人間の本質は一瞬では見抜けない
きょうやさんの作品を読むのは2冊目。
過去の世界的シリアルキラーは社交性を持ち、表面上は人当たりが良いらしい。
怖すぎます。
犯人の心情は全く理解できなし動機も納得できない。
さらに罪悪感の欠片も持ち合わせていない。
ライトな文章だけどゾクッとするミステリ。
幻視者の曇り空 ―― cloudy days of Mr.Visionary』(二見書房)の文庫化。
あらすじ
大学生の久守(くもり)は、触れた人の後ろ暗い秘密が視える幻視能力を持つ。
その為、人との関りを避けて過ごしていた。
しかしある日、人目を惹く見た目の美大生、佐伯(さえき)に触れ、他殺死体を幻視する。
彼は残忍な連続殺人の犯人なのだろうか。
次に起きる事件を止めるべく、何とか彼から証拠を手に入れようとするが、友情が芽生えてしまう。
ネタバレ感想
同じ町で連続殺人事件が起きているのに、登場人物たちは他人事。
まず、主人公の久守にイライラする。
特異な体質のせいでこんな性格になったのかもしれないが、もっとなんかこうないの?
佐伯の方が魅力的に描かれている。
彼の絵、特に『喪失』を見てみたいし、展示会に行ってみたいとさえ思った。
親しくはなりたくないが(笑)
それとミスリードを狙っているせいか、幻視能力の設定が最初めっちゃ分かりにくい。
いつも見えるわけじゃないし、見えたのは過去じゃない。
決まった未来が見える?
え?そうなん?って思った。
何の為に見えるのかは理由がなかった。
しかも一瞬だけだし。
続き見れないし。
加山(かやま)夫妻のエピソードは蛇足かなと思ったけど、人は何を考えているか分からないっていう意味で必要かも。
後、タイトルを変えたらもっと売れそうなのになと思った。
1度改題しているようだけど。
青依青(あおいあお)さんのハードカバーの装丁の方が好み。
出版社変わってるようだから使えなかったのかな。
久守が公園うろうろしたりしてるから、容疑者にされそうでどきどきした。
彼の能力は何の役にも立たないなって思ってたけど、佐伯を2度助ける形になったから良かったのかな。
そして恋愛に関して鈍感すぎた。
ツッコミどころはあるけれど面白かった。
『殺人と幻視の夜』私の評価は★4
ストーリー ★★★☆☆ 3
キャラの魅力 ★★★★☆ 4
衝撃度 ★★★★☆ 4
おすすめ ★★★☆☆ 3