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2023年4月2日日曜日

『監獄に生きる君たちへ』松村涼哉 感想・レビュー 児相を扱ったライトノベル

児相をテーマにした社会派ストーリー

密室の中、疑心暗鬼にかられながらも繰り広げられる一人一人の告白。

このメンバーの中に、茜を殺した犯人がいるはずだった。

最後まで誰が犯人か分からない。

誰かが嘘の証言をしている。

その綻びを注意深く読み進めながら、犯人を暴け。


あらすじ

【私を殺した犯人を暴け】

手紙の差出人は、真鶴茜(まなづるあかね)。

茜は7年前に亡くなったはずだった。

首を傾げる古谷桜介(おうすけ)は、手紙の指示通り、廃屋へと向かう。

廃屋と化した施設には7年前旅行を共にしたメンバーが集まっていた。

桜介が最後に到着すると無慈悲にもそこは施錠される。

かつての6人は、そこを脱出するために、あの夜の出来事を語っていく。



監禁されたメンバー

古谷桜介 主人公。精神を病んだ父親から虐待を受けていた。

福永律(ふくながりつ)アイドルのような顔立ち。フリーター。かつては喧嘩の常習犯。

越智藍理(おちあいり)桜介と同じ高校へ通う。ロングヘア。見た目はお嬢様風。

手塚佳音(てづかかのん)短髪で狐顔。体格が良い。現在も団地住まい。遠方の高校へ通う。

武井周吾(たけいしゅうご)高身長。片目を隠す前髪のせいで陰気な印象を受ける。

真鶴美弥(まなづるみや) 姉の茜と14歳差。


ネタバレ感想

傷ついた子供たちはもちろんのこと、児相という職場の大変さもひしひしと伝わる作品だった。

児童福祉だった茜さんは本当に立派な人。

大人が良かれと思って保護したことも、その当時の子供にとって幸せじゃなかったというのが悲しい。

誤解されて殺されて尚、子供たちのことを考えてる人だった。

犯人は分かったけれど、美弥はそれでいいの?とそこだけ気になった。

律と俊樹(しゅんき)の心の傷も気になる。

『15歳のテロリスト』など、松村さんの作品は、もっと広く色んな方に読んでもらいたいと思った。


『監獄に生きる君たちへ』私の評価は★3


ストーリー  ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度    ★★★☆☆ 3
おすすめ   ★★★☆☆ 3

2023年2月23日木曜日

『暗闇の非行少年たち』松村涼哉 感想・レビュー 本音が言える,居心地の良い場所を探して

 誰かに必要とされたい

『15歳のテロリスト』著者さんの作品。

1人が怖い。

1人になるのを恐れて話を合わせて。

ある日、仮想空間への招待状を受け取った。

誰が何のために作った場所か分からない。

でもいつしかそこが心の拠り所となっていった。


簡単なあらすじ

18歳の水井ハノは、少年院から退院したばかりだ。

更生を誓うが、斡旋された就職先ではうまくいかず、再び昔の仲間が集う場所へと戻って行く。

そんな時、「ネバーランドへの招待状」と記された紙切れを受けとる。

訝しながらも指示通りにゲームをインストールする。

アバターを作ったハルは仮想世界へと飛んだ。

果たしてハルの行く末は?


ネタバレ感想

ハル視点だけではなく、ネバーランドへ招待されたメンバーの視点からも描かれるのが面白い。

そして、彼らの意外な共通点にも注目。

罪は重く、色々考えさせられる。

心を入れ替えて更生しようと頑張る人もいるが、根っからの悪人もいる。

難しいテーマだ。

登場するキャラに未成年が多いからわざとなんだろうけど、総じて考えが甘いし、人を信じすぎる。

家庭環境が悪い人間は、全て犯罪者にならない。

カノンちゃんが犯罪に至るまでの過程が一番重かった。

出会う人間で人は変わる。

本音を吐き出して救われるゲームは現代には必要かも。

❝俺たちは賢くない

賢くない人間のくせに「自分の幸せはこれしかない」とか勝手に決めつけるな❞

ショウのこのセリフが突き刺さりました。

櫂は良い人間に出会えたのに、彼は根っからの悪だった。

『15歳のテロリスト』の衝撃とまではいきませんが、未成年の犯罪について考えさせられる作品でした。

『暗闇の非行少年たち』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度    ★★★☆☆ 3
おすすめ   ★★★☆☆ 3





2023年2月8日水曜日

『15歳のテロリスト』松村涼哉著 感想・レビュー 少年の本当の願いとは

15歳のテロリスト

低年齢化する犯罪に対して法の改正を願ったストーリー

主人公の15歳の少年の動機が分かった時、彼の決意に涙なしでは読めなかった。

テーマは重いけれど、読みやすい文章で綴られている為一気読みできた。

スノードロップ
加害者家族と被害者家族の立場両方が理解できる作品。

10代のうちに読んで欲しい作品だと思った。

スノードロップはこの小説で知って、実際見てみたいと思った。


簡単なあらすじ


新宿駅爆破事件の犯人は15歳の少年、渡辺篤人。

その事件は世間を大きく揺るがした。

だが彼は、少年犯罪の被害者家族だった。

彼がなぜ凶行に走ったのか?

篤人を知っていた記者の安藤は、彼の行方を追う。

↓ネタバレ感想↓

被害者遺族の篤人と加害者家族のアズサ、2人を結び付けた背景が辛い。

アズサに近付いた篤人は、彼女たち加害者家族も苦しんでいると知って慟哭します。

復讐を誓った篤人ですが非情に成りきれず歯痒い思いをします。

アズサも彼女の母も優しい良い人だったため、余計苦しみます。
 

一方、アズサは兄のせいで酷いいじめを受け落ち込んでいたところ、優しく接してくれた篤人に恋心を抱きます。

好きになった相手が違う目的で近づいたと知ったアズサの心情を思うと切ない。


『15歳のテロリスト』私の評価は★5

ストーリー  ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★★ 5

『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...