんは短編より長編の方が魅力的に感じる。







