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2023年3月8日水曜日

『クララ殺し』小林泰三 感想・レビュー アーヴァタールたちの駆け引き

ブラックメルヘン

「メルヘン殺し」シリーズ2作目。

 『アリス殺し』より難解なので覚悟して。

確か、ハイジがアルプスの山のロッテンマイヤーさんと一緒に暮らして、近所のクララと仲良くなって励まして、ペーターとヤギの世話をする話だったような?

ハイジはいつ出てくるのかなと読み進めたけど、『クララ殺し』には、出て来ません。

「アルプスの少女ハイジ」とは一切関係なかった。

でも蜥蜴のビルが再登場したので歓喜。


あらすじ


大学生の井森建は、不思議の国の夢ばかりを見ている。

そこは、アリスという少女や変な生き物が暮らす世界。

自分はビルという蜥蜴だった。

だがある夜に彼が見た夢は、いつもと様相が違っていた。

クララと名乗る車椅子の美少女が登場したのだ。

翌日、井森は大学の校門前で、夢とそっくりの少女露天くらら(ろてん)に声をかけられる。

彼女は何者かから命を狙われていると話し、井森に助けを求めた。

夢で会った「クララ」と現実世界の「くらら」、2つの世界で事件が起きる。


ネタバレ感想

元ネタは「黄金の壺」「くるみ割り人形とねずみの王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」でした。

私は、子供の頃絵本で読んだ「くるみ割り人形」が夜動いて怖かったなという知識しかありませんでした。

なので、話の展開が全く読めないままストーリーが進み、ちょっと置いてけぼり感をくらいます(笑)

前作で地球と不思議の国はリンクしていることが分かりましたが、井森がある日を境に見た夢は「ホフマン宇宙」と名付けられ、不思議の国とは関係ありません。

井森(ビル)が、いつの間にか障壁を超え、別の世界に足を踏み入れたようです。

そして、ホフマン宇宙と地球を舞台にしてストーリーは進む。

地球の井森はビルの「アーヴァタール」という存在で、ドロッセルマイアーとクララにも地球に「アーヴァタール」がいます。

「アーヴァンタール」とはアバターとか化身っていう意味みたい。

聞きなれないワードがやたら出てくるし、ややこしい。

ビルのイライラする会話は健在です(笑)

グロさは前作より少なめかな。

井森何回死ぬねんとツッコミを入れたくなりました。

❝ホフマン宇宙で誰かが死ねば地球にいるアーヴァタールも死んでしまう。だが、アーヴァタールが死んでも本体は死なない。井森が死んでもお前(ビル)は生きている。❞

新ルールがあってまた混乱(笑)

でも不思議なストーリーが好きな私は好みの小説でした。

『クララ殺し』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★☆☆☆  2


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