漫画、小説、ライトノベルの感想を載せてます。 少しでも興味を持ったらぜひ。 レビュー評価が良い作品でも流されずに独自の視点で感想を書いてます。 逆の場合もあります。
2023年10月17日火曜日
『昨日星を探した言い訳』河野裕著 感想・レビュー 君の嫌いな所、100個
2023年10月5日木曜日
『彼らは世界にはなればなれに立っている』太田愛著 感想・レビュー 歴史は繰り返す──現代の黙示録
人間の浅はかさとは!?
時代設定皆無、国もどこか分からない。
カイのイメージ |
主人公が章ごとに変わるストーリー。
ジャンルは多岐にわたり、差別された人々を描く。
あらすじ
〈はじまりの町〉で生まれた民は、みんな誇りを持っている。
その初等科に通う少年、トゥーレの母は、「羽虫」と呼ばれている。
母の作るドレスは、センスも良く人気があるが驚くほどの低賃金で働かされている。
誇り高き住人たちは、他所から来た人々を羽虫と蔑み、日常的に差別していた。
羽虫たちの住居イメージ |
そして、町一番の金持ちの伯爵にみんな心酔していた。
豪華客船がやってきた日、トゥーレの母は姿を消す。
その事件をきっかけに、町では悪意の連鎖が起き始めた。
ネタバレ感想
この本を読み始めた時、どこか遠い国のおとぎ話かなといった感じで中々ストーリーに入り込めなかった。
語り手がマリに変わると一気に引き込まれ、魔術師の章では涙がこぼれた。
トゥーレがクッキーの空箱に隠した一枚の写真から紐解いていく。
登場人物はざっとこんな感じ。
トゥーレ …トラック運転手の父、羽虫の母を持つ。
カイ …判事の息子。マリを慕う優等生。トゥーレの友人。
コンテッサ …伯爵が連れてきた美貌の女性。
マリ …映画館の受付嬢。褐色の肌を持つ。雪を見たことがあると言ったせいで嘘つき呼ばわりされる。出生に秘密がある。
ハットラ …羽虫の期待の星。赤毛。足が速く中央の学校に推薦される。
怪力 …伯爵が所有する博物館の監視員。大きな体躯の持ち主。
葉巻屋 …吸殻を拾い、葉巻を作って売っている。情報収集に長けている。父も葉巻職人。弟子を持つ。文字が読める。
魔術師 …成功した試しがない魔術を披露する。禁書をトゥーレに貸し出し、マリとも親しい。
羽虫に対して人間扱いをしない、どこまでも非情な住民たち。
荒廃した町 |
トゥーレの母(アレンカ)とマリに起こった出来事は、えげつなく、酷くて辛く苦しい。
昔のような設定で描かれているけど現代にも起こり得そうで寒気がした。
魔術師の章で全てが解き明かされていくが、カイとトゥーレの姿に悲しくて涙が出た。
上記の登場人物たちは何も悪いことをしていないのに。
町の悪意の犠牲になってしまう。
どうか、こんな世界はなくなってほしい。
好きか嫌いかの2択なら、私はこのストーリーは嫌い。
だけど、読むべき作品だと思う。
『彼らは世界にはなればなれに立っている』私の評価は★3
ストーリー ★★★★☆ 4
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度 ★★★★☆ 4
おすすめ ★★★☆☆ 3
2023年8月23日水曜日
『向日葵を手折る』彩坂美月 感想・レビュー 田舎の都市伝説に絡めた青春ミステリ
みんなが噂する向日葵男とは?
『向日葵を手折る』は、情景描写が素晴らしく、堪えきれず何度も涙をこぼした。
タイトルも素敵。
連続する不穏な事件と共に描かれる淡い恋。
限界集落のコミュニティは怖くもあり、羨ましくもある。
夏祭りの終わり |
巡る季節の移り変わりは臨場感たっぷり。
都会育ちの主人公ならではの雪に対する心情がすごい理解できた。
私の大好きな小説、ベスト3に食い込む作品だ。
あらすじ
父の急死で、祖母を頼り、母と共に山形の集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。
そこで強烈な印象を放つ2人の同級生と出会う。
ネタバレ感想
『向日葵を手折る』私の評価は★5
2023年7月26日水曜日
『アリスとテレスのまぼろし工場』岡田麿里著 感想・レビュー 変化することが許されない世界
アリスとテレスのまぼろし工場
変化は悪。工場に幽閉されたのは狼少女!?
劇場アニメの原作。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本家によるオリジナル作品。
彼女が関わった『凪のあすから』は好きだった。
幻想的なストーリーが好きな人ならハマりそうな世界観。
夜の製鉄所 |
あらすじ
見伏(みふせ)で暮らす人々は、製鉄所の恩恵を受けて暮らしている。
ネタバレ感想
『アリスとテレスのまぼろし工場』私の評価は★1
2023年7月16日日曜日
『完璧な小説ができるまで』川崎七音(かわさきなお) 感想・レビュー 創作の獣とは?誰かの人生を決定的に変える小説を作るために
人気作家監禁事件! 犯人の動機は?
「映画でも漫画でもなく、なぜ小説なのか」
小説に魅了された3人の男女が描かれる。
映画や漫画はイメージが先にできている。
小説だけは読み手のペースでページをめくり、想像することができるとある人物が言う。
自称本好きの私は、なるほどと思った。
なぜ、壮一(そういち)たちは完璧な小説を書くことにこだわったのか?
あらすじ
人気小説家・相崎一歌(あいざきいっか)の監禁事件で逮捕された月村荘一(つきむら)は、暴走したファンではなく高校時代の友人だった。
取調室で根気よく尋問する刑事に、月村は重い口を開く。すべてを語り終えた先に突きつけられた驚くべき真相とは?
ネタバレ感想
『完璧な小説ができるまで』私の評価は★5
『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密
仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...
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教室が、ひとりになるまで スクールカースト、ヒエラルキー 学生時代、自身の立ち位置がどの層だったかによって、この本の内容の受け止め方が変わると思う。 4人の受取人という非現実的なストーリーの特殊ミステリ。 だけど読み応えあるし、綺麗に終わります。 あらすじ さようなら。もう二度...
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『原因において自由な物語』/講談社文庫 結果ではなく過程が重要 最初、五十嵐律人さんの本にしては面白くないなって思った。 廃病院 でもそう思ってしまってごめんなさい。 プロローグ、ストーリー構成お見事です! junaida(じゅないだ)さんの装画素敵。 不気味なイラストだなっ...
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人獣細工 (角川ホラー文庫) 人間の証明とは ❝パッチワークガール。そう。私は継ぎはぎ娘。❞ 表題作「人獣細工」の他、「吸血狩り」「本」の3編からなる作品集。 『 デッドマン・ワンダーランド 』の作者さん による書き下ろしカバーイラストに惹かれて購入。 グロ描写ありのホラー。 想...