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2023年6月4日日曜日

『薔薇のなかの蛇』恩田陸 感想・レビュー 少女期終了、舞台はイギリスへ

 ゴシックミステリ。「理瀬シリーズ」最新作。

今回は冒頭からトルソー事件が起き、きな臭い。   

挿絵が多いのは嬉しい。

雰囲気作りは最高で、このシリーズやっぱり大好きだと再確認。


あらすじ

アリスは、友人のリセ・ミズノを、イギリスの田舎にある「ブラックローズハウス」と呼ばれる館に招待する。

その館は、国家の経済や政治に太いパイプを持つ貴族・レミントン一家が所有していた。

アリスの兄であるアーサーやデイヴと交流を深め始めるリセだが、その周辺では、首と胴体が切断された遺体が見つかり、世間を騒がしていた。

屋敷の主のオズワルドが誕生日に一族に伝わる聖杯を披露するのでは、興味津々の招待客。

ところが、敷地内で第二の死体が発見される。


ネタバレ感想


登場人物

リセ ──── 図像学に興味がある東洋人。禍々しい美しさを放つ。

アーサー ── レミントン家長男。S研究所に内定。思慮深い。

デイヴ ─── レミントン家次男。金融業界志望。リセを気に入る。

アリス ─── 考古学を選考。リセをブラックローズハウス招待。

聖なる魚


オズワルド・レミントン 屋敷の当主。一族の中心人物。

エミリア ── アーサーたちの上の妹。母と仲が良い。

アマンダ ── エミリアが連れてきた友人。アーサーを気に入っている。

キース ─── アーサーたちの年の離れた従兄弟。スタジオミュージシャン。

アレン ─── アーサーたちの叔父。長身。歴史学者。

ヨハン ─── 音楽家。


探り合う人間関係。

起きる事件は禍々しく不気味。

からくり屋敷。

さらに脅迫の手紙、密室の出来事、犯人はこの中にいる?

とミステリ小説あるあるをこれでもかという具合に網羅。

理瀬が主役なんだけど、一番まとも??なアーサー主体で描かれているので、黒理瀬は不足かな。

ヨハンの目的は達成されたようだけど、その辺はよく分からなかった。

再読した方がいいかな。

事件の報告をわざわざヨハンにする男性の意図も謎。

そして、理瀬とアマンダはどうやって目的の物を手に入れたか気になる。

続編があるような終わり方だった。

理瀬とアーサーが敵対する未来を早く見たい。


『薔薇のなかの蛇』私の評価は★5


ストーリー  ★★★★☆  4
キャラの魅力 ★★★★☆  4
衝撃度    ★★★★☆  4
おすすめ   ★★★★☆  4


2023年3月15日水曜日

特殊設定ミステリが面白い(帯のキャッチコピーが好き)

赤い隻眼

 特殊設定ミステリとは

❝ありえない状況、設定に置かれた中で起きる謎解きミステリー❞ 

が定説しつつある。

そのため、リアリティに欠け、ストーリーが少し強引だったり、キャラが盛りすぎてる場合もある(笑)

伏線も全部回収できてないし、ラストも納得いったりいかなかったり。

だけど想像は果てしなく広がるし、現実との境目が曖昧にはならない。

閉ざされた場所
程よく現実逃避ができるんです。

簡単に言えば、世にも奇妙な物語に出て来そうなストーリーかな。

もうちょっとストーリーは緻密だけど。

映画だったら『インセプション』が代表的かな。


❝ ❞ は、帯のキャッチコピーから。

私は、あらすじよりも帯の文面や装画に惹かれて買うことも多い。

帯でネタバレしている場合もあるから注意も必要なんだけどね。


夢が舞台

メルヘン殺しシリーズ

  1. アリス殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝最重要容疑者・アリス❞ ❝どれだけ注意深く読んでもこの真相は見抜けない❞
  2. クララ殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝おとぎの国の邪悪な殺人計画❞
  3. 『ドロシィ殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝<エメラルドの都>の密室殺人❞
  4. 『ティンカー・ベル殺し』小林泰三 装画:丹地陽子❝「妖精なんて虫と同じだろ?」❞



プロジェクト・インソムニア』結城真一郎…❝超絶どんでん返し❞


特殊能力系

『魔法使いの弟子たち』井上夢人…❝新興ウィルスの爆発感染。意識が戻ったわずか3人の感染者は、許されざる「能力」を身にまとった──❞
『FAIRY TAIL』の作者である真島ヒロさんが帯で絶賛されています。

新世界より』貴志祐介…❝ここは汚れなき理想郷のはずだった。❞

            ❝見せかけの平和がいま崩れる。❞

            ❝ここは病的に美しい日本。❞

            ❝恐怖とは内から芽ぐむ。❞

            ❝希望─阿鼻叫喚の果てに。❞

            ❝偽りの神に抗え。❞(アニメ)

ダークゾーン』貴志祐介…❝戦え。戦い続けろ。❞

             ❝盤上は現実、駒たちは幻想、敗北は死。悪夢の対局が幕を開ける❞

             ❝将棋の勝負を熟知!駒の心まで描くとは⁉❞


心霊探偵八雲シリーズ(20冊完結) 神永学 イラスト:鈴木康士


  1. 『心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている』…❝その赤い左眼は、魂を見る。❞
  2. 『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』…❝晴香、絶体絶命の危機!❞
  3. 『心霊探偵八雲3 闇の先にある光』…❝両目の赤い男登場!!❞
  4. 『心霊探偵八雲4 守るべき想い』…❝緊急事件発生。犯人は人間か⁉❞
  5. 『心霊探偵八雲5 つながる想い』…❝八雲、失踪。❞
  6. 『心霊探偵八雲6 失意の果てに』(上下巻)
  7. 『心霊探偵八雲7 魂の行方』…❝八雲VS鬼の伝説❞
  8. 『心霊探偵八雲8 失われた魂』…❝八雲が容疑者!?追い詰められた八雲の運命は…?❞
  9. 『心霊探偵八雲9 救いの魂』…❝八雲を襲う最大の危機!その時晴香は─!?❞
  10. 『心霊探偵八雲10 魂の道標』…❝最終章突入!❞
  11. 『心霊探偵八雲11 魂の代償』…❝なんと残酷な❞
  12. 『心霊探偵八雲12 魂の深淵』…❝さらば、八雲❞

スピンオフ

  1. 『心霊探偵八雲 SECRET FILES絆』
  2. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹』…❝赤い隻眼のヒーロー、神社にそびえる呪われた樹に挑む!!❞
  3. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 祈りの柩』…❝今度の幽霊は、ただ歌うだけ。❞
  4. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 裁きの塔』…❝晴香が、殺人犯──⁉❞
  5. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 亡霊の願い』…❝学園祭と恋にまつわる3つの心霊事件❞
  6. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 嘆きの人形』…❝一泊二日心霊謎解きツアー!❞
  7. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 沈黙の予言』…❝私の予言は必ず当たるの──❞


現実にはない世界

『クリムゾンの迷宮』貴志祐介…❝50ページを過ぎたら寝られません。極限デスゲームの"超"傑作!!❞

階段島シリーズ(6冊完結) 河野裕 イラスト:越島はぐ

 1. 『いなくなれ、群青』…❝11月19日午前6時42分、僕は彼女に出会った。❞

 2. 『その白さえ噓だとしても』…❝心を穿つ新時代の青春ミステリ❞

 3. 『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』…❝激動の第3弾❞

 4. 『凶器は壊れた黒の叫び』…❝慟哭の第4弾❞

 5. 『夜空の呪いに色はない』…❝決意の第5弾❞

 6. 『きみの世界に、青が鳴る』

理瀬シリーズ 恩田陸 イラスト:装画:北見隆(私なりの読んだ順番です)

1. 三月は深き紅の淵を』第4章…回転木馬 麦の海~のダイジェスト版 

   ❝その本はたった一人にだけ。たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。❞

2. 『麦の海に沈む果実』…本編スタート 記憶を失っている(白)理瀬が主人公

❝三月以外にやってくる転入生は、学園を破滅に導くだろう。❞

3. 『図書館の海』…睡蓮 理瀬の幼少時代 ❝十色の趣向、十色の愉悦―。❞  

睡蓮

4. 『黄昏の百合の骨』…本来の(黒)理瀬が主人公

❝「魔女の家」で──今、あたしは一人だ。一人きりで戦うのだ。❞

5. 『薔薇のなかの蛇』…❝変貌する少女。呪われた館の謎。❞


SF

時空犯潮谷験…❝何度だってあなたのために❞


re~シリーズ(4冊完結) 法条遥 装画:usi(ウシ)

1. 『リライト』…❝SF史上最悪のパラドックス その完璧にして無慈悲な結末❞

2. 『リビジョン』…❝絶対にはずれない予知能力 唯一の希望は過去にあった❞

3. 『リアクト』…❝時を駆ける少女 時を書ける少女 時を欠ける少女 時を賭ける少女❞

タイムパラドックスのイメージ
4. 『リライブ』…❝未来へ跳んだ夏 過去を変えた秋 時に挑んだ冬。すべては君の、完璧な春のために。❞





その他

名もなき星の哀歌』結城真一郎…❝あの一曲が僕たちの未来を変えた。痛快にして予測不能、新時代の青春ミステリ❞

クローズドサスペンスヘブン』五条紀夫…❝──天国は殺人現場でした。❞



2023年2月9日木曜日

『麦の海に沈む果実』恩田陸 感想・レビュー 学園が舞台の幻想的なミステリー

麦の海に沈む果実

全寮制の学園に隠された秘密とは

この本を読んだ後、理瀬(りせ)シリーズの1冊だと知りました。

その後、全部の作品を読破したけれど、私は『麦の海に沈む果実』の理瀬が好きです。

記憶が混濁している理瀬は、大人しい真面目な女の子。

閉ざされた全寮制の学校が舞台です。

こちらは白理瀬(純粋)と言われてます。

『黄昏の百合の骨』の彼女は、黒理瀬(腹黒い)です。

おとぎ話のような不思議な世界観を綺麗な表現で綴られているため、現実逃避させられた作品でした。

北見隆さんのイラストも素敵です。


簡単なあらすじ

理瀬が転入してきたのは2月、3月以外の転入生は学園を破滅に導くという噂があり、実際彼女が来てから、不可解な出来事が多く起きます。

不可解な出来事は、理瀬のせいなのか?

理瀬が失っていた記憶とは?


↓ネタバレ感想↓

黎二(れいじ)と理瀬のワルツのシーンがとても印象的でした。

2人の最も幸せな時を刻んだワルツ。

❝頂点に立った時に感じる滅びの予感

最も美しい時間を経験した後は滅びていく。❞


この文が忘れられず、自身の恋愛に変換し、あの時が頂点だったなと思ってしまったり。 

黎二というキャラクターは一見ぶっきらぼうだけど、実は優しく、身を挺して守ってくれるナイトのような存在で、女性なら誰でも彼に惚れると思う。

黎二の存在を忘却する決意をした理瀬。

作中に出てくる詩がストーリーの終盤で意味を成し、余韻を残したまま、忘れられない1冊となりました。

もし、映像化するなら丁寧にアニメ化してほしいです。


『麦の海に沈む果実』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★☆☆ 3
おすすめ   ★★★★☆ 4

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