2023年2月13日月曜日

『月の子 MOON CHILD』(文庫版全8巻)清水玲子 感想・レビュー 現代版人魚姫が壮大なスケールで描かれるSFファンタジー 

ただ好きになっただけなのに…


人間の王子に恋をした人魚姫は、魔女の力を借りて人間の姿になるが、代わりに美しい声を失ってしまう。

王子は隣国の姫と結婚し、恋に破れた人魚姫は水の泡となって消えてしまいました。

アンデルセン童話の「人魚姫」は、ざっくりと書けばこのようなあらすじ。

この童話をベースに描かれる『月の子 MOON CHILD』は、現代版おとぎ話のよう。

簡単なあらすじ


売れないダンサーのアートは、交通事故を起こす。

そのせいで記憶を失った少年ジミーを罪悪感から引き取り、奇妙な同居生活を送る。

ジミーの周りではゴーストが出現したり、壊れた時計が直ったりと奇妙な出来事が起こっていた。

ジミーの行動で地球の未来が変わってしまう?

人間と人魚たち、そして地球の運命が描かれるファンタジー。

↓ネタバレ感想↓


ベンジャミンが本当に美しく見惚れてしまいますが、人魚姫同様、好きな男性には振り向いてもらえず、切なくなります。

人魚姫(セイラ)の子供が3人という設定も面白く、関わる人間たちの関係性の変化が見応えありました。

アートに恋をしてしまったため、地球を破滅に導いてしまうベンジャミン。

セツの為に、地球を賭けて魔女と契約したティルト。

それぞれの思いが交差する切ないストーリーが、清水玲子さんの綺麗な絵によって描かれています。

  • ジミー×アート
記憶喪失のジミーと口は悪いけど世話焼きのアート、2人の日常がとても微笑ましくて好き。
  • ジミー×ショナ
ジミーの正体を知ったショナの溺愛ぶりが面白い

  • セツ×ショナ
この2人の関係が変わっていくのが良かった。恋の結末にすごく泣けた。

ヒール役であるティルトが、ベンジャミンの無邪気さに傷付いていたと知ると憎めくなる。

一番かわいそうなのはティルトに乗っ取られたギル・オウエンかも。

『月の子 MOON CHILD』私の評価は★5


ストーリー  ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★★★ 5
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4


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