みんなが噂する向日葵男とは?
『向日葵を手折る』は、情景描写が素晴らしく、堪えきれず何度も涙をこぼした。
タイトルも素敵。
連続する不穏な事件と共に描かれる淡い恋。
限界集落のコミュニティは怖くもあり、羨ましくもある。
夏祭りの終わり |
巡る季節の移り変わりは臨場感たっぷり。
都会育ちの主人公ならではの雪に対する心情がすごい理解できた。
私の大好きな小説、ベスト3に食い込む作品だ。
あらすじ
父の急死で、祖母を頼り、母と共に山形の集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。
そこで強烈な印象を放つ2人の同級生と出会う。
夏、集落のみんな総出で行われる伝統行事「向日葵流し」。
犯人は一体。
そして向日葵男とは?
集落で過ごした彼女の忘れられない4年間を描く切ない青春ミステリ。
ネタバレ感想
隼人(はやと)と怜(れい)、対照的な2人少年の存在が良かった。
粗野で乱暴者の隼人、穏やかで笑みを絶やさない美少年の玲。
2人の絆にヤキモチするみのりの心情も良かった。
みのりは、不気味な向日葵男に怯える同級生たちの傍ら、沼へ足を運んだり、図書館へ通ったりと真相を究明しようとする。
それがメインストーリーかと思いきや、青春要素が多め。
ハナの事件はすごく悲しく、思い出しても泣ける。
自生の果実を捥ぎ取り、2人で分けて食べる何ともない行為が、思春期の到来で何となく戸惑ってしまう描写も良かった。
中学生になった隼人の成長ぶりにドキッとした。
反対に心を閉ざすようになった玲との対比も良かった。
ラストにかけて分かる真相にも涙が溢れてくる。
みのりと誰がくっつくのかちゃんと描かれていないのも良かった。
名前が一緒なので余計感情移入してしまったけど、私なら隼人かな。
もう一度読み返したい小説。
大好きです。
『向日葵を手折る』私の評価は★5
ストーリー ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★★☆ 4
おすすめ ★★★★★ 5
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