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2023年8月23日水曜日

『向日葵を手折る』彩坂美月 感想・レビュー 田舎の都市伝説に絡めた青春ミステリ

 みんなが噂する向日葵男とは?

『向日葵を手折る』は、情景描写が素晴らしく、堪えきれず何度も涙をこぼした。

タイトルも素敵。

連続する不穏な事件と共に描かれる淡い恋。

限界集落のコミュニティは怖くもあり、羨ましくもある。

夏祭りの終わり

巡る季節の移り変わりは臨場感たっぷり。

都会育ちの主人公ならではの雪に対する心情がすごい理解できた。

私の大好きな小説、ベスト3に食い込む作品だ。






あらすじ


父の急死で、祖母を頼り、母と共に山形の集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。

そこで強烈な印象を放つ2人の同級生と出会う。

夏、集落のみんな総出で行われる伝統行事「向日葵流し」。

その為に植えられていた向日葵の花が、何者かによって全て切り落とされる。

同級生たちは怖がり、「向日葵男のしわざだ」とつぶやく。  
立ち入り禁止の沼とは?


そして、みのりの周りで色んな出来事が起きる。

犯人は一体。

そして向日葵男とは?

集落で過ごした彼女の忘れられない4年間を描く切ない青春ミステリ。


ネタバレ感想


隼人(はやと)と怜(れい)、対照的な2人少年の存在が良かった。

粗野で乱暴者の隼人、穏やかで笑みを絶やさない美少年の玲。

2人の絆にヤキモチするみのりの心情も良かった。

みのりは、不気味な向日葵男に怯える同級生たちの傍ら、沼へ足を運んだり、図書館へ通ったりと真相を究明しようとする。

それがメインストーリーかと思いきや、青春要素が多め。

ハナの事件はすごく悲しく、思い出しても泣ける。

自生の果実を捥ぎ取り、2人で分けて食べる何ともない行為が、思春期の到来で何となく戸惑ってしまう描写も良かった。

中学生になった隼人の成長ぶりにドキッとした。

反対に心を閉ざすようになった玲との対比も良かった。

ラストにかけて分かる真相にも涙が溢れてくる。

みのりと誰がくっつくのかちゃんと描かれていないのも良かった。

名前が一緒なので余計感情移入してしまったけど、私なら隼人かな。

もう一度読み返したい小説。

大好きです。


『向日葵を手折る』私の評価は★5


ストーリー     ★★★★★   5
キャラの魅力   ★★★★☆   4
衝撃度      ★★★★☆   4
おすすめ      ★★★★★   5












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