痛みを伴う余韻を残す
この作品もそうで、人生をどこかで放り出し、あまり何も望まない無機質なキャラが主人公だ。
感情移入をしたくないキャラだけど共感できる部分もある。この作品は、目を覆いたくなるような描写が多く、苦しくなるストーリーだけど、ラストまでちゃんと読んでほしい。
あらすじ
あまり外出できなくなった僕、湯上瑞穂(ゆがみみずほ)は、昔自分のせいで文通を絶ってしまった日隅霧子(ひずみきりこ)に一方的に手紙で会おうと綴るが、彼女は現れなかった。
飲酒運転の帰り、人を轢いてしまったと思った僕は、女子高生に思いっきり殴られる。
彼女は死んだことを先送りしたと話す。
10日の猶予を与えらえた僕は、彼女の復讐を手伝うこととなった。
ネタバレ感想
❝人を屈服させるには恥を利用するのが一番だと心得てる人間❞
そういうタイプの人間は、友人も多いし、まさかあの人がという地位を確立しているため、誰も注意できないんだろうなあ。
少女は精神的苦痛と肉体的苦痛を家庭でも学校でも与えられていた。
その内容は凄惨で吐きそうになる。
復讐したいと言う彼女を止める慰めの言葉は、思いつかない。
一時的な慰めでは彼女を救うことはできない。
鬱展開が多し、メンタルがやられてしまう。
だが、ラストに向けて2人の関係性や事実に泣けてくるし、なるほどと思った。
そして、2人の幸せな世界がちゃんとあったのが救い。
私がバカなのか「先送り」の能力の定義がいまいち分かりにくく、矛盾箇所がある。
それでも、読んでよかったと思える作品に出会った。
三秋さんの作品は背景の描写が美しい。
❝楓の赤に染まった林の中で********とき、少女は僕の両手を取り、落ち葉の舞う中をからくり時計の人形みたいにくるくる回った。❞
『いたいのいたいの、とんでゆけ』私の評価は★4
ストーリー ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度 ★★★★☆ 4
おすすめ ★★★★☆ 4