自分は特別だと思いたい
装丁はめっちゃ人気のイラストレーター雪下まゆさん!
あらすじ
一躍時の人となった汐谷美令(しおたにみれい)は、『東京の人』と揶揄され孤立していた。
白麗高校中から注目を集めるが、些細な事からクラスで孤立してしまう。
それぞれの秘密を抱えている三人の濃密な一年を描く。
漫画、小説、ライトノベルの感想を載せてます。 少しでも興味を持ったらぜひ。 レビュー評価が良い作品でも流されずに独自の視点で感想を書いてます。 逆の場合もあります。
地下アイドルが主役なのが面白い。
2024年 第22回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリ受賞作
ミステリーというよりサスペンス色強め。
ノンストップ青春サスペンス。
大阪を拠点に活動する三人組地下アイドル「ベイビー★スターライト」
人気は下がる一方で単独ライブでの集客力は最早なく、合同ライブで日銭を稼ぐ日々だった。
さらにメンバー格差もあり、関係性はぎくしゃくとしている。
そんな中、メンバーのひとりが殺人を犯してしまう。
このままではアイドルを続けることができない。
三人は罪を隠蔽することを誓い、山中に死体を埋める段取りを始める。
行きつく先は破滅かステージか。
『溺れる星くず』改題。
元タイトルの方が断然いい。
『推しの子』に引っ張られた感がある。
このタイトルだと、冒頭ルイに説教した教師が主人公の話かなと思っちゃう。
皮肉にも殺人がきっかけになって3人の結束力が固まる。
絆が深まったところは泣ける。
主人公のルイがめちゃくちゃ冷静。
若干自意識過剰。
過去に色々あったせいか、精神的に不安定なのかな。
人物像に一貫性がないため、感情移入しにくかった。
テルマは感情的だけど一番分かりやすいタイプ。
イズミは芯がしっかりしていて、律儀。
関西弁が飛び交うけど違和感なし。
作家さんの出身大学を見て納得。
興信所がイズミに絡んだ理由に何やねんってなった。
2回もレンタカーで山行くの怪しすぎるだろ。
イノシシもただ出てきただけかーい(笑)
ドッキリ企画は良かった。
土井(どい)さん良かった。
河都(かわと)は良い人すぎたからそう来たかと思った。
どんでん返しが弱い気がする。
3人がどこでアイドルしているか描いて欲しかったな。
読みやすかったから次作も期待。
『推しの殺人』私の評価は★2
ストーリー ★★☆☆☆ 2
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3
このストーリーのキャラたちではどんなルートを選択してもバッドエンドになってしまうだろう。
冒頭の未送信のメールに衝撃を受け、なぜそんなメッセを打ったのか答えを知りたくなる。
女子の嫌な部分を見事に描いている作品。
美しい少女・蛍が線路に身を投じる。
京都の偏差値が低い高校に通うオタク女子三人。
もちろんスクールカースト底辺に属し、生物部に籍を置く。
そんなある日、東京から美少女・蛍が転校してきた。彼女はなぜか自分もオタクだと宣言し、生物部に入部してくる。
蛍とそれぞれ絆を深めていく三人だが、事態はあらぬ方向へと進んでいく。
登場人物
七瀬蛍(ななせほたる)……二次元から飛び出したかのような美貌の持ち主。
大川桜(おおかわさくら)…オンラインゲーム『魔法世界』(まじかるわーるど)にハマるボクっ子。アニメ声。
五十嵐雪(いがらしゆき)…裕福な家庭で育つが、母の愛に飢えている。クラスメイトの金づる。
猫井栞(ねこいしおり)……母は美人で有名人。顔の火傷のせいで筆談。小説を書いている。
リイ君 ………………………『魔法世界』での桜(ナデシコ)の恋人。
アロワナ ……………………生物部にいる古代魚。
デュビア ……………………ググると後悔します(笑) 蛍が育てている虫。
蛍に裏がありそうと思いながら読んだけど、やっぱりそうだった(笑)
藤高さんは、生まれたての赤ちゃんが六花に見えてしまうぐらい精神を病んでしまったんだろうな。
ただ、そんな偶然ある?っていう狭い世界だった。
誰か一人くらいハッピーエンドにしてあげて。
オタクはみんなブスではないと思うし、性格悪いという設定はどうだろう。
蛍の勝手な復讐心で、歯車が狂っていくし歪みすぎ。
復讐する相手は違うのにね。
そして母親の愛情の注ぎ方で子供は変わってしまうだなと。
桜と栞の母親は酷かったし、父親も尻に敷かれすぎて頼りない。
唯一綺麗な心の持ち主だった栞は、母の世話なんかしなくて良いのにと思った。
彼女は蛍の我がままも受け入れたし。
兄弟間で容姿レベルが違いすぎるのが3組もあるなどツッコミどころもあるが、ドロドロとしていて面白かった。
読後感は良くないけど深夜枠で実写化しそう。
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3
最初、五十嵐律人さんの本にしては面白くないなって思った。
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廃病院 |
でもそう思ってしまってごめんなさい。
プロローグ、ストーリー構成お見事です!
junaida(じゅないだ)さんの装画素敵。
不気味なイラストだなって思いながらも惹かれる。
現実にある物をダークな産物にしたイメージ。
人気作家の二階堂紡季(にかいどうつむぎ)には、秘密があった。
それでもこの作品は書き続けなければいけない。
私立北川高等学校。
顔面偏差値アプリ(ルックスコア)のせいで学校内の立場が危うくなった佐渡琢也(さわたりたくや)、朝比奈憂(あさひなうれい)、永誓沙耶(ながちかさや)は写真部に所属していた。
タイトルの意味が何度読んでも理解できず難しいです(笑)
琢也が主役かと思ったら紡季が綴る作中作だった。
だが、担当編集者に現実に起きた事件と酷似していると言われ、彼女にプロットを提供していた想護(そうご)の廃病院での事故。
それは琢也が転落した場所と同じだった。
紡季は何を書かされようとしていたのか。
そして想護は何を調べようとしていたのか。
『法廷遊戯』のキャラが2人再登場しているのと『六法推理』の事件が例えにあげられていたので、もう1度読みたくなった。
物語の終盤、散らばっていた伏線が綺麗に回収されていく。
❝「いじめ」はウィルス、宿主が強くなると他者に移る❞
着地点が予想できず面白かった。
ただ、沙耶が何を考えているのかはよく分からなかった。
琢也が救われず、紡季がいるとはいえ想護の未来についてもやもや感は残るものの、すごく考えさせられる作品だった。
スクールロイヤーの存在も初めて知った。
はい、作家買いです。
専門用語が欄列されているが身近で起こりそうな案件を取り扱ってるため、勉強になる。
主人公が大学生なので会話劇も楽しく読みやすい短編集。
法律の鬼である行成(ゆきなり)と貧乏学生の戸田(とだ)のコンビ。
霞山(かざん)大学法学部四年・古城行成(こじょう)がゼミ室で運営する「無料法律相談所」(通称「無法律」)に、経済学部三年の戸賀夏倫(かりん)がドアを叩く。
彼女が住む事故物件のアパートは、過去に女子大生が首つり自殺を図っていた。
そのことは承知で住む彼女だが、深夜に赤ん坊の泣き声が聞こえ、真っ赤な手形が窓につくなど、奇妙な現象を解決してほしいと古城に依頼する。
「法律マシーン」と影で呼ばれている古城と、「自称助手」だと首を突っ込む戸賀の凸凹コンビが大学で起きた事件に挑んでいく。
・古城行成 ─── 法曹一家に育ち、家族にも恵まれている。世間知らず。
法律マシーンと呼ばれるくらい頭が堅い。
・戸田夏倫 ─── バイトに明け暮れる苦労人。フリマファッション。
・小暮葉菜(こぐれはな)夏倫と同じ経済学部。同学部のメンバーと共に"エコノミスト”と
いうグループ名で活躍するユーチューバー。人目を惹く容姿。
・三船昇(みふねのぼる)霞山大学理学部数学科四年。行成と同じ高校出身。
・古城錬(れん)─── 行成の兄。検察官。
探偵役の行成が華麗に事件の謎を解くと思っていたら、堅物すぎて最終的に推理を外してしまうのが新しいスタイルで面白い。
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親子不知のアパートイメージ |
どの短編も続きどうなったのかなというところで終わってしまうのがちょっともやもや。
特に「親子不知」は可哀そうすぎて報われない。
「安楽椅子弁護」の真相や「卒業事変」の教授の処罰はどうなったのかとか。
それでも面白いんですよ五十嵐律人さんの本はやっぱり。
続編も出ているから絶対読む。
ストーリー ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★★☆ 4
これまで斜線堂有紀さんの作品は、『私が大好きな小説家を殺すまで』 『恋に至る病』などの共依存系しか読んだことなかった。(ちなみにどちらの作品も大好きです)
だから何か起きそうって思ったし、クローズドサークルのミステリ作品かなと先入観を持ったけど違ってた。
恋愛要素ほぼなし。
世間から見放されつつある元天才たちが、それぞれ自身を見つめ、必死に努力するキャラたちの交差を描いている瑞々しい作品。
読後感も良い近未来青春ストーリー。
カバーデザインは『クローズドサスペンスヘブン』と同じ、川谷康久(かわたにやすひさ)さんで素敵。
前作が面白かったので、今回も期待。
なんだこりゃ小説でした。
新しいことにチャレンジした小説って感じ。
こちらも『世界でいちばん透きとおった物語』同様、映像化不可能。
ただし、二番煎じとかじゃないです断じて。
朝起きたら、壁に四角い穴が空いていた。
あるべきものがない?
母は何事もなかったかのように過ごしている。
学校に行っても、そこかしこ穴があるのにみんな通常通りだ。
世界から■■が消えているのに誰も異変に気がつかない。
頭を抱える僕をじっと見つめる金髪の同級生。
「ここは小説の中の世界。俺たちは登場人物だ」
次々と消える言葉や物、世界がどんどんおかしな方向へ進む中、僕たちは犯人の正体を推理する。
映像化不可能作品、メタ学園ミステリー。
どんどん空白になっていく単語と共に、小説の世界でもそのものが消えていく。
さっきまであったものが消えておかしいと気付いた人物は、ページを戻れたりとかなどのスキルを持つ。
10ページくらい読んだときに、うーん私はこの独特なノリのストーリーにハマれないかもと思った。
会話劇は少し面白いと思う。
けど、なんとか頑張ってラストまで読まないととなぞの使命感で読む作品だった。
犯人は何の目的でこんなことを、そしてどう終わらすんだろうという二つの答えを知る為だけに読んだ。
まあ一応ハッピーエンドなので後味は悪くない。
『イデアの再臨』私の評価は★1
ストーリー ★★☆☆☆ 2みんな夢を諦めたわけじゃない、今できる最良の跳躍をするんだ。
社会人になった今なら分かることだけど、あの頃気の利いた言葉が全く出てこなかった。
これは、タイムループ作品ではないしファンタジーでもない。
浅倉さんの伏線が光る青春ミステリ作品。
そこそこの印刷会社で営業マンとしてのノルマを熟す間瀬(ませ)は、通勤途中のホームで、同級生の姿を目撃する。
彼女は、僕が高校時代に恋をした二和美咲(にわみさき)だった。
だが、二和は制服に身を包み、見た目もあの頃のまま、未だ十八歳として高校に通っていた。
僕と二和は同い年。
本来ならば30歳目前であるはずだった。
なぜか周囲の人たちは彼女のその姿を違和感なく受け入れる。
僕は、現在の彼女の同級生と協力し、 原因を探っていく。
設定に無理があるし、ん?となる箇所もあるけれど、その辺はさすが浅倉秋成さん、ラストまで読ませる筆力がありました。
間瀬の原因とか、二和さんの返事とかうやむやで終わってしまったが、全体を通して自身の青春時代とリンクさせたりして面白かった。
間瀬が彩雲に入れた夢、一番知りたかったな。
戻って来た彩雲を手に取るシーン、ちょっと泣きそうになった。
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彩雲 |
同級生たちがそれぞれ大人になっていてみんないいやつ。
二和が一番掴みどころない感じ。
『教室が、ひとりになるまで』と違って、キャラが魅力的なのが良い。
真鍋と教頭先生が好き。
『サニー』と呼ぶのが笑っちゃうけど、ほうじ茶と和菓子を持って新聞部に居座る教頭先生がかわいい。
“青春の空回り"うまいこと言うなあと感心。
『九度目の十八歳を迎えた君と』私の評価は★3
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3
学生時代、自身の立ち位置がどの層だったかによって、この本の内容の受け止め方が変わると思う。
4人の受取人という非現実的なストーリーの特殊ミステリ。
だけど読み応えあるし、綺麗に終わります。
さようなら。もう二度と会いたくない、××の友達たち。
表紙絵がかわいくて購入。
2人の美少女と芸術家崩れのやさぐれた主人公が出てくる。
恋愛がテーマではなく、成長物語だと思った。
芸大生の秋都(あきと)は、一生に一度の恋が「感動の実話」として映画化されたことにもやもやしていた。
同じ大学に通う後輩、胡桃沢千歳(くるみざわちとせ)に声をかけられ、バズるMVを取って欲しいと頼まれる。
彼女は音楽系インフルエンサーでちょっとした人気者だった。
最初は渋っていた秋都だが、徐々に制作にのめり込んでいき、AKIとして人気を得る。
過去の恋と現代の生活を交差させながら描かれる、青春ストーリー。
私がエモいという言葉を知ったのは、菅田将暉さん主演のドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」からです。
そこから爆発的に広がったんじゃないかなあ。
ドラマ人気あったし。
女は才能に惚れると言われているけど、秋都はその通り2人の美少女に好かれます。
カメラマンとしての素質と才能を備えていた彼は言われるがままに動画を撮影し、のめり込んでいきます。
バズるだろう動画を配信しながらも心は闇で閉ざされたまま。
2/3くらいはあまり面白くない。
過去編はうーん。
現代編はiPhoneを駆使したり、秋都の撮影の描写が細かく、簡単に思い浮かべることができたので、作者さんの情景描写のセンスはすごいと思った。
承認欲求の強い千歳の闇の部分に焦点が合ってから、面白くなります。
秋都の撮影の描写が細かく、簡単に思い浮かべることができたので、作者さんの情景描写のセンスはすごいと思った。
芸能界は作り上げた虚像、そして賞の出来レース多いのかなと思わせるシーンも。
秋都も千歳もやりたいこと、やりたくないことをちょっとずつ修正しながら、前に進んでいく姿は良かった。
刺さる小説ではないけどiPhoneを片手に今しか読めないストーリーかも。
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★☆☆☆☆ 1
おすすめ ★★☆☆☆ 2
山荘のイメージ |
"ミステリ" "閉ざされた山荘" "青春" "仲間" "作戦" "脱出" と興味をそそられるワードがたくさん。
信じられる友人って良いなと思える作品。
ぼっちの高校生、街端路人(まちばたみちひと)は文芸部の合宿で山荘に来ていた。
そこは、全体的に甘い香りに包まれ、部屋の窓には鉄格子がはまり、正面玄
初読み作家さんです。
水底のスピカ (中公文庫) 自分は特別だと思いたい 装丁はめっちゃ人気のイラストレーター雪下まゆさん! ❝その転校生は、クラス全員を圧倒し、敗北させた――❞ このフレーズに騙された。 ドロドロをイメージするかもだけど、違います。 もっと爽やかで綺麗でじーんとくる青春ストーリー...