漫画、小説、ライトノベルの感想を載せてます。 少しでも興味を持ったらぜひ。 レビュー評価が良い作品でも流されずに独自の視点で感想を書いてます。 逆の場合もあります。
2024年5月1日水曜日
『人獣細工』小林泰三著 感想・レビュー 人と獣の境界線
人獣細工(角川ホラー文庫)
2024年4月29日月曜日
『九度目の十八歳を迎えた君と』浅倉秋成著 感想・レビュー どうでもいいことに一生懸命になれる高校時代
不器用な青春時代
みんな夢を諦めたわけじゃない、今できる最良の跳躍をするんだ。
社会人になった今なら分かることだけど、あの頃気の利いた言葉が全く出てこなかった。
これは、タイムループ作品ではないしファンタジーでもない。
浅倉さんの伏線が光る青春ミステリ作品。
あらすじ
そこそこの印刷会社で営業マンとしてのノルマを熟す間瀬(ませ)は、通勤途中のホームで、同級生の姿を目撃する。
彼女は、僕が高校時代に恋をした二和美咲(にわみさき)だった。
だが、二和は制服に身を包み、見た目もあの頃のまま、未だ十八歳として高校に通っていた。
僕と二和は同い年。
本来ならば30歳目前であるはずだった。
なぜか周囲の人たちは彼女のその姿を違和感なく受け入れる。
僕は、現在の彼女の同級生と協力し、 原因を探っていく。
ネタバレ感想
設定に無理があるし、ん?となる箇所もあるけれど、その辺はさすが浅倉秋成さん、ラストまで読ませる筆力がありました。
間瀬の原因とか、二和さんの返事とかうやむやで終わってしまったが、全体を通して自身の青春時代とリンクさせたりして面白かった。
間瀬が彩雲に入れた夢、一番知りたかったな。
戻って来た彩雲を手に取るシーン、ちょっと泣きそうになった。
彩雲 |
同級生たちがそれぞれ大人になっていてみんないいやつ。
二和が一番掴みどころない感じ。
『教室が、ひとりになるまで』と違って、キャラが魅力的なのが良い。
真鍋と教頭先生が好き。
『サニー』と呼ぶのが笑っちゃうけど、ほうじ茶と和菓子を持って新聞部に居座る教頭先生がかわいい。
“青春の空回り"うまいこと言うなあと感心。
『九度目の十八歳を迎えた君と』私の評価は★3
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3
2024年4月18日木曜日
『スイッチ 悪意の実験』潮谷験著 感想・レビュー 思ってたのと違う
嘘つきは誰?
脳内コイントスで人生を歩んできた主人公のサイコパスぶりと実験参加の報酬が魅力的。
あらすじだけ読むとめっちゃ面白そうだが、
後半は完全に裏切られた。
タイトルも装丁(文庫)もシンプルで目立つので、思わず手に取りたくなるのは分かる。
ただ、心理描写のくだりはあまり理解できない。
誰に対しても感情移入ができない心理学ミステリ。
あらすじ
押す? 押さない? どうする? どうなる? こんな結末読めないよ…………!
夏休み、大学生の小雪は、就職浪人中の先輩香川からバイトの話を持ち込まれる。
インストールされたアプリスイッチをもって1ヵ月暮らすだけの簡単なお仕事。
日当は1万円、そして1ヶ月後のボーナスは、100万円
スイッチは押しても押さなくても報酬に変化なし。
「誰も押すわけがない」と参加者たち全員が思っていた。
だが、この奇妙な心理実験は思わぬ方向へ。
ネタバレ感想・レビュー
『時空犯』が面白かったので購入。
破格のアルバイト料で心理学実験に参加した6人。
スイッチを押しても、参加者にペナルティはなく、ただパン屋さんが破滅するだけ。
スイッチを押すか押さないかで後半まで引っ張るストーリーかと思ったら甘かった。
前半で押されてしまい、後半は押した犯人S探しとなります。
さらに、殺人事件まで。
幼少期、悪魔呼ばわりされた主人公の邂逅など、ストーリーに一気に引き込まれます。
実験の立案者の安楽さんが、まだ魅力的に描かれているのが救いですが、他のキャラはうーん。
玲奈と大我が純粋すぎる。
なぜか香川さんだけアル中という設定。
ストーリーの要にご都合よく使われている彼女が不憫だった。
「純粋な悪」を燻りだす実験なのに、薄っぺらいハッピーエンドで終わった。
宗教論が出てきた辺りから読むのが苦痛。
分かりやすかったねと語る主人公たちに、どこが??と思わずつっこんだ。
「光意」にたどり着いた一人である小雪の脳内の組み換えがいまいち理解できず、みんなの心を救う展開も微妙。
でも、❝自分の価値をゴミ箱に捨てるのは人を無作為に傷つけるのと同じ❞
という言葉は刺さった。
『スイッチ 悪意の実験』私の評価は★2
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★☆☆☆ 2
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★☆☆☆ 2
2024年4月4日木曜日
『教室が、ひとりになるまで 』浅倉秋成著 感想・レビュー 最高のクラス、もう二度と会いたくない友達
教室が、ひとりになるまで
スクールカースト、ヒエラルキー
学生時代、自身の立ち位置がどの層だったかによって、この本の内容の受け止め方が変わると思う。
4人の受取人という非現実的なストーリーの特殊ミステリ。
だけど読み応えあるし、綺麗に終わります。
あらすじ
さようなら。もう二度と会いたくない、××の友達たち。
私立北楓高校のクラスで起きた連続自殺事件。
そのクラスは合同でレク企画を立ち上げる最高のクラスだと思われていた。
『教室が、ひとりになるまで 』私の評価は★4
2024年3月28日木曜日
『悪い夏』染井為人著 感想・レビュー 世の中こんなもん
悪い夏
どれだけ自分という人間を保てるか
この作品は、負の人物が圧倒的に多い。
まともな人間がいない。
騙すより騙される方がいいと言う人は、騙されたことがないから。
敢えてジャンルを付けるなら社会派ミステリかな。
あらすじ
3年の我慢だ。
26歳の佐々木守は、生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。
同僚の高野が、若いシングルマザーに保護打ち切りをしない代わりに肉体関係を迫っていると知る。
守はその女性の家を訪ね、真相を問うが、彼女の歯切れが悪い。
だが、その出会いが守の人生を180度変え、負の連鎖に巻き込まれる。
感想・レビュー
関わってはいけない人っているんだな。
負のオーラを持つものは平気で人を騙したりできるんだ。
美空のイメージ |
本当に保護を受けなくてはいけない人にはお金は回って来ず、ごね得で受給を受けれるのが酷い。
最低賃金で稼いだ人たちより遥かに多くもらってる生活保護。
さらに年金より多いというのがひどい。
本当に働けない人たちが受けるのは良いけれど、働けるのに理由を付けて働かない人たちが腹立つ。
仕事をしなくてはいけないんだと思わせないと。
不正受給者は一体何人いるんだろう。
さて、守はごく普通の青年だったのに、関わってしまった人物が悪く人生が狂ってしまう。
ただそんな守にも同情の余地はない。
愛美たちがどうなったか描かれていないけれど、逮捕されたはず。
彼女にちょっとだけ母性が芽生えたのは守のおかげか。
ラストはみんな集まって三谷幸喜作品のようになっていた。
胸くそ悪いストーリーで読後感はよろしくないが、伏線回収とオチもちゃんとおりさすが染井作品といった感じ。
映画化決定で配役が気になるところ。
『悪い夏』私の評価は★4
2024年3月24日日曜日
『ディープフェイク 』福田 和代著 感想・レビュー 良いニュースは拡散しない
ディープフェイク
現代の魔女狩り
ディープフェイクの対抗策はあるのだろうか
湯川先生のイメージ |
終始胸くそ悪い展開。
主人公は悪人じゃない、むしろ善人。
彼を陥れた人物は誰?
全員なんだか怪しい。
顔の見えないネット住民たちに楔を打つ作品になればいい。
あらすじ
生徒間の殺傷事件を未然に防いだことから、メディアに称えらえれ、「鉄腕先生」としてテレビで活躍する湯川教師。
辻川先生のイメージ |
身に覚えのない写真に戦慄を覚えた湯川だが、人格を否定されるようなバッシングに合う。
さらに、湯川が生徒に暴行を加えている動画もネットに拡散。
SNS上での誹謗中傷、メディアの報道の真偽のあり方などを問うサスペンス。
ネタバレ感想
とにかく目立ってはダメ、嫉妬の対象になったらダメってことしか対抗策はないのか。
逆恨みもあるし。
フェイク動画の拡散、虚偽の書き込みに対する罪など、早く法を整備してほしいと思った。
湯川の周りには懇意にしている記者、メディアで活躍する塾講師、教頭など信頼できる味方がたくさんいたから助かった。
じゃあ私たち一般人はどうなるんだろう。
自分がその立場になったら?と思うと不安に駆られますが、勉強になる作品でした。
フェイクかどうか見破れる技術もあるはずと思いたい。
『ディープフェイク』私の評価は★4
ストーリー ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★★☆ 4
2024年3月20日水曜日
『正義の申し子』染井為人著 感想・レビュー キャラ全員好きじゃない(笑)
正義の申し子
染井為人さんの小説で一番好き
ジョン(ユーチューバー)、鉄平(悪徳請求業者)、萌花(女子高生)の視点で話が進み、複雑に絡み合っていく。
私はいつも誰かに感情移入してしまいがちですが、この小説のキャラは誰のことも好きになれなかった。
私は関西人だけど、鉄平の話し方は違和感なしにすんなりと受け入れることができた。
正義の申し子の怒涛のストーリー展開は、ドキドキするし笑えるし大いに楽しめるエンタメ小説となっている。
あらすじ
ネタバレ感想
『正義の申し子』私の評価は★5
『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密
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