2026年6月20日土曜日

『一次元の挿し木 』松下龍之介著 感想レビュー 人間は愚かな生き物である

『一次元の挿し木』

今も謎が解明されていないループクンド湖

第23回このミス大賞・文庫グランプリ受賞作

Q-TA(キュータ)さんの装画が素敵すぎる。

この作品を読んで「骸骨の湖」ループクンド湖を調べた人は多いはず。

遺伝子、恋愛、宗教、ミステリーが絡み、ギリシャ神話要素も加わってラストまで破綻なしのストーリー


あらすじ

ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠(はるか)がDNA鑑定にかけるが結果を見て驚愕。

なぜかそのDNAが四年前に失踪した妹のものと100%一致。

担当教授の石見崎(いしみざき)に相談しようと彼の家を訪ねるが、惨殺された後だった。

その後、古人骨を発掘した調査員も襲われた挙句、研究室からは古人骨が盗難に合う。

さらに嗅ぎまわったジャーナリストも行方不明。

悠は石見崎の姪と名乗る唯(ゆい)と共に失踪した妹を探す。

関係者たちが頑なに口を閉ざす理由は一体何なのか。








ネタバレ感想


監視カメラに牛尾が映らず、紫晴(しはる)の存在が全て否定され悠はカウンセリングを受けているとなれば、彼の妄想かと中盤衝撃を受ける。

ストーリー運びが素晴らしい。

クローンだとは割と早めに分かるが、それでも飽きさせない。

悠の紫晴への異常な執着と彼の美形設定が引っかかるぐらい。

彼女の見た目をすごく褒めてた悠だったが、それが皮肉となってしまうのが哀しかった。

牛尾(ミノタウロス)が追いかけてくるのがホラー展開過ぎて。

彼に殺された人たちの恐怖ったら。

あれだけ目立つ風貌の牛尾が捕まらず、事件がうやむやにされているのは警察内部に協力者がいたからか。

この作者さん、映画も絶対好きだよね。

紫晴切ないなあ。

一応ハッピーエンドなのかな。

終わり方は納得いく作品だった。


『一次元の挿し木』私の評価は★5


ストーリー ★★★★★

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★★★☆ 4

おすすめ  ★★★★★ 5





2026年6月16日火曜日

『青春テロリズム』朱宮あめ著 感想レビュー 1軍女子のステータス

“青春はデスゲーム”



学校を居心地良くするために一軍をキープする努力を惜しまない亜子(あこ)。

やがて彼女の裏の顔が暴露され地位が危ぶまれていく。

学校女子あるある青春ストーリー。



あらすじ


亜子は過去にいじめを受けていた。

クラスの1軍に属するため必死に努力する亜子。

進級したクラスでもそのカーストを守るため、
友人を吟味する。

そこで見つけたのがスタイルが良い美人のみやび。

一軍男子を彼氏に持ち、“完璧な日常”を守っていたはずだった。

だが、校外学習の班決めで、地雷女の茉莉奈(まりな)と同じグループになってしまう。

案の定、彼女のおかげで完璧な日常が崩れ始め出した。


ネタバレ感想


メインのキャラは3人。

淡島亜子(あわしま)

朝野みやび(あさの)

月宮茉莉奈(つきみや)に至っては青春とはままごとと言っている。

3人の誰になりたいかと言えば、9割の人間がみやびと答えるだろう。

茉莉奈は可愛いけれど一匹狼で虐待された過去がある。
両親のせいで性格が歪んでしまい他人を信用できない。

亜子は頑張って痩せてメイクに1時間かけ、笑顔を絶やさないようにしているが、あっさり茉莉奈に仮面を崩される。

彼氏に貢がされてるのは可哀想だったが

SNSへの投稿が酷すぎる。

だけど共感できるところは1番ある。

みやびは本当の友達がいないというけれど、そこまで特筆すべき問題じゃないと思う。

亜子と茉莉奈が公衆の面前で大喧嘩する。

一軍になりたかったんじゃなくて友達が欲しかったと気付く亜子。

3人は膿を出し切って本音を曝け出し仲良くなるが

現実はそんな生易しくないだろうなあ。

女子ほんまややこしい。

SNSがあるから余計に。

アプリがあるから見たくないものも見てしまうと消してくれた茉莉奈が好きになった。

こんなに上手く収拾つくかなと思うけど

続き気になり過ぎて一気読み。


『青春テロリズム』私の評価は★3


ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★★☆ 3

衝撃度   ★★☆ 2

おすすめ  ★★★☆ 3






2026年6月15日月曜日

『ゲーム実況者AKILA』夏木志朋著 感想レビュー イケボ配信者

 『ゲーム実況者AKILA』

SNSの嘘と真実

『仁木先生』を読んでファンになった夏木先生の作品。

会話のテンポが巧みで面白いSNS絡みのストーリー。




あらすじ



学校でチー牛扱いされている周助は、ゲーム実況者・AKILAとして活動している。

視聴者はほぼゼロ。

エゴサーチで自身のファンアートを発見。

その投稿主は【チトセ】という女性だった。

彼もAKILAのファンだと言い、ネット上で仲良くなっていく。

やがて彼女からオフ会に誘われるが、本人であることを伏せて会うことにした。


ネタバレ感想


・ファン・アート

チトセを救って自身は全てを失うラストにそれでいいの?って思ってしまった。

彼女は彼氏がいるし何の感謝もしないのに。

チトセを切り捨てて登り詰めたら良かったのになあ。
勿体無い。

驚いたのが配信者の声って変えられること。

イケボで顔出ししてなかったら妄想膨らんで
絶対イケメンって思っちゃう。



・ヲチ

私は二作目の方が好み。

主人公のパーソナルについての相談相手がSNSの怪しげなサイトの人。

イケメンサラリーマンとヲチされてたコンビニ店員が揉めてるところが最高潮。

終着点が読めなかったけどラスト良かった。

この2人本当に親友になるのでは笑

何でこんな展開思いつくんだろう。(もちろん褒めてます)

ネット用語勉強になるしめっちゃ面白かった。




ゲーム実況者AKILA』私の評価は★4


ストーリー ★★★☆ 4

キャラの魅力★★★☆ 4

衝撃度   ★★★☆ 3

おすすめ  ★★★☆ 4















2026年6月14日日曜日

『また君と出会う未来のために』 阿部暁子著 感想レビュー タイムループの続き

『また君と出会う未来のために』


居場所を失った少年


震災の話が出てくるので胸を打つ。

引き取られた先でも居場所がない少年が未来に行くストーリー。

今回は再会エンドになるのか?


あらすじ

仙台の大学生・支倉爽太(はせくらそうた)は、小学校三年生の時、

幽霊が出ると噂のある海で溺れた。

その時を2070年へと時間を超え、ある女性とひと夏を過ごす。

現代に戻れたあとも、未来で出会った女性を忘れられずにいた。
警察も保護者も当然ながら未来にいたという話を信じるわけでもなく、爽太はそのことを封印する。

だが、和希(かずき)という大学生だけは彼の話を信じた。
彼は過去から来た人に会ったことがあると言うが?


ネタバレ感想


デジタル化がそんなに進んでいない2070年の設定に違和感があった。

でも後に判明した事実に納得。

七緒と五鈴の関係性を疑ったが、ミスリード誘われただけだった。

どっちも数字入ってるって話してたから。


東北の震災の話は泣けるし
まどかの告白、義母との電話でも涙が出た。

恋愛面は前作の方が納得できる。

小学生が大人の女性を何年も忘れられないっていうのが謎すぎる。

ツッコミどころがある恋愛はおまけ要素と考え、
号泣必須作品だった。

爽太が肩身狭い思いで生きていくのは胸が痛かった。

和希は誰かに恋することあるのかな。

ラストは和希視点。

高津(たかつ)さん相変わらずぶっきらぼうで良い人。


『また君と出会う未来のために』私の評価は★3


ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★☆ 2

衝撃度   ★★★☆ 3

おすすめ  ★★★☆ 4






2026年6月9日火曜日

『どこよりも遠い場所にいる君へ』阿部暁子著 感想レビュー ノアの方舟には乗らない

 2026.10.9公開『どこよりも遠い場所にいる君へ』


いつか行ってみたい場所       

 

『マレビト』『神隠し』

タイムループ。

ミステリー好きなら興味をそそるワードがちらほら。

恋愛ものは展開がワンパターンだが

ラストが読めなかった作品。

アニメの予告編を見てクオリティ高そうで歓喜。

とたさんが歌う『鳳仙花』(ほうせんか)めっちゃイメージぴったり。

ボーイミーツ作品。


あらすじ

月ヶ瀬和希(つきがせかずき)は、スマホを捨て一切知り合いのいない離島の采岐島(ときしま)高校に進学を決める。

采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる立ち入り禁止場所があった。

ある夏、和希は神隠しの入り江で倒れているの少女を発見する。

どうやら彼女は「1974年」から来たらしい。

そんな不思議な少女と交流するにつれ、過去の出来事が浄化されていく和希だった。


ネタバレ感想

主人公は顔面が強い。

もし容姿が優れてなかったらもっと叩かれていたんだろうなあ。

顔も見せない無関係の人間たちが特定の人物を攻撃するSNSの問題も提起されていた。

父親何も悪くないのに。

和希は幹也(みきや)とか高津(たかつ)さん、仁科(にしな)先生といったある種カリスマ性を持った人たちが周りにいて恵まれている方だ。

まあフィクションなんだけど。

人の親切を蔑ろにする主人公が苦手だったが、ラストの展開が予想外すぎて後を引く作品になった。

サイコパスも出てくるし。

だってこういった作品、大抵ハッピーエンドだよね?

涙という煽り文句のせいで構えてしまって泣かなかった。


どこよりも遠い場所にいる君へ』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆ 3

キャラの魅力★★☆ 3

衝撃度   ★★★☆ 4

おすすめ  ★★★☆ 4








2026年5月27日水曜日

『神様ゲーム』麻耶雄嵩著 感想レビュー 神様と名乗る少年

 『神様ゲーム』

イヤミス

登場人物は神様と名乗る少年と、少年探偵団。    


動物の虐待は心を傷めるので読むのを躊躇したが

ヒグチユウコさんの装丁に惹かれてしまった。

猫の事件から始まり、殺人事件も起きてしまう。

神の天誅で事態は思わぬ展開へ。

読後感はすっきりしないが読みやすい。

ラストは納得いかないしもう一度読みたくはないが

面白いミステリー小説。


あらすじ

芳雄(よしお)は同じ町内のメンバーと鬼婆屋敷と言われる廃屋に集まっていた。

浜田探偵団のミーティングだ。

猫殺しの犯人を探すため探偵団は意見をぶつけ合う。

芳雄は神様と名乗る謎の転校生鈴木から

犯人の名を聞いたが半信半疑だった。

容疑者を見張る中、芳雄の親友が事件に巻き込まれる。


ネタバレ感想


主人公は小学生なのに語り口は大人。

神様だと名乗る鈴木少年に出生の秘密や寿命を言われるが素直に受け止めているのが不思議。

親友やミチルちゃん、そして〇〇

天誅を目の当たりにした割にはメンタル強すぎる。

ミチルの共犯者にあまり納得はいかないが

イヤミスなのは間違いない。

“ぼくがなぜ人間の願いを叶えなきゃならないんだ”

鈴木少年のセリフがゾクッとする。

天誅の後のウィンクも怖い。

児童向けの作品とされているのが不思議。

絶対読ませたくない。







『神様ゲーム』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆ 4

キャラの魅力★★☆ 3

衝撃度   ★★★☆ 4

おすすめ  ★★★ 3






2026年5月21日木曜日

『教育』遠野遥 感想レビュー セックス推奨学園

 

 『教育』


一体何の話?                              



1日3回オーガニズムを推奨する全寮制の学校。

彼らはそれが成績が上がるための行為だと洗脳され、至る所で監視カメラの元セックスに興じる。

生々しい描写はないが何の話か戸惑う。

新感覚狂気ファンタジー。


あらすじ

全寮制の学校。

私は、友人の真夏(まなつ)から恋人ができたと報告される。

翻訳部に顔を出すと部長で特進クラスの高木(たかぎ)が小宮(こみや)さんとセックスをしていた。

成績が全てのこの学校では上級生には絶対逆らってはいけない。

規律と欲望が渦巻く閉鎖空間で懸命に生きる少年少女たち、彼らは何を思うのか。



ネタバレ感想


洗脳。

生徒たちは何の疑いもなく学校のルールに従っている。
テストといえば第六感を駆使したカードの透視。

不確かな正答率によって進級が決まる。

成績はオーガニズムによって左右され、睡眠食べ物にも影響を受けると教育されている。

プール完備、ジムも完備、美味しそうなフルーツが食べれるのは羨ましい。

学校のおかしさに気付き洗脳の解けた真夏は堕ちていく。

時折りお化け屋敷やヴェロキラプトルの話、苺人間が登場する舞台劇が挟まれ、どっちが本編か分からなくなる。

現実か虚構かに翻弄されこの小説は一体何の話をしているのか混乱する。

内容は狂ってるけど読みやすい。

勇人は完璧に洗脳されてしまった。

今後真夏とは関わることはないだろう。

『わたしを離さないで』が好きな方なら読んでも良いかも。



『教育』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆☆ 3

キャラの魅力★★★☆ 4

衝撃度   ★★★☆ 3

おすすめ  ★★★ 3











『一次元の挿し木 』松下龍之介著 感想レビュー 人間は愚かな生き物である

『一次元の挿し木』 今も謎が解明されていないループクンド湖 第23回このミス大賞・文庫グランプリ受賞作 Q-TA(キュータ)さんの装画が素敵すぎる。 この作品を読んで 「骸骨の湖」ループクンド湖を調べた人は多いはず。 遺伝子、恋愛、宗教、ミステリーが絡み、ギリシャ神話要素も加わっ...