2026年4月16日木曜日

『君を狂気と呼ぶのなら』東崎惟子著 感想レビュー 聖女か村娘か

『君を狂気と呼ぶのなら』 


宗教二世の行きつく先

「聖書を勉強してみませんか?」

静かな足音とともに破滅に向かう家族。

制限された生活の中、切江(きりえ)はジャンヌダルクに憧れ奉仕活動に精を出す。

グロありのサスペンスホラー。


あらすじ

四人家族の崩壊は、新興宗教の訪問勧誘がきっかけだった。

ただ、家族の幸せを願っていただけなのに。

少女は母と共にカルト教団に盲信していく。

美しく成長した彼女は、仄かな恋心が芽生えた。

だが教団は異性との交遊を禁忌とし、それを破ってしまった彼女に惨劇が訪れる。

そして彼女は、“本当”の神の声を聞く――。


ネタばれ感想

一番かわいそうなのは姉かな。

宗教に嫌悪感を抱いた姉は、早々に母に嫌われる。

母が可哀想と思って離婚後も一緒に居てあげたのにな。

電気ケーブルで切江にお仕置きする母は狂いすぎ。

フィクションだけど宗教にハマるとこんなに感情も行動もコントロールされてしまうんだなと思った。

性描写のきついシーンは嫌だったけれど、これで惨劇を引き起こしたから納得の流れ。

後半は復讐ターンで前半とテイストががらりと変わる。

文章的に、ん?って所もあるけれど展開が早くて気にならなくなった。

復讐シーンはグロいので注意。

は十条(じゅうじょう)くんの好意で、村娘に戻っても未来は暗い。

ジャンヌダルクとして処刑される方が、彼女の人生を否定しないことになるけれど難しいところ。

宗教って怖い、そう思わせる戦慄の作品だった。


『君を狂気と呼ぶのなら』私の評価は★4

ストーリー ★★★★☆  4

キャラの魅力★★★★☆  4

衝撃度   ★★★★★  5

おすすめ  ★★★☆☆  3












『忘らるる惑星(ほし)』田中空(たなかくう)著 感想レビュー ファンタジーなマトリックス

 『忘らるる惑星』


AI監視社会


"猫人間" "絶対記憶者"というワクワクワードが出てきます。

近未来もしかしたら起こりうる世界。

もしくは気付いてないだけで、人類はみんな夢を見せられているだけなのかもしれません。

そんな異変に気付いた青年ミカサの奮闘を描くSF作品。


あらすじ

この世界はAIによる徹底的な管理が行われ、人々は安心安全な日常を送っていた。

AIの判決を確認するレアな仕事に就くミカサは、ある殺人事件の記録に疑問を持つ。

記された犯行時刻、その現場にミカサはいたはずだが、目撃した記憶はない。

不審に思ったミカサは独自に調査を進める中、命を狙われる。

この世界では一体何が起きているのだろうか。


ネタばれ感想


後半は失速気味ですが読後感は悪くない。

アニメで見てみたい気がする。

映像化したら猫がいるおじいちゃんの古寺とか見応えありそう。

ムカデのドローンは気持ち悪そうだけど。

モナカのビジュアルが刺さるととんでもなく化ける作品になりそう。

モナカがモナカを食べるくだりが多くしつこかった。

私が現在を生きてると思ってるのは私だけで

実は全て夢。

それが夢じゃない証明はできない。

想像力は果てしない。

そんなお話でした。 


余談ですが『忘らるる都』はFF7だ。

タイトルが似てるのでちょっと思い出した。


『忘らるる惑星』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆☆  3

キャラの魅力★★★★☆  3

衝撃度   ★★★☆☆  3

おすすめ  ★★★☆☆  3

2026年4月14日火曜日

『未来』湊かなえ著 感想レビュー 親ガチャはどうしようもなく

 『未来』


とてつもなく重い

『告白』は徹夜して読んだ。

この作品も徹夜必至。

未来からの手紙という湊かなえさんの作品ではめずらしくファンタジーで始まるが、

この作品も重く読むのが辛かった。

親ガチャ外れの子供たちが出てくる。

彼女たちに明るい未来はあるのかを問う作品。


あらすじ

「こんにちは、章子(あきこ)。私は20年後のあなた、30歳の章子です──」

ある日、章子の元に切手が貼られていない一通の手紙が届く。

章子は半信半疑ながらも、未来の自分に手紙を書いていく。

学校や家庭での出来事を綴る中、章子は不穏な状況に追い詰めれていく。



登場人物

佐伯章子(さえき)10歳の時、未来の自分からの手紙を受け取る。

佐伯文乃(あやの)章子の母。美貌の持ち主だが精神的に不安定。

佐伯良太(りょうた)章子の父。旧姓:樋口 文乃と駆け落ち。


林優斗(はやし ゆうと)章子の小学5年の担任。佐伯家に親身になる反面、文乃に惹かれていく

早坂誠司(はやさかせいじ)文乃が勤務するホテルで知り合い、同居する。

須山亜里沙(すやまありさ)章子の同級生。家庭環境に問題あり。

篠宮真唯子(しのみやまいこ)章子の小学4年の担任。母に捨てられ祖母に育てられた。

智恵理(ちえり)亜里沙が懐いている2つ上の姉のような存在。別人格が現れる。


森本誠一郎(もりもとせいいちろう)良太の親友。文乃の兄。火事が原因で命を落とす。


ネタばれ感想


森本は父親さえちゃんとしていれば、妹をずっと大事にしていたはず。

父親が鬼畜なせいで歪になっていった。

亜里沙の弟は父によって鬼畜に差し出される。

篠宮先生も母親のせいで一度堕ちてしまう。

彼女を思ってくれた原田君が良い人で涙出た。

なぜ、親は子供が幸せになる未来を望まないのか。

大人たちは子供を自分の道具だと思っている。

親さえ違っていればという少年少女が多く登場

親に裏切られた子供は脆く、成長して体は強くなるかもしれないけれど心は崩壊したまま。

子供は親が守るべき存在なのに彼らが心身とも傷つける。

ほんのちょっとだけ明るい未来の余韻を残したまま終わるのがまだ救いか。

これは覚悟して読んでほしいお話。


映画化(2026年5月8日公開)にあたり、キャストにつっこみたい。

松坂桃李(良太役)さんも細田佳央太(樋口良太役)さんもめっちゃイケメンやないかい。

原作は目が細く岩みたいな容姿だった。

映画は原作と内容は変わっているらしい。

子供がかわいそうな作品は好きじゃないけれど、大人たちこそ見てほしいと思う。



『未来』私の評価は★3

ストーリー ★★★☆☆  3

キャラの魅力★★★☆☆  3

衝撃度   ★★★★★  5

おすすめ  ★★★☆☆  3

2026年4月10日金曜日

『キスに煙』織守きょうや著 感想レビュー 殺人犯でも愛してる

『キスに煙』


勝手に罪を背負って罰を受ける

芸術肌で内向的な塩澤(しおさわ)、圧倒的な技術を持つイケメン志藤(しどう)の関係性と内面を綴る美

しいミステリー。



あらすじ

フィギュアスケートを引退した塩澤は、かつてのライバル志藤の活躍の中継を見ていた。

生きる世界が違っても交遊関係を続ける二人。

だが、共通の知人が自宅のバルコニーから転落死する。

自殺をする人物だと思わなかったため、あらゆる疑念が浮かび上がる。


登場人物

塩澤詩生(しお)帰国子女。フィギュア界を引退後デザイナーに転向

志藤聖(ひじり)現役フィギュア選手。圧倒的パフォーマンスでトップに君臨する。かつての塩澤のライバル

三池絵梨世(みいけえりせ)塩澤のアシスタント。短期間だがフィギュアの世界にいた。

アレックス・ミラー 絵梨世の父。絵梨世の母、梨香子(りかこ)とは離婚済み。国籍はカナダだが日本に住んでいる。元フィギュア選手。引退後コーチに。志藤と折り合いが悪い。


ネタばれ感想

❝知られてはいけない。この恋も、この罪も❞

帯に完全に騙されたパターンです。

サスペンス要素はほぼなし、簡単に言うと綺麗なBL作品。

オフステージは完全に匂わせです。

特に動きもなく淡々とストーリーが進みますが、読ませるだけの文章の力量がありました。

何が言いたいかさっぱり分からないまま、志藤への気持ちが綴られます。

勝手に誤解し暴走して自殺してしまうのかって所は続きが気になりました。

言葉で伝えるって大事なんだなって思った。

前作の『花束は毒』がめっちゃ面白かったため、ハードルを上げてました。

装丁が似ているため期待してしまった。

ミラーは嫌いなキャラだったけど理由を知ると切なかった。


『キスに煙』私の評価は★2

ストーリー ★★☆☆☆  2

キャラの魅力★★★★☆  4

衝撃度   ★★★☆☆  3

おすすめ  ★★☆☆☆  2




2026年4月3日金曜日

『ぜんぶ、あなたのためだから』夏原 エヰジ著 感想レビュー 新感覚エゴイスティック・ミステリー


良い人の基準とは        

昨日の友は今日の敵

誰のことなら信じることができる?


人間の本質を見抜き、上っ面だけで勝手に良い人悪い人の評価を下さぬこと。

SNSじゃないんだから。

人間不信助長ストーリー


あらすじ


結婚披露宴のさなか、新婦の沙也香(さやか)が余興中吐血して倒れてしまう。



一部始終見ていたカメラマンの桜庭(さくらば)に協力を仰ぎ、新郎の和臣(かずおみ)は                  シャンパンに毒を混入した犯人を捜す。

だが、彼女の親友や母のどす黒い感情が明らかになり、人間不信になっていく。

さらに沙也香のとんでもない過去が分かっていく。

ネタばれ感想


私は女なので、沙也香の弱々しさもわざとなんじゃないかと初めから疑ってた笑

いるいるこういう寄生虫女。

過去に人をいじめておいてメンタルやられるって…。

沙也香の過去が分かってもそれでも愛する宣言をする和臣が、どんどんサイコパスに見えてきた。

か弱い女を守ってあげてる自己陶酔型ヒーロー。

親も親友も、みんなが口をそろえて「沙也香のために」と自分のとんでも行動は全て彼女を思ってのことと発言。

開いた口が塞がらない状態で、物語は進んでいく。

最後の良心だと思っていたあの人まで裏の顔を持っていたとは騙された。

和臣と桜庭2人の視点から描かれて、読みやすかった。

でも読後感は良くない。

原作に割と忠実らしいドラマも見てみようかなあ。




『ぜんぶ、あなたのためだから』私の評価は★4

ストーリー ★★★★☆  4

キャラの魅力★★★☆☆  3

衝撃度   ★★★★☆  4

おすすめ  ★★★☆☆  3






『教育』遠野遥 感想レビュー セックス推奨学園

    『教育』 一体何の話? 1日3回オーガニズムを推奨する全寮制の学校。 彼らはそれが成績が上がるための行為だと洗脳され、至る所で監視カメラの元セックスに興じる。 生々しい描写はないが何の話か戸惑う。 新感覚狂気ファンタジー。 あらすじ 全寮制の学校。 私は、友人の真夏(まな...