時間遡行(じかんそこう)の繰り返し
タイムループ作品は数多くあって珍しくもないですが、『時空犯』のタイムループ回数は異常です。
そこに私は惹かれました。
なぜ、千回近くも巻き戻されているのか。
その理由が分かった時、納得(共感)できるかできないかで面白さが変わるかも。
こんな思考の行く先があるんだなと思った作品。
あらすじ
1千万円の報酬金額につられ、治験の説明会に参加した私立探偵の姫崎智弘(きさきともひろ)。
依頼人の名前は、北上伊織(きたかみいおり)。
集められたメンバーは、様々な分野での情報収集、伝達に長けた人物たちだと言う。
情報工学の研究者である北上博士の口から、時間遡行を体験していると説明され、依頼は時間の巻き戻しを体験してもらいたいというものだった。
全員が呆気にとられ、会場内はざわつく。
半信半疑だったメンバーだが、信じざるを得ない体験をしていく中、九百八十回目の六月一日、北上博士が殺害される。
ラボのイメージ |
犯人は一体誰なのか?
治験メンバー全員アリバイなしの中、さらに事件が起きていく。
ネタバレ感想
同じ日を何回もループしているSFミステリー。
知らないワードは出て来るけど、ちゃんと分かるように解説してくれるので読みやすく面白かった。
博士のラボ内での事件から時間も忘れて一気読み。
でも、犯人は意外でもなかったです(笑)
何より雷田亜利夫(らいだありお)というキャラが魅力だった。
❝理解できない対象と最も有意義な形で共存する方法は、関わりを絶つこと❞
この言葉に感銘を受ける彼のキャラが好き。
空気みたいな人もいるのに麻緒(まお)のキャラ設定がめっちゃ濃いい。
神ポジションまで手に入れてるし。
大阪のおばちゃんキャラである大岩(おおいわ)さんが主人公以上に目立ちすぎだし、しつこい(笑)
でも彼女が口に出す疑問は真っ当なので、読者のためにはいないといけないキャラ。
結局、博士にみんな転がされていたのかなあ。
どこかであってもおかしくない、ファンタジーでは片づけられないストーリーだった。
『時空犯』私の評価は★4
ストーリー ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3