2023年4月6日木曜日

『失われた過去と未来の犯罪』小林泰三 感想・レビュー SF思考実験

 10分しか記憶できない

映画『メメント』を彷彿させるようなワクワク設定。

記憶時間が10分なため、堂々巡りの会話が続きます。

そこにイライラしなければ、きっとこの小説はハマる。


あらすじ

女子高生の結城梨乃(ゆうきりの)は、ある日、自分の記憶が10分しかもたないと気付く。

それは梨乃だけの記憶障害ではなく、母もテレビのキャスターも同じ状態だった。

冷静に分析をした梨乃は、SNSに「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」と書き込み拡散する。

人類は、失った長期記憶を補うため、「外部記憶装置」を開発し、その装置と共に難なく生活するようになっていた。


ネタバレ感想

第一幕は記憶障害の混乱状況が描かれている。

梨乃目線と原発で働く父の結城目線。

2人とも冷静。さすが親子って感じ。メモも大事だけど数値も確認しなくちゃってこと。

第二幕は、外部記憶装置が主流となった世界が描かれている。

記憶のスティックの差し違えで人生変わっちゃった人をコミカルに描いたり、余韻を残したり、使い方次第やトラブルで起きる幾多のストーリーが生まれてた。

東野圭吾さんの『秘密』を彷彿させるストーリーは悲しかったなあ。

一卵性双生児のメモリの使い方はそれで合ってるんかなと思ったり。

コミュニティの調査に来た職員のメモリの使い方は楽しそうだった。

自分ならどうする?って考えたり。

梨乃と聡になった彼は何で話せるんだろうって思って、そこはよく分からなかった。

記憶が伴っていれば、外見は変わっていてもその人になれるのか、色々考えさせられた。

答えは出ないけど(笑)


『失われた過去と未来の犯罪』私の評価は★3


ストーリー    ★★★☆☆  3
キャラの魅力   ★★☆☆☆  2
衝撃度      ★★★☆☆  3
おすすめ     ★★★☆☆  3



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