2023年3月15日水曜日

特殊設定ミステリが面白い(帯のキャッチコピーが好き)

赤い隻眼

 特殊設定ミステリとは

❝ありえない状況、設定に置かれた中で起きる謎解きミステリー❞ 

が定説しつつある。

そのため、リアリティに欠け、ストーリーが少し強引だったり、キャラが盛りすぎてる場合もある(笑)

伏線も全部回収できてないし、ラストも納得いったりいかなかったり。

だけど想像は果てしなく広がるし、現実との境目が曖昧にはならない。

閉ざされた場所
程よく現実逃避ができるんです。

簡単に言えば、世にも奇妙な物語に出て来そうなストーリーかな。

もうちょっとストーリーは緻密だけど。

映画だったら『インセプション』が代表的かな。


❝ ❞ は、帯のキャッチコピーから。

私は、あらすじよりも帯の文面や装画に惹かれて買うことも多い。

帯でネタバレしている場合もあるから注意も必要なんだけどね。


夢が舞台

メルヘン殺しシリーズ

  1. アリス殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝最重要容疑者・アリス❞ ❝どれだけ注意深く読んでもこの真相は見抜けない❞
  2. クララ殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝おとぎの国の邪悪な殺人計画❞
  3. 『ドロシィ殺し』小林泰三 装画:丹地陽子…❝<エメラルドの都>の密室殺人❞
  4. 『ティンカー・ベル殺し』小林泰三 装画:丹地陽子❝「妖精なんて虫と同じだろ?」❞



プロジェクト・インソムニア』結城真一郎…❝超絶どんでん返し❞


特殊能力系

『魔法使いの弟子たち』井上夢人…❝新興ウィルスの爆発感染。意識が戻ったわずか3人の感染者は、許されざる「能力」を身にまとった──❞
『FAIRY TAIL』の作者である真島ヒロさんが帯で絶賛されています。

新世界より』貴志祐介…❝ここは汚れなき理想郷のはずだった。❞

            ❝見せかけの平和がいま崩れる。❞

            ❝ここは病的に美しい日本。❞

            ❝恐怖とは内から芽ぐむ。❞

            ❝希望─阿鼻叫喚の果てに。❞

            ❝偽りの神に抗え。❞(アニメ)

ダークゾーン』貴志祐介…❝戦え。戦い続けろ。❞

             ❝盤上は現実、駒たちは幻想、敗北は死。悪夢の対局が幕を開ける❞

             ❝将棋の勝負を熟知!駒の心まで描くとは⁉❞


心霊探偵八雲シリーズ(20冊完結) 神永学 イラスト:鈴木康士


  1. 『心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている』…❝その赤い左眼は、魂を見る。❞
  2. 『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』…❝晴香、絶体絶命の危機!❞
  3. 『心霊探偵八雲3 闇の先にある光』…❝両目の赤い男登場!!❞
  4. 『心霊探偵八雲4 守るべき想い』…❝緊急事件発生。犯人は人間か⁉❞
  5. 『心霊探偵八雲5 つながる想い』…❝八雲、失踪。❞
  6. 『心霊探偵八雲6 失意の果てに』(上下巻)
  7. 『心霊探偵八雲7 魂の行方』…❝八雲VS鬼の伝説❞
  8. 『心霊探偵八雲8 失われた魂』…❝八雲が容疑者!?追い詰められた八雲の運命は…?❞
  9. 『心霊探偵八雲9 救いの魂』…❝八雲を襲う最大の危機!その時晴香は─!?❞
  10. 『心霊探偵八雲10 魂の道標』…❝最終章突入!❞
  11. 『心霊探偵八雲11 魂の代償』…❝なんと残酷な❞
  12. 『心霊探偵八雲12 魂の深淵』…❝さらば、八雲❞

スピンオフ

  1. 『心霊探偵八雲 SECRET FILES絆』
  2. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹』…❝赤い隻眼のヒーロー、神社にそびえる呪われた樹に挑む!!❞
  3. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 祈りの柩』…❝今度の幽霊は、ただ歌うだけ。❞
  4. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 裁きの塔』…❝晴香が、殺人犯──⁉❞
  5. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 亡霊の願い』…❝学園祭と恋にまつわる3つの心霊事件❞
  6. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 嘆きの人形』…❝一泊二日心霊謎解きツアー!❞
  7. 『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 沈黙の予言』…❝私の予言は必ず当たるの──❞


現実にはない世界

『クリムゾンの迷宮』貴志祐介…❝50ページを過ぎたら寝られません。極限デスゲームの"超"傑作!!❞

階段島シリーズ(6冊完結) 河野裕 イラスト:越島はぐ

 1. 『いなくなれ、群青』…❝11月19日午前6時42分、僕は彼女に出会った。❞

 2. 『その白さえ噓だとしても』…❝心を穿つ新時代の青春ミステリ❞

 3. 『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』…❝激動の第3弾❞

 4. 『凶器は壊れた黒の叫び』…❝慟哭の第4弾❞

 5. 『夜空の呪いに色はない』…❝決意の第5弾❞

 6. 『きみの世界に、青が鳴る』

理瀬シリーズ 恩田陸 イラスト:装画:北見隆(私なりの読んだ順番です)

1. 三月は深き紅の淵を』第4章…回転木馬 麦の海~のダイジェスト版 

   ❝その本はたった一人にだけ。たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。❞

2. 『麦の海に沈む果実』…本編スタート 記憶を失っている(白)理瀬が主人公

❝三月以外にやってくる転入生は、学園を破滅に導くだろう。❞

3. 『図書館の海』…睡蓮 理瀬の幼少時代 ❝十色の趣向、十色の愉悦―。❞  

睡蓮

4. 『黄昏の百合の骨』…本来の(黒)理瀬が主人公

❝「魔女の家」で──今、あたしは一人だ。一人きりで戦うのだ。❞

5. 『薔薇のなかの蛇』…❝変貌する少女。呪われた館の謎。❞


SF

時空犯潮谷験…❝何度だってあなたのために❞


re~シリーズ(4冊完結) 法条遥 装画:usi(ウシ)

1. 『リライト』…❝SF史上最悪のパラドックス その完璧にして無慈悲な結末❞

2. 『リビジョン』…❝絶対にはずれない予知能力 唯一の希望は過去にあった❞

3. 『リアクト』…❝時を駆ける少女 時を書ける少女 時を欠ける少女 時を賭ける少女❞

タイムパラドックスのイメージ
4. 『リライブ』…❝未来へ跳んだ夏 過去を変えた秋 時に挑んだ冬。すべては君の、完璧な春のために。❞





その他

名もなき星の哀歌』結城真一郎…❝あの一曲が僕たちの未来を変えた。痛快にして予測不能、新時代の青春ミステリ❞

クローズドサスペンスヘブン』五条紀夫…❝──天国は殺人現場でした。❞



2023年3月13日月曜日

『あげくの果てのカノン』(全5巻)米代恭(よねしろきょう)感想・レビュー SF×不倫,タイトル回収作品

 劇的に変わる世界の中、変わらない主人公

主人公のかのんは、成長しない。

好きな先輩も、クソ(笑)

宇宙生物のゼリーのイメージ
でもタイトルは素敵だし、表紙でジャケ買いしてしまった。

はっきり言って胸クソ展開もの(笑)

そこに宇宙生物との戦いを入れてしまうというめちゃくちゃな設定。

でもストーリーは破綻せず、ちゃんとまとまってるのがすごいのがこの作品。

あらすじ

高月かのん(こうづきかのん)は、高校時代から境宗介(さかいそうすけ)に恋をしている23歳の女性。

境先輩は、宇宙生物ゼリー(エイリアン)と闘うSLC所属のエリート戦闘員。


強くてイケメンで優しい境先輩は、メディアに良く登場する人気者になっていた。


彼には同じ職場で働く初穂(はつほ)という美人妻もいた。

彼と再会したいために、SLC近くのパティスリーで働くかのん。

彼との再会を機に、かのんのストーカー気質が病的になっていく。



ゼリーとの戦いは、肉体を著しく損傷させていき、その度に「修繕」という形で回復させていく。


その「修繕」には、肉体の回復は文句なしだけど、心を変化させてしまうデメリットがあった。


先輩も例外ではなく、変わっていく。




ネタバレ感想


宇宙人の襲来で世界は劇的な変化をもたらしている。


だけど、かのんの考えることは先輩だけ。


先輩が出したゴミを回収し、コレクションしている常軌を逸した行動も。


それでも見捨てない弟、両親の愛はすごい。


でもそんな周りのことをお構いなしに、先輩への思いだけで突き進み、迷惑をかけまくって生きているかのん。


かのんに対して終始いらいら。


主人公を応援したくない作品(笑)


先輩も変わる、世の中は変わる、だけど、かのんだけは変わらない。


初穂の暴走はやりすぎだけど。


かのんには、はっきり言って共感できない。


気持ち悪いとさえ思う。


彼女はモテないわけじゃない、何で先輩なのって思ってしまう。


境先輩は変化していったからこそ、かのんに興味を示します。


結末にいらいらしちゃうけど、SF×不倫という初めてのジャンルのストーリーは楽しめた。


このタイトルは本当すごい。


ちゃんと回収したもの。



『あげくの果てのカノン』私の評価は★3


ストーリー  ★★★☆☆  3

キャラの魅力 ★★☆☆☆  2

衝撃度    ★★★☆☆  3

おすすめ   ★★☆☆☆  2



2023年3月12日日曜日

『プロジェクト・インソムニア』結城真一郎 感想・レビュー 夢の中だけでも理想郷を

 夢と現実の境界線

この小説を読んで、夢の話を聞かされて、ふーんって流して聞くのやめようって思った(笑)

ミシンの発明に夢が一役買ってるとか!

ダリの不思議な絵は、夢で見たやつだとか。

❞まだ正体を見せていない『悪意』が、この世界には潜んでるかもしれない❞

この一文から一気に面白くなります。


あらすじ

蝶野恭平(ちょうのきょうへい)は、今や人口の2割が愛用していると言われている快眠サプリ「フェリキタス」を服用していた。

ある日、恭平はサプリの会社から郵便を受け取り、『プロジェクト・インソムニア』(不眠症計画)の参加を打診される。

それは、年齢、性別、属性の異なる七人が、九十日間夢を共有するというものだった。

頭にチップを埋め込み、≪ユメトピア≫の≪ドリーマー≫となった恭平たちは、思いのまま物を≪クリエイト≫できた。

そこは間違いなく理想郷のはずだった。

夢の中で殺人が起きるまでは。


ネタバレ感想

伏線が至る所にあったのに、全然気付かなかった。

私は人見知りだけど、報酬が二百万なので、三ヶ月頑張れるかも(笑)

もちろん絶対死なない条件付きで。

そう思って参加したメンバーだったのになあ。

有機物、無機物関係なく、物を具現化(クリエイト)できるという設定が面白い。

ゲームの世界そのものだし、何にでもなれる。

胡蝶で夢か現実かを確認する設定もファンタジーぽくて好き。

ドリーマーたちは現実で接触してはいけないなどのルールがあったり、都市伝説を絡めたりと、虚構だったり現実であったりと混乱させられてこの世界観にはまった。

恭平がユメトピアのミナエを気にしてるので彼女とくっつくのかなって思ってたら、恋人いたんかいってなった。

でも恋人の彩花の行動が謎だったり、眠って見る夢じゃなく、人生の夢についても言及したりと、あらゆる角度から興味を持った。

彩花の拳銃はこのままでいいのか気になったけど、こういう夢の実験は既に行われているかもしれない。


『プロジェクト・インソムニア』私の評価は★4


ストーリー  ★★★★★ 5
キャラの魅力 ★★★☆☆ 3
衝撃度    ★★★★☆ 4
おすすめ   ★★★★☆ 4





2023年3月11日土曜日

『リビジョン』法条遥 感想・レビュー 過去を変えまくる

 さらに難解、結局何だったのか

バッドエンドの衝撃的な結末の『リライト』の続編。

「re~」シリーズ2作目。

『リライト』から数ヶ月後の出来事を描く。

未来視ができる女性が主人公。

SF的な要素に、家宝の手鏡という古いアイテムが使われている。

未来を視ることを「ビジョン」という。

我が子のためならと過去をリビジョンしまくる母親の姿を描いてる。


あらすじ

先祖代々女性のみ受け継がれる手鏡で未来を見ることができる千秋霞(ちあきかすみ)は、生後間もない息子ヤスヒコの命を救うため、奔走する。

だが、改変は新たな齟齬を生み、夫も巻き込んで霞の周辺が変わっていく。


ネタバレ感想


未来が見えるからと言って避けれるわけではない。

夫は邦彦(くにひこ)、幼馴染。

邦彦の家でも鏡が受け継がれるが、未来視はできない。

その鏡は一条家に預けてあり、子供ができたら返してもらえと言われている。

ビジョンにより過去未来の自分と対話。

10年後の自分は邦彦と結婚していなかった。

そして、手鏡を使うのをやめなさいと言われる。

違う男性と結婚し、2人の食べ盛りの可愛い子供がいた。

彼女はヤスヒコを生んでいない。

次の日、発熱で県立病院に行って薬(ラベンダーの香り)が効いたはずのヤスヒコの未来をも変わってた。

邦彦にビジョンを使うなと注意されるが、霞は聞かない。

ヤスヒコが中学2年生くらいになっていた。

でも複数いた。10人くらい。

❝未來を視ると過去が変わる。だからビジョンを使っては、いけない。❞

鏡を通過して自分の手を取ることもできる。(未来の自分に傷を付けられたら、相手に古傷ができた)

鏡は未来を映すが、過去も見ているはず。

ヤスヒコが高熱を出した原因を取り除くため、過去の記憶の齟齬があるところを探す。

坂口と結婚した霞は、書店での仕事中、本を探しているという中学生の女の子(桜井)に声をかけられる。

本の切れ端を持っていたが、どの本か分からなかった。

彼女の連れの男の子を見たとき、「抱きしめてあげたい」という思いに駆られる。

男の子の名前は保彦(やすひこ)。

あの子たちが探している本と巡り合うビジョンを見ればいいと思った霞は、1992年の夏に大量にそれを発見する。

成長した桜井は、男性に石で撲殺された。

男の子は、1992年にたくさんいる。

なぜか赤ちゃんもいた。

霞が(未来人の)保彦のビジョンを見たせいで、保護されていたバリアが解除される。

鏡が混乱し、赤ちゃんのヤスヒコが熱を出す。

別の時間軸にいる霞と邦彦も過去を弄りだし、鏡はさらに混乱する。

そして、保彦とヤスヒコが出会ってしまい、町が壊滅する。

消えたヤスヒコを探す霞は、ビジョンを使い、過去を遡り、平安時代まで遡る。

貴族である異母兄弟のカスミ、オオクニヒコの元に赤ん坊の保彦が現れる。

先祖が抱いていた保彦を鏡から奪う霞。

過去が変わり、霞も邦彦もいなかったことになった。

現代で禁忌の結婚をしていた2人は、消滅。

預けていた一条家の鏡の元に保彦出現。

一条保彦となった彼は、誕生日に本をせがみ、岡部蛍が書いたリライトを手に入れた。

私の理解が間違っていなければこんな感じだけど、辻褄は合っているのかな。

『リライト』の保彦は園田だけど、苗字は適当って言ってたから、彼の出生の秘密でいいのかな。

保彦と行動している女子のエピソードは美雪が良かったな。

あまり誰にも好感が持てないし、時系列がめちゃくちゃで難解。

『リビジョン』私の評価は★2


ストーリー  ★★☆☆☆  2
キャラの魅力 ★☆☆☆☆  1
衝撃度    ★★☆☆☆  2 
おすすめ   ★☆☆☆☆  1


2023年3月10日金曜日

『時空犯』潮谷験 感想・レビュー ❝計算ができるということは何もかもできること❞

時間遡行(じかんそこう)の繰り返し 

タイムループ作品は数多くあって珍しくもないですが、『時空犯』のタイムループ回数は異常です。

そこに私は惹かれました。

なぜ、千回近くも巻き戻されているのか。

その理由が分かった時、納得(共感)できるかできないかで面白さが変わるかも。

こんな思考の行く先があるんだなと思った作品。

あらすじ


1千万円の報酬金額につられ、治験の説明会に参加した私立探偵の姫崎智弘(きさきともひろ)。

依頼人の名前は、北上伊織(きたかみいおり)。

集められたメンバーは、様々な分野での情報収集、伝達に長けた人物たちだと言う。

情報工学の研究者である北上博士の口から、時間遡行を体験していると説明され、依頼は時間の巻き戻しを体験してもらいたいというものだった。

全員が呆気にとられ、会場内はざわつく。

半信半疑だったメンバーだが、信じざるを得ない体験をしていく中、九百八十回目の六月一日、北上博士が殺害される。

ラボのイメージ
時間遡行の研究は犯人とって都合が悪いという結論に至る。

犯人は一体誰なのか?

治験メンバー全員アリバイなしの中、さらに事件が起きていく。


ネタバレ感想


同じ日を何回もループしているSFミステリー。

知らないワードは出て来るけど、ちゃんと分かるように解説してくれるので読みやすく面白かった。

博士のラボ内での事件から時間も忘れて一気読み。

でも、犯人は意外でもなかったです(笑)

何より雷田亜利夫(らいだありお)というキャラが魅力だった。

❝理解できない対象と最も有意義な形で共存する方法は、関わりを絶つこと❞

この言葉に感銘を受ける彼のキャラが好き。

空気みたいな人もいるのに麻緒(まお)のキャラ設定がめっちゃ濃いい

神ポジションまで手に入れてるし。

大阪のおばちゃんキャラである大岩(おおいわ)さんが主人公以上に目立ちすぎだし、しつこい(笑)

でも彼女が口に出す疑問は真っ当なので、読者のためにはいないといけないキャラ。

結局、博士にみんな転がされていたのかなあ。

どこかであってもおかしくない、ファンタジーでは片づけられないストーリーだった。

『時空犯』私の評価は★4

ストーリー  ★★★★☆  4
キャラの魅力 ★★★★☆  4
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★★☆☆  3



2023年3月8日水曜日

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』河野裕 感想・レビュー 依存をやめたいという思いから

好きを捨てる

いなくなれ、群青』『その白さえ噓だとしても』 に続く「階段島」シリーズ、3作目。         

相変わらず、タイトルが素敵。

舞台が変わります。

捨てた側の七草の物語。

現実世界が舞台です。


あらすじ

真辺(まなべ)と公園で再会した七草(ななくさ)は、彼女が引き算の魔女を探してると知る。

一体何の為に?

彼女はその理由を教えてくれない。

七草は知り合った安達(あだち)という謎の少女と共に、魔女を探す。

魔女の存在が僕(七草)と真辺の関係を侵食していく。


ネタバレ感想

七草、真辺、大地を中心にストーリーは進む。

前作2作品とリンクしているところが出てきて面白い。

3作目はこう来たかと驚いた。

捨てた側の葛藤を描いていく。

ちょっと言い回しに凝り過ぎて話が進まなくてだらだらした所はあるけど、それを含めて魅力的な作品かも。

冒頭、唐突に出てきた新キャラの安達は意味が分からんし、ストーリーの入り方に戸惑ったけど、彼女が間違いなく今後関わっていくキーパーソン。

七草と真辺が引き算の魔女に捨ててもらったものが明らかになった。

お互い別に捨てなくてもと思ったら話は成り立たないか。

ちょっと共依存気味の2人の関係に進展がある。

捨てた方が幸せなのかを問う。


『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★☆☆☆  2
おすすめ   ★★☆☆☆  2



『クララ殺し』小林泰三 感想・レビュー アーヴァタールたちの駆け引き

ブラックメルヘン

「メルヘン殺し」シリーズ2作目。

 『アリス殺し』より難解なので覚悟して。

確か、ハイジがアルプスの山のロッテンマイヤーさんと一緒に暮らして、近所のクララと仲良くなって励まして、ペーターとヤギの世話をする話だったような?

ハイジはいつ出てくるのかなと読み進めたけど、『クララ殺し』には、出て来ません。

「アルプスの少女ハイジ」とは一切関係なかった。

でも蜥蜴のビルが再登場したので歓喜。


あらすじ


大学生の井森建は、不思議の国の夢ばかりを見ている。

そこは、アリスという少女や変な生き物が暮らす世界。

自分はビルという蜥蜴だった。

だがある夜に彼が見た夢は、いつもと様相が違っていた。

クララと名乗る車椅子の美少女が登場したのだ。

翌日、井森は大学の校門前で、夢とそっくりの少女露天くらら(ろてん)に声をかけられる。

彼女は何者かから命を狙われていると話し、井森に助けを求めた。

夢で会った「クララ」と現実世界の「くらら」、2つの世界で事件が起きる。


ネタバレ感想

元ネタは「黄金の壺」「くるみ割り人形とねずみの王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」でした。

私は、子供の頃絵本で読んだ「くるみ割り人形」が夜動いて怖かったなという知識しかありませんでした。

なので、話の展開が全く読めないままストーリーが進み、ちょっと置いてけぼり感をくらいます(笑)

前作で地球と不思議の国はリンクしていることが分かりましたが、井森がある日を境に見た夢は「ホフマン宇宙」と名付けられ、不思議の国とは関係ありません。

井森(ビル)が、いつの間にか障壁を超え、別の世界に足を踏み入れたようです。

そして、ホフマン宇宙と地球を舞台にしてストーリーは進む。

地球の井森はビルの「アーヴァタール」という存在で、ドロッセルマイアーとクララにも地球に「アーヴァタール」がいます。

「アーヴァンタール」とはアバターとか化身っていう意味みたい。

聞きなれないワードがやたら出てくるし、ややこしい。

ビルのイライラする会話は健在です(笑)

グロさは前作より少なめかな。

井森何回死ぬねんとツッコミを入れたくなりました。

❝ホフマン宇宙で誰かが死ねば地球にいるアーヴァタールも死んでしまう。だが、アーヴァタールが死んでも本体は死なない。井森が死んでもお前(ビル)は生きている。❞

新ルールがあってまた混乱(笑)

でも不思議なストーリーが好きな私は好みの小説でした。

『クララ殺し』私の評価は★3

ストーリー  ★★★☆☆  3
キャラの魅力 ★★☆☆☆  2
衝撃度    ★★★☆☆  3
おすすめ   ★★☆☆☆  2


『仮面』 伊岡瞬著 感想レビュー 仮面の下の秘密

  仮面 (角川文庫) ディレクシアを知る 初読みの作家さんでした。 ページ数は多いけどすぐに読み終えました。 グロ描写ありです。 あらすじ 読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、情報番組を中心にメディアに露出する三条公彦(さんじょうきみひこ)。 知的で爽...