嘘つきは誰?
脳内コイントスで人生を歩んできた主人公のサイコパスぶりと実験参加の報酬が魅力的。
あらすじだけ読むとめっちゃ面白そうだが、
後半は完全に裏切られた。
タイトルも装丁(文庫)もシンプルで目立つので、思わず手に取りたくなるのは分かる。
ただ、心理描写のくだりはあまり理解できない。
誰に対しても感情移入ができない心理学ミステリ。
あらすじ
押す? 押さない? どうする? どうなる? こんな結末読めないよ…………!
夏休み、大学生の小雪は、就職浪人中の先輩香川からバイトの話を持ち込まれる。
インストールされたアプリスイッチをもって1ヵ月暮らすだけの簡単なお仕事。
日当は1万円、そして1ヶ月後のボーナスは、100万円
スイッチは押しても押さなくても報酬に変化なし。
「誰も押すわけがない」と参加者たち全員が思っていた。
だが、この奇妙な心理実験は思わぬ方向へ。
ネタバレ感想・レビュー
『時空犯』が面白かったので購入。
破格のアルバイト料で心理学実験に参加した6人。
スイッチを押しても、参加者にペナルティはなく、ただパン屋さんが破滅するだけ。
スイッチを押すか押さないかで後半まで引っ張るストーリーかと思ったら甘かった。
前半で押されてしまい、後半は押した犯人S探しとなります。
さらに、殺人事件まで。
幼少期、悪魔呼ばわりされた主人公の邂逅など、ストーリーに一気に引き込まれます。
実験の立案者の安楽さんが、まだ魅力的に描かれているのが救いですが、他のキャラはうーん。
玲奈と大我が純粋すぎる。
なぜか香川さんだけアル中という設定。
ストーリーの要にご都合よく使われている彼女が不憫だった。
「純粋な悪」を燻りだす実験なのに、薄っぺらいハッピーエンドで終わった。
宗教論が出てきた辺りから読むのが苦痛。
分かりやすかったねと語る主人公たちに、どこが??と思わずつっこんだ。
「光意」にたどり着いた一人である小雪の脳内の組み換えがいまいち理解できず、みんなの心を救う展開も微妙。
でも、❝自分の価値をゴミ箱に捨てるのは人を無作為に傷つけるのと同じ❞
という言葉は刺さった。
『スイッチ 悪意の実験』私の評価は★2
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★☆☆☆ 2