不器用な青春時代
みんな夢を諦めたわけじゃない、今できる最良の跳躍をするんだ。
社会人になった今なら分かることだけど、あの頃気の利いた言葉が全く出てこなかった。
これは、タイムループ作品ではないしファンタジーでもない。
浅倉さんの伏線が光る青春ミステリ作品。
あらすじ
そこそこの印刷会社で営業マンとしてのノルマを熟す間瀬(ませ)は、通勤途中のホームで、同級生の姿を目撃する。
彼女は、僕が高校時代に恋をした二和美咲(にわみさき)だった。
だが、二和は制服に身を包み、見た目もあの頃のまま、未だ十八歳として高校に通っていた。
僕と二和は同い年。
本来ならば30歳目前であるはずだった。
なぜか周囲の人たちは彼女のその姿を違和感なく受け入れる。
僕は、現在の彼女の同級生と協力し、 原因を探っていく。
ネタバレ感想
設定に無理があるし、ん?となる箇所もあるけれど、その辺はさすが浅倉秋成さん、ラストまで読ませる筆力がありました。
間瀬の原因とか、二和さんの返事とかうやむやで終わってしまったが、全体を通して自身の青春時代とリンクさせたりして面白かった。
間瀬が彩雲に入れた夢、一番知りたかったな。
戻って来た彩雲を手に取るシーン、ちょっと泣きそうになった。
彩雲 |
同級生たちがそれぞれ大人になっていてみんないいやつ。
二和が一番掴みどころない感じ。
『教室が、ひとりになるまで』と違って、キャラが魅力的なのが良い。
真鍋と教頭先生が好き。
『サニー』と呼ぶのが笑っちゃうけど、ほうじ茶と和菓子を持って新聞部に居座る教頭先生がかわいい。
“青春の空回り"うまいこと言うなあと感心。
『九度目の十八歳を迎えた君と』私の評価は★3
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★☆☆ 3
おすすめ ★★★☆☆ 3