ラベル 夏木志朋 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 夏木志朋 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年3月7日火曜日

『二木先生』夏木志朋 感想・レビュー 共感性羞恥が発動する,テンポの良いストーリー

 主人公が嫌いでも面白い

みんな普通を装う。

だって芸能人じゃないし、ただの一般人だし。

目立って良いことないし、絡まれるとめんどくさい。

でも普通って?

人によるのではないか?

主人公である田井中は、「あ、そんなことまで言ってしまうの?」と歯止めの境界線を失っているキャラ。

彼に好意を寄せる人物は肉親以外いないだろう。

作家さんが女性だと知って驚いた。

こんな作品を執筆できるのは男性だと決めつけてた(笑)


あらすじ

田井中広一(たいなかこういち)は、幼いころから自分なりに変わっていると気づいてた。

普通を装う努力をしたが、もう我慢せずに思ったことを口に出すようにした。

田舎の学校イメージ
黙っていても話しても結局、同じだったからだ。

担任である美術教師の二木良平(にきりょうへい)は、そんな自分と対極にいる普通の人間だと思っていたが、彼のとんでもない秘密を偶然知る。

二木の秘密をチラつかせた田井中と先生の攻防戦が始まった。


ネタバレ感想


読み始めは何だこれ状態だったけど、面白かった。

会話で一触即発の攻防戦が成り立っているし、張り詰めてる空気感がピーンと伝わってくる臨場感がすごい。

二木先生は穏便にすまそうとしているのに、田井中がしつこい。ほんとに(笑)

もう何してんのって思って、共感性羞恥が発動して一瞬本を閉じたり。

映像でも見たいけど、”話のテンポ”と”間”がうまく起動できるとは思えない。

何より「がじぞう先生」の件は苦情必至。

とりあえず何も考えずに読むのがおすすめ。

例え方がうまいので脳内で映像となって浮かびやすい。

❝急激に空腹を訴え始めた。さっきまではストレスで縮み上がっていたくせに、自分のテリトリーに帰ってきた途端、勢いを取り戻した内臓の内弁慶っぷりに少し呆れた。❞

表現の仕方がすごい好き。

田舎の学校は人間関係がリセットできないのが辛い。

例えば、小学校1年生の時に付けられた屈辱的なニックネームが6年間使われる羽目になる。

小学生時代に2年ほど田舎で暮らしたことがあるから分かる。

先生が普通の皮を被ることがどんなに大事だったか。

田井中と二木先生は、いい出会いをしたんじゃないでしょうか。

『二木先生』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4






『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...