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2023年3月31日金曜日

『名もなき星の哀歌』結城真一郎 感想・レビュー  スワンプマンは誰?

 個人情報で最も大事なのは、記憶──。

結城真一郎さんは、推し作家さんです。

難しいワードも分かりやすく説明してくれるイメージ。

綺麗な文章で読みやすい。

特殊設定ミステリのイメージが強い。

伏線も見事に回収して綺麗にまとまっています。

作家さんの写真を見て、一瞬戸惑ってしまいました。

私、似たような方にフラれたことあります(笑)

でも、そんな個人的な事なんかどうでも良いと思える幻想的で惹かれるSFストーリー。



あらすじ


大学の同級生である良太と健太は、裏稼業として人の記憶を売買する店で働いている。

店のノルマを着々とこなし、調子に乗った彼らは、神出鬼没で話題のシンガーソングライター・星名の素性を調べるという探偵まがいのことを始める。

だが、彼女の素性を洗うにつれ、あり得ない状況や繋がりが浮かび上がり、首を傾げる。

やがて星名の存在が、2人の関係性に綻びを生じてしまう。



ネタバレ感想


見どころは、良平、健太、保科の三角関係の行方。
遭多夢(おうたむ)カフェのイメージ


保科の資金源の謎。

御菩薩池(みぞろけ)一家の殺人事件の犯人。

「保科と関わるな」と恐喝してきたのは誰か。

ナイトの正体は誰なのかです。

さらにナイトはもういない。

健太が賞をもらった作品が、ナイトの作品と酷似。

見どころ多いです(笑)

サイドストーリーとて、石塚巌(いしづかいわお)と認知症の妻が描かれますが、こちらの顛末の方がはっきり言って泣けました。

脅迫までは分かるけど、ジュンさんはなぜ包丁まで??

記憶を入れ替えた動機が若干浅いのでは?(まるで動機が薄っぺらいコナンの犯人のよう…)

なぜ、保科も記憶を消した??

中学高校大学と目まぐるしく人間関係を構築していくはずなのに、小学生時代に好きになった女の子を人生かけてまでずっと好きでいれるのかな?とか。

そして、二度と会えないよさようならで終わりじゃなかった。

記憶を入れた小瓶のイメージ
そして、健太はどうなるんだろうと彼の方が気になった。

健太、良い奴やった。

引っかかること多いけど、伏線の散りばめ方と新しい設定、そして綺麗な感じでまとまるから、惹かれるお話。

宇宙の構造と脳の神経細胞が酷似とか、星に纏わる知識も魅力。

スワンプマンてワード初めて知ったよ。

スワンプマン…考えると混乱
❝「主人公が、主人公だからという理由で助かるのは物語の中で一度きり」とかルールを決めるべきだよ。❞というセリフ、多くの漫画に刺さるよね。





『名もなき星の哀歌』私の評価は★5


ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4



















2023年3月7日火曜日

『二木先生』夏木志朋 感想・レビュー 共感性羞恥が発動する,テンポの良いストーリー

 主人公が嫌いでも面白い

みんな普通を装う。

だって芸能人じゃないし、ただの一般人だし。

目立って良いことないし、絡まれるとめんどくさい。

でも普通って?

人によるのではないか?

主人公である田井中は、「あ、そんなことまで言ってしまうの?」と歯止めの境界線を失っているキャラ。

彼に好意を寄せる人物は肉親以外いないだろう。

作家さんが女性だと知って驚いた。

こんな作品を執筆できるのは男性だと決めつけてた(笑)


あらすじ

田井中広一(たいなかこういち)は、幼いころから自分なりに変わっていると気づいてた。

普通を装う努力をしたが、もう我慢せずに思ったことを口に出すようにした。

田舎の学校イメージ
黙っていても話しても結局、同じだったからだ。

担任である美術教師の二木良平(にきりょうへい)は、そんな自分と対極にいる普通の人間だと思っていたが、彼のとんでもない秘密を偶然知る。

二木の秘密をチラつかせた田井中と先生の攻防戦が始まった。


ネタバレ感想


読み始めは何だこれ状態だったけど、面白かった。

会話で一触即発の攻防戦が成り立っているし、張り詰めてる空気感がピーンと伝わってくる臨場感がすごい。

二木先生は穏便にすまそうとしているのに、田井中がしつこい。ほんとに(笑)

もう何してんのって思って、共感性羞恥が発動して一瞬本を閉じたり。

映像でも見たいけど、”話のテンポ”と”間”がうまく起動できるとは思えない。

何より「がじぞう先生」の件は苦情必至。

とりあえず何も考えずに読むのがおすすめ。

例え方がうまいので脳内で映像となって浮かびやすい。

❝急激に空腹を訴え始めた。さっきまではストレスで縮み上がっていたくせに、自分のテリトリーに帰ってきた途端、勢いを取り戻した内臓の内弁慶っぷりに少し呆れた。❞

表現の仕方がすごい好き。

田舎の学校は人間関係がリセットできないのが辛い。

例えば、小学校1年生の時に付けられた屈辱的なニックネームが6年間使われる羽目になる。

小学生時代に2年ほど田舎で暮らしたことがあるから分かる。

先生が普通の皮を被ることがどんなに大事だったか。

田井中と二木先生は、いい出会いをしたんじゃないでしょうか。

『二木先生』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4






2023年2月14日火曜日

『ノイズ【noise】』(全3巻)筒井哲也 感想・レビュー たった一人の悪が限界集落にやって来た為、ノイズが生じる

映画と漫画は別物

ネトフリで『ノイズ』を視聴した。

何これ、漫画と全然違う。

まず、設定が変わりすぎて人物に深みがなく中途半端。

刑事が抱える闇と今度こそ逃さない覚悟とか。

鈴木(小御坂こみさか)が平気で嘘がつき、犯罪を何とも思わないクソな奴だとか。

好きな俳優さんばかりだったのに、残念。

役者の無駄遣いが頭をよぎった。

私は原作コミックを読んでいて面白かったので、映画を視聴。

でも、映画→原作見てみようって人はいなさそう。

簡単なあらすじ

黒イチジクが注目され、猪狩町の救世主だと持てはやされた泉圭太(いずみけいた)の元に、怪しい男、鈴木が現れる。

彼を危険人物と判断した圭太と親友の純(じゅん)は、配属されたばかりの警官守屋(もりや)と共に、彼の元へと向かうが、思わぬアクシデントが起こってしまう。

果たして限界集落は元の平穏を取り戻せるのか?

田舎を舞台に、次から次へとトラブルが起きるノンストップサスペンス。

感想・レビュー


最初の選択さえ間違わなければというのは映画と一緒。

後にどんどん悪い方向へ。

漫画は3巻でまとまっているし、全体を通して緊張感があった。

絵のタッチは女性受けしないけれど。

娘の恵理奈との親子愛とか感動した。

純は悪い奴じゃない。

映画はもやっとしますが、コミックの方は納得いく終わり方なのでぜひ。

『ノイズ【noise】』私の評価は★4(映画は★1)


ストーリー  ★★★★☆  4
キャラの魅力 ★★★☆☆  3
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★★☆☆  3

『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...