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2024年9月1日日曜日

『方舟』 夕木春央著 感想・レビュー 思考実験「トロッコ問題」を彷彿

方舟 (講談社文庫)



 帯の煽り文句は本当だった

序盤はよくあるクローズドサークル。

連続して起こる殺人事件、そして犯人の目的が全く分からない。

なので、「トロッコ問題」のようにどうやったら生き残れるかを模索しながら読んでいく。


あらすじ


柊一(しゅういち)は、大学時代のサークルの友人たちと、従兄の翔太郎(しょうたろう)と共に山奥の地下建築を訪れる。

道に迷ったせいで、地下建築で一夜を過ごす羽目になった柊一たち。

同じように迷い込んだ矢崎一家の三人も地下建築に合流する。
ノアの箱舟

だが、翌朝に起こった地震のせいで、扉が岩で完全にふさがれてしまう。

さらに地盤に異変が起き、水が侵食し始めた。

このままでは地下建築は水没してしまう。

そんな矢先に殺人事件が発生。

❝誰か一人を犠牲にすれば脱出できる。

生贄には、その犯人がなるべきだ。

ーー犯人以外の全員が、そう思った。❞

水没までのタイムリミットは約1週間。

それまでに、殺人犯を見つけなければならない。

だが、第二の殺人事件までもが発生してしまう。






地下建築(廃墟)の入口イメージ

登場人物

・越野柊一(こしの)…………………主人公の僕。システムエンジニア。

・篠田翔太郎(しのだ)………………柊一の従兄弟。親の遺産で生活。世渡り上手で頭が良い。

── サークル仲間 ──

・西村裕哉(にしむらゆうや)………アパレル勤務。お調子者。
・絲山隆平(いとやまりゅうへい)…ジムのインストラクター。柊一に敵意を持っている。
・絲山麻衣(まい)……………………幼稚園の先生。隆平の妻。
・野内さやか(のうちさやか)………ヨガ教室勤務。花を慕っている。
・高津花(たかつはな)………………事務員。一人称は「うち」

── 矢崎家 ──
・幸太郎(こうたろう)…………電気工事士。
・弘子(ひろこ)………………………幸太郎の妻。
・隼人(はやと)………………………高校一年生。やや幼い印象。

ネタバレ感想

探偵役の翔太郎、助手役の柊一が証拠を集め、動機を考察し、みんなを食堂に集めて推理を披露する。

ここまではよくある話だし、意外な人物が犯人というのは想定内。

そこまで面白いとは思わなかった。

人物描写も薄いし?

人と人との繋がりの描写も深みがない。

例えば、この集まりに従兄弟連れて来るか?と疑問。

矢崎一家同様に、翔太郎だって胡散臭い。

隆平と麻衣がなぜ結婚したのか分からないし、柊一が彼女に惹かれるのがよく分かんないし。

だが、エピローグで完全に打ちのめされた。

こんなことってある?

ネタバレ本当に注意↓↓




探偵役が敗北するなんて

読み返すと犯人のセリフが違った意味に聞こえる。

サイコパス過ぎるやろ。

翔太郎は完全にピエロ。

どうすれば助かったんだろう。

何でタイムリミット一週間まで待ってたんだろう。

さっさと何人かで脱出して助け呼んだらいいのにっていう疑問はあるけれど、ラストの衝撃はきっと忘れられない一冊になる。

実写化しそうだな。

『方舟』私の評価は★4


ストーリー   ★★★☆☆  3
キャラの魅力  ★★☆☆☆  2
衝撃度     ★★★★★  5
おすすめ    ★★★★☆  4





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