2026年4月14日火曜日

『未来』湊かなえ著 感想レビュー 親ガチャはどうしようもなく

 『未来』


とてつもなく重い

『告白』は徹夜して読んだ。

この作品も徹夜必至。

未来からの手紙という湊かなえさんの作品ではめずらしくファンタジーで始まるが、

この作品も重く読むのが辛かった。

親ガチャ外れの子供たちが出てくる。

彼女たちに明るい未来はあるのかを問う作品。


あらすじ

「こんにちは、章子(あきこ)。私は20年後のあなた、30歳の章子です──」

ある日、章子の元に切手が貼られていない一通の手紙が届く。

章子は半信半疑ながらも、未来の自分に手紙を書いていく。

学校や家庭での出来事を綴る中、章子は不穏な状況に追い詰めれていく。



登場人物

佐伯章子(さえき)10歳の時、未来の自分からの手紙を受け取る。

佐伯文乃(あやの)章子の母。美貌の持ち主だが精神的に不安定。

佐伯良太(りょうた)章子の父。旧姓:樋口 文乃と駆け落ち。


林優斗(はやし ゆうと)章子の小学5年の担任。佐伯家に親身になる反面、文乃に惹かれていく

早坂誠司(はやさかせいじ)文乃が勤務するホテルで知り合い、同居する。

須山亜里沙(すやまありさ)章子の同級生。家庭環境に問題あり。

篠宮真唯子(しのみやまいこ)章子の小学4年の担任。母に捨てられ祖母に育てられた。

智恵理(ちえり)亜里沙が懐いている2つ上の姉のような存在。別人格が現れる。


森本誠一郎(もりもとせいいちろう)良太の親友。文乃の兄。火事が原因で命を落とす。


ネタばれ感想


森本は父親さえちゃんとしていれば、妹をずっと大事にしていたはず。

父親が鬼畜なせいで歪になっていった。

亜里沙の弟は父によって鬼畜に差し出される。

篠宮先生も母親のせいで一度堕ちてしまう。

彼女を思ってくれた原田君が良い人で涙出た。

なぜ、親は子供が幸せになる未来を望まないのか。

大人たちは子供を自分の道具だと思っている。

親さえ違っていればという少年少女が多く登場

親に裏切られた子供は脆く、成長して体は強くなるかもしれないけれど心は崩壊したまま。

子供は親が守るべき存在なのに彼らが心身とも傷つける。

ほんのちょっとだけ明るい未来の余韻を残したまま終わるのがまだ救いか。

これは覚悟して読んでほしいお話。


映画化(2026年5月8日公開)にあたり、キャストにつっこみたい。

松坂桃李(良太役)さんも細田佳央太(樋口良太役)さんもめっちゃイケメンやないかい。

原作は目が細く岩みたいな容姿だった。

映画は原作と内容は変わっているらしい。

子供がかわいそうな作品は好きじゃないけれど、大人たちこそ見てほしいと思う。



『未来』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆☆  3

キャラの魅力★★★☆☆  3

衝撃度   ★★★★★  5

おすすめ  ★★★☆☆  3

2026年4月10日金曜日

『キスに煙』織守きょうや著 感想レビュー 殺人犯でも愛してる

『キスに煙』


勝手に罪を背負って罰を受ける

芸術肌で内向的な塩澤(しおさわ)、圧倒的な技術を持つイケメン志藤(しどう)の関係性と内面を綴る美

しいミステリー。



あらすじ

フィギュアスケートを引退した塩澤は、かつてのライバル志藤の活躍の中継を見ていた。

生きる世界が違っても交遊関係を続ける二人。

だが、共通の知人が自宅のバルコニーから転落死する。

自殺をする人物だと思わなかったため、あらゆる疑念が浮かび上がる。


登場人物

塩澤詩生(しお)帰国子女。フィギュア界を引退後デザイナーに転向

志藤聖(ひじり)現役フィギュア選手。圧倒的パフォーマンスでトップに君臨する。かつての塩澤のライバル

三池絵梨世(みいけえりせ)塩澤のアシスタント。短期間だがフィギュアの世界にいた。

アレックス・ミラー 絵梨世の父。絵梨世の母、梨香子(りかこ)とは離婚済み。国籍はカナダだが日本に住んでいる。元フィギュア選手。引退後コーチに。志藤と折り合いが悪い。


ネタばれ感想

❝知られてはいけない。この恋も、この罪も❞

帯に完全に騙されたパターンです。

サスペンス要素はほぼなし、簡単に言うと綺麗なBL作品。

オフステージは完全に匂わせです。

特に動きもなく淡々とストーリーが進みますが、読ませるだけの文章の力量がありました。

何が言いたいかさっぱり分からないまま、志藤への気持ちが綴られます。

勝手に誤解し暴走して自殺してしまうのかって所は続きが気になりました。

言葉で伝えるって大事なんだなって思った。

前作の『花束は毒』がめっちゃ面白かったため、ハードルを上げてました。

装丁が似ているため期待してしまった。

ミラーは嫌いなキャラだったけど理由を知ると切なかった。


『キスに煙』私の評価は★2

ストーリー ★★☆☆☆  2

キャラの魅力★★★★☆  4

衝撃度   ★★★☆☆  3

おすすめ  ★★☆☆☆  2




2026年4月3日金曜日

『ぜんぶ、あなたのためだから』夏原 エヰジ著 感想レビュー 新感覚エゴイスティック・ミステリー


良い人の基準とは        

昨日の友は今日の敵

誰のことなら信じることができる?


人間の本質を見抜き、上っ面だけで勝手に良い人悪い人の評価を下さぬこと。

SNSじゃないんだから。

人間不信助長ストーリー


あらすじ


結婚披露宴のさなか、新婦の沙也香(さやか)が余興中吐血して倒れてしまう。



一部始終見ていたカメラマンの桜庭(さくらば)に協力を仰ぎ、新郎の和臣(かずおみ)は                  シャンパンに毒を混入した犯人を捜す。

だが、彼女の親友や母のどす黒い感情が明らかになり、人間不信になっていく。

さらに沙也香のとんでもない過去が分かっていく。

ネタばれ感想


私は女なので、沙也香の弱々しさもわざとなんじゃないかと初めから疑ってた笑

いるいるこういう寄生虫女。

過去に人をいじめておいてメンタルやられるって…。

沙也香の過去が分かってもそれでも愛する宣言をする和臣が、どんどんサイコパスに見えてきた。

か弱い女を守ってあげてる自己陶酔型ヒーロー。

親も親友も、みんなが口をそろえて「沙也香のために」と自分のとんでも行動は全て彼女を思ってのことと発言。

開いた口が塞がらない状態で、物語は進んでいく。

最後の良心だと思っていたあの人まで裏の顔を持っていたとは騙された。

和臣と桜庭2人の視点から描かれて、読みやすかった。

でも読後感は良くない。

原作に割と忠実らしいドラマも見てみようかなあ。




『ぜんぶ、あなたのためだから』私の評価は★4

ストーリー ★★★★☆  4

キャラの魅力★★★☆☆  3

衝撃度   ★★★★☆  4

おすすめ  ★★★☆☆  3






2026年3月30日月曜日

『秋雨物語』貴志祐介著 感想レビュー 世にも奇妙な物語で使われそう

 『秋雨物語』

水準高いイヤミス短編集

貴志祐介さんの小説は知識が増えるし、情景の説明と心理描写が秀逸。

ジャンルはホラーが多く、人間の心理描写も長けていて後味が悪い作品も多いが

読みやすいしクセになる。

『秋雨物語』は4作品からなる。          



ネタばれ感想

1「餓鬼の田」

青田の恋愛事情にタンタロスが出てくる。

❝タンタロスはゼウスの子であり寵愛を受けていましたが、傲慢極まりなく、神々の秘密を吐露したり、息子を殺害して宴に料理として差し出したりしました。

そのため神々の怒りを買い、冥界に落とされ、飢えと渇きの罰を受けます。沼の水が顎まで来ても飲もうとすると水が引き、果物を取ろうとすると果実の枝が風吹かれ決して口にすることができません。

さらに不死であったため、この苦しみは永遠に続きループする❞

彼に憧れていた女性の幕引きは、一番ライトな感じで終わり読みやすかった。



2「フーグ」

失踪した作家の青山黎明(れいめい)の未完の原稿を読む担当編集者が主人公。

原稿の内容は常軌を逸し、青山の失踪は本人の意思なのかそれとも説明の付かない何かなのかでストーリーは進む。

別の場所に瞬間移動してしまう青山はフーグ(解離性遁走)を疑うが定義とは違う気がする。

貴志さんは作家なのにその職業を揶揄する言葉が度々出てきて笑ってしまった。

『さかさ星』の霊能者が登場している。

「フーグ」のラストが一番ゾクッとしたし、印象に残った。


3「白鳥の歌」

『天使の囀り』を何となく彷彿させる。

前半オーディオから声楽に関するうんちくが語られ、貴志さんじゃなかったら飽きてくる展開で着地点が全然分からない。

アムドゥスキアス(音楽の悪魔)に取りつかれた女性の話。

後味は悪い。


4「こっくりさん」

人生を終わらせたい小学生4人が闇バージョンのこっくりさんをする。

遼人以外の3人は自ら人生の選択を誤っていく。

何が言いたいのかよく分からなかった作品。

正常な人間があまり出てこなかった印象。



4作ともあまり印象に残らなかった。

貴志祐介さんは短編より長編の方が魅力的に感じる。


『秋雨物語』私の評価は★2

ストーリー ★★★☆☆  3

キャラの魅力★★☆☆☆  2

衝撃度   ★★★★☆  4

おすすめ  ★★☆☆☆  2







2024年12月9日月曜日

『水底のスピカ』乾ルカ著 感想レビュー 10年後も続く友達へ

 水底のスピカ (中公文庫)


自分は特別だと思いたい


装丁はめっちゃ人気のイラストレーター雪下まゆさん!


❝その転校生は、クラス全員を圧倒し、敗北させた――❞

このフレーズに騙された。

ドロドロをイメージするかもだけど、違います。

もっと爽やかで綺麗でじーんとくる青春ストーリーなんです。

あらすじ


芸能人のような美貌を携えた転校生が白麗高校にやって来る。

一躍時の人となった汐谷美令(しおたにみれい)は、『東京の人』と揶揄され孤立していた。

白麗高校中から注目を集めるが、些細な事からクラスで孤立してしまう。


そんな彼女に近づいた松島和奈(まつしまかずな)は、クラスで浮いている存在だった。

美令にあだ名を付けたスクールカースト上位の城之内更紗(じょうのうちさらさ)は、ひょんなことから二人と関わっていく。

それぞれの秘密を抱えている三人の濃密な一年を描く。

ネタバレ感想


彼女たちの悩みを知るまでは、和奈も美令も更紗も自己中人間なんだと思っていた。

背伸びをしすぎて美令と付き合っている和奈。

スクールカーストの上位に君臨している更紗。だけど体調不良だったら放っておく浅い人間関係

みんなの心配をよそに猛吹雪の中出かける美令。神様の見張り番という謎のセリフを吐く。

後半につれ、どんどんストーリーにのめり込んでいく自分がいた。

美令の悩みを知ってすごく苦しかった。

彼女の両親に腹が立った。

和奈の叫びに涙が出た。

海を克服し、ラストはすごく綺麗。

みんなの笑顔が眩しい。

男子2人はあまり目立たないけどこの3人のための功労者。

この圧巻のラストのためにこの本を読んだのだ。

再会した時の話も読みたいな。


『水底のスピカ』私の評価は★4

ストーリー ★★★☆☆  3

キャラの魅力★★★☆☆  3

衝撃度   ★★★☆☆  3

おすすめ  ★★★★☆  4

2024年11月6日水曜日

『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

 仮面 (角川文庫)

ディレクシアを知る

初読みの作家さんでした。

ページ数は多いけどすぐに読み終えました。

グロ描写ありです。


あらすじ

読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。

知的で爽やか、容姿も整っている為、三条人気に拍車がかかる。

一方、30代主婦の行方不明者を捜査する宮下(みやした)刑事は、以前に白骨死体で発見された別の女性との繋がりに気づく。

はたして、三条は二つの事件に関わっているのか。


ネタバレ感想

『レディK』の菊井(きくい)さんと小野田(おのだ)刑事はかっこいい。

性に奔放すぎるその他の女性は好きになれなかった。

イケメンだったら良いのか安易に近づいて軽すぎる。

ストーリーは面白かったが途中から失速。

あーそういうことねと分かってから、よく今まで逮捕されなかったなって思った。

そんなにすぐ殺害しなくてもと思った。

仮面を取った三条がバカすぎる。

メディアに作られた虚像なんだなあ。

暴力の描写は嫌悪感いっぱい。

実は○○だったとか終わり方さらっとしすぎてるかな。

三条の経歴は嘘だった。

ネット情報が何でも本当になってしまうのは怖い。


『仮面』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆☆ 3

キャラの魅力★★☆☆☆ 2

衝撃度   ★★★☆☆ 3

おすすめ  ★★★☆☆ 3






2024年10月28日月曜日

『この夜が明ければ』岩井圭也著 感想・レビュー 1人の遺体と6人の秘密 

この夜が明ければ (双葉文庫 ) 

お願いだから、通報しないで

季節バイト、衣食は提供されるみたいで給料も良い。

でも私にはこの仕事無理。


魚と血と刃物、そして周りに何もない場所、知らない人たちと2カ月の共同生活。

人には隠したい過去がある。

1人の遺体が見つかった為、暴かれていくそれぞれの過去。

長い一夜のサスペンス。


あらすじ

北海道で魚を捌く季節バイトに集まった20代~30代の七人の男女。

同じ宿舎に泊まり、気が合う合わないはあるものの表面上はそんなにトラブルもなく日々を過ごしていた。

だが、ある晩一人が遺体となって見つかり、警察を呼ぼうとした工藤秀吾(くどうしゅうご)はみんなから通報を阻止される。

それぞれ、全員警察を避ける訳あり人間だった。


一夜にして世界が反転。

そして犯人は誰?



ネタバレ感想

こういう季節バイトではコミュ力を発揮するのがいいか、誰とも交わらず静かに過ごす方がいいのかどっちなんだろう。

数ヶ月でリセットするしもう二度と会うことないメンバーだけど、楽しく過ごせた方がいい。

だけどやってくれたなー、単なる一人のわがままじゃないか。

疑心暗鬼に駆られたメンバーは、長い長い一夜を過ごす。

警察を避ける理由が一人一人明らかになる。

そんなことで?って思うのもあったけど思いは人それぞれ。

シュウは苦手だけど、一番無害を装っていた高井戸唯(たかいどゆい)がズルくて嫌いだ。

亮(りょう)と彩子(あやこ)さんは同情の余地あり。

サトマリとシュウは自分次第。

誰にも共感できないし、みんなそれでいいの?って終わり方だった。

性格はそんなすぐ変わるわけでもないし関係はすぐ破綻しそう。

このメンバーを雇ったバイト先が一番痛手かな。

でも一気読みで面白く読めた。

装丁も好き。


『この夜が明ければ』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆ 3

キャラの魅力 ★☆☆☆☆ 1

衝撃度    ★★☆☆☆ 2

おすすめ   ★★★☆☆ 3

『未来』湊かなえ著 感想レビュー 親ガチャはどうしようもなく

  『未来』 とてつもなく重い 『告白』 は徹夜して読んだ。 この作品も徹夜必至。 未来からの手紙という湊かなえさんの作品ではめずらしくファンタジーで始まるが、 この作品も重く読むのが辛かった。 親ガチャ外れの子供たちが出てくる。 彼女たちに明るい未来はあるのかを問う作品。 あら...